自転車さんに並ぶ自転車には、ペダルが付いていない

10万円以上の自転車になると、自転車には絶対に欠かせないあるものが付属されていないことが多い。ペダルである。メガネにはフレームとレンズが別売りになっているものがあるように、ペダルもその人の目的に合わせて使えるよう、別売りになっているのである。では、そのペダルをどうやって選べばいいのだろうか。

ペダルとシューズを固定すると楽な理由

ペダルの種類を大きく分けると、ペダルとシューズを固定させる「ビンディング」があるかどうかである。スポーツバイクの場合、ビンディングペダルを使っている人が多い。坂道でも引き足が使えるので楽に登れ、クランクの回転数(ケイデンス)もビンディングがあればより簡単に上げることができる。最初の内は、「ちゃんと外せるだろうか」と不安になるかもしれないが、慣れてくると逆にビンディングなしのペダルの方が使いにくいという印象を受ける。

ビンディングペダルを買うと、大体、シューズとペダルをつなぐ専用の「クリート」が付いてくる。また、シューズもビンディン用のシューズが必要になるが、ペダルとシューズはメーカーを合わせなくてもいい。ただし、ペダルはメーカーによって形状が異なるので、クリートはそのメーカーのものを使わなければならない。

ピュアロードか、悪路・歩行OKか

右から)ロードに適したペダル・クリート、MTBに適したペダル・クリート、片面がフラットペダルになったMTBに適したペダル・クリート

ビンディングペダルを大きく分けると2つある。ひとつはロードを走ることに特化して作られたペダルで、代表的なものはシマノというメーカーが展開している「SPD-SL」である。「SPD-SL」はパワーを伝達しやすいように面は広く取られており、片面だけビンディングできる。また、軽量に作られているのも特徴のひとつだ。

ロードに対して、MTB(マウンテンバイク)のように山間や泥道を走る場合に適しているのが、シマノ「SPD」のようなペダルである。「SPD」は砂や泥が詰まりにくく、自転車を降りて走行することも想定しているので、クリートは小さく作られている。一方「SPD-SL」などのクリートは、出っ張っているので歩きにくい。そのため、通勤用のペダルとして「SPD」のようなペダルを選ぶ人も多い。

また、「SPD」のようなペダルの中には、両面ビンディングになっているものと、片面はフラットペダルになっているものがある。クロスバイク全般や10万円未満のロードバイクでは、最初のペダルとしてこのペダルを選ぶ人が多い。

MTBに適したペダルのシューズ例

ロードに適したペダルのシューズ例

フラットペダルでも使えるビンディング

ビンディングがないフラットペダルでも、「トゥークリップ」を使えばペダルとシューズを固定できる。また、ビンディングペダルよりも着脱が簡単で、特に専用のシューズを必要としないため、街乗りをもうちょっと楽に楽しみたい時は、トゥークリップを選んでみるのもいいかもしれない。ただし、ペダルとシューズを挟み込んで使うタイプなので、長時間の走行だと痛みが出てしまう可能性がある。

今回、ビンディングシステムとして最も知られているシマノを例に挙げたが、スピードプレイのロードに適したペダルはチュッパチャップスみたいな形状をしているなど、メーカーによって様々な特徴がある。もっと言うと、ペダルのクリート固定バネやシューズのクリート位置を調整するなど、ペダル周辺はメーカーの違いのみならず、自分好みにカスタマイズができるパーツだ。街で自転車を見かけることがあれば、是非その足元にも注目してみよう。

企画協力 : 高田 真督(たかだ しんすけ)

ショップやメカニック業務を経た元メッセンジャーで、現在はスポーツバイク専門店「bike room sin」のオーナー。同店は、自転車協会が設定しているスポーツバイクのトータルアドバイザー「スポーツBAA PLUSマーク」認定店。東急田園都市線「二子新地駅」から徒歩5分のところにあり、多摩川サイクリングロードからもすぐアクセスできる。ショップではロードバイクやMTBなどのスポーツバイクを取り扱い、メンテナンス講習会やツーリング、レースなどのイベントも随時行っている。
「bike room sin」