自転車も合図を示すことが道路交通法で定められている

クルマの場合、テールライトやウィンカーを見ていれば、右左折や減速が分かるが、自転車となるとそうはいかない。前の自転車がいきなり止まったり、抜こうとしたら右に寄ってきたりと、あわや事故ということも少なくない。そんな時に知っておきたいのが「手信号」だ。

急を要する時は声で伝える

一般的に手信号は、自転車で集団走行をする時などに、先頭車両が仲間の後続車両へ、危険や進行を伝える場合に活用することが多い。とはいえ、自転車通勤など単独で走る場合も、他の自転車やクルマなどに自分の進行を伝える方法として手信号を活用できれば、「本当は防げた事故」をなくすことができるはずだ。

実際、道路交通法でも、右左折時や進路変更時、停止時には、合図を示さなければならないと記されている。ただし、手信号をすると必然的に片手運転になる。まずは自分が安全に走行できることが大事なので、急を要する時や手が離せない時は声で伝えた方が早い。また、後続の自転車も手信号に頼りすぎず、ちゃんと自分の目で確認するようにしよう。

手信号の方法は地域によって若干違いがあるが、よく使われる方法として以下のようなものがある。

(1)曲がる

(2)止まる

(3)障害物を避ける

(1)曲がる
右に曲がる時は右手で、左に曲がる時は左手で、その曲がる進行方向を手で示す。ただし、今曲がっても大丈夫か、ちゃんと後続車両(クルマ、自転車ともに)を目視で確認する

(2)止まる
広げた手の平をお尻にかざす。その後に急ブレーキをかけるのは危険なので、減速しながら止まるようにする。手信号が間に合わない時は、「止まります」などと声をかけるようにしよう

(3)障害物を避ける
手を尾びれのように2,3度動かして、避ける方向を伝える。前方にクルマが止まっている、又は人が歩いている時などは、左手で右方向に手を動かす

(4)減速する

(5)障害物がある

(6)先行をうながす

(4)減速する
進行方向の信号が赤に変わりそうな時など、あらかじめ減速の必要が分かっている場合は、「止まる」の指示の前に、手を上下に動かすことで減速を知らせる

(5)障害物がある
例えば、一般道に亀裂や落下物がある、サイクリングロードに車止めがあるなど、注意して走行が必要な時に使用する。比較的大きなものに対しては片手をぐるぐるさせて大きく円を描き、ピンポイントで伝える場合は地面を指差す

(6)先行をうながす
これは仲間で集団走行している時などに使うことが多いが、先に行ってほしい時は、手を後ろから前に動かすことで「お先にどうぞ」を伝えることができる

手信号をすることで、他者と道路を共有しているという意識にもつながる。「誰もいないからいいや」ではなく、自転車が人やクルマと安全に走るためのルールとして実践しよう。

企画協力 : 高田 真督(たかだ しんすけ)

ショップやメカニック業務を経た元メッセンジャーで、現在はスポーツバイク専門店「bike room sin」のオーナー。同店は、自転車協会が設定しているスポーツバイクのトータルアドバイザー「スポーツBAA PLUSマーク」認定店。東急田園都市線「二子新地駅」から徒歩5分のところにあり、多摩川サイクリングロードからもすぐアクセスできる。ショップではロードバイクやMTBなどのスポーツバイクを取り扱い、メンテナンス講習会やツーリング、レースなどのイベントも随時行っている。
「bike room sin」