“スポーツバイク”も目的によって車種は様々

一言に「自転車」といってもその種類は様々。一般的に“ママチャリ”と呼ばれる自転車は「シティバイク」に分類されるが、いわゆる“スポーツバイク”とはどのような点が違うかご存知だろうか? 街でも見かける自転車を中心に、自転車の違いをまとめてみた。

フル装備バイクと快走バイク

シティバイクを簡単に特徴付けると、便利に近距離利用できる自転車である。またぎやすいループ型のフレーム構造で、前かごや発電ランプ、ベル、錠、泥除け、スタンドなどが標準装備されていることが多く、そのため、総重量は15~20kgが標準となっている。

一方、シティバイクと比べたスポーツバイクの特徴は、軽量かつ用途に合わせてチューンナップができるという点だ。例えばスポーツバイクは、形状を変えることで軽量ながら剛性を保ったフレームになっており、20段程度の変速ギアで細かなギアチェンジが可能である。加えて、車輪やチェーンの取り外しが簡単にできるなど、用途に併せて部品交換やメンテナンスがしやすい構造になっている。

オンロードかオフロードか

スポーツバイクとして一番イメージされるのが、「ロードレーサー(ロードバイク)」だろう。舗装路を走ることをコンセプトにした自転車であり、総重量が6kg台のものもある軽量タイプ。表面が滑らかなスリックタイヤで、タイヤ幅も23C(2.3cm)などと細いのも特徴のひとつだ。ドロップハンドルを使用しており、他車種のバイクに比べて、空力的に有利な前傾姿勢をとりやすい構造になっている。

舗装路に対して、山道などのオフロードを走るために作られたのが「マウンテンバイク(MTB)」である。悪路に耐えるようフレームは堅牢(けんろう)な構造になっており、地面からの衝撃を和らげるサスペンションが備えられていることもある。ハンドルはフラットハンドルで、前ギアが2~3段、後ろギアが7~10段程度と、ギア比はロードバイクよりも低めで範囲も広いことが多い。タイヤは横幅の広いブロックタイヤが主流で、総重量は10~12kgが平均となっている。

ロードバイクの例(PINARELLO NEOR T6 完成車価格17万9,000円(税込み))

MTBの例(ANCHOR XC5 完成車価格9万円(税込み))

いいとこ取りバイクや街乗り用も

ロードバイクとMTBの間をとったモデルが「クロスバイク」となる。タイヤは25~38C程度のため、段差がある道でもロードバイクより安定しやすい。また、荷物を置くためのキャリアを装着することもできる。ハンドルはMTB同様にフラットハンドルなので、ロードバイクほどの前傾姿勢にはならない。総重量は9~11kgが平均となっている。

それ以外のスポーツバイクとしては、ロードバイクのハンドルをフラットハンドルにした「フラットバーロードバイク」や、ロードバイクを基本にしてオフロード用に作られた「シクロクロスバイク(サイクロクロスバイク)」などもある。

一方、スポーツバイクというよりかは、主に街乗り用として愛されているのが「小径車(ミニベロ)」だ。タイヤ径20インチかそれ以下の自転車を指すことが多く、中には折りたたみができるものもある。また、ギアがないものもあり、総重量は8~14kgが平均となっている。

クロスバイクの例(GIANT ESCAPE AIR 完成車価格6万6,000円(税抜き))

小径車の例(LOUIS GARNEAU LGS-MV1 完成車価格5万5,000円(税抜き))

今回紹介した以外にも、自転車はその用途に合わせていろいろある。これから自転車を買おうと思っている人は、どんな環境で何を目的にして使うかを考え、自分に合った自転車を選んでもらいたい。また、車種のみならず、素材やコンポーネントによって価格も変わってくる。決して安い買い物ではないので、乗り慣れた頃のことも考えながら、長く使える一台を選ぶといいだろう。

企画協力 : 高田 真督(たかだ しんすけ)

ショップやメカニック業務を経た元メッセンジャーで、現在はスポーツバイク専門店「bike room sin」のオーナー。同店は、自転車協会が設定しているスポーツバイクのトータルアドバイザー「スポーツBAA PLUSマーク」認定店。東急田園都市線「二子新地駅」から徒歩5分のところにあり、多摩川サイクリングロードからもすぐアクセスできる。ショップではロードバイクやMTBなどのスポーツバイクを取り扱い、メンテナンス講習会やツーリング、レースなどのイベントも随時行っている。
「bike room sin」