円高が続くと注目されるのが外貨預金。利用したことがある人もない人も、どんな商品なのか、おさらいしておきましょう。
外貨預金は文字通り、外国の通貨でする預金です。通貨の種類は、米ドル、ユーロ、オーストラリア(豪)ドルがメイン。銀行によっては、ニュージーランドドル、英ポンド、香港ドル、スイスフランなどの預金を扱っているところもあります。
外貨預金のポイントは3つ。金利、為替レート、為替手数料です。
今は、「金利」には期待はできない状況
まず金利について。外貨預金は、その通貨を発行している国の金利をベースに金利が決まります。かつてはどの国も日本より金利が高かったので、「外貨預金=高金利」というイメージがありましたが、リーマン・ショック後、先進国は軒並み利下げを行ったため、外貨預金の金利も大きく下がっています。
銀行によって多少違いますが、8月10日現在、米ドルもユーロも0.01%、豪ドルは1.5%程度(6カ月ものの定期預金の場合)。今は、金利には期待はできない状況です。
「為替レート」、この先さらに円高になる可能性もあることには注意が必要
次に為替レート。外貨預金に限らず、外貨建ての金融商品は、為替相場の影響を受けます。外貨預金を解約したときの為替レートが、預け入れのときより低くなっていると為替の差益が得られて受取額は増えますが、高くなっていると為替差損が生じて、預け入れたときより少ない金額しか戻ってきません。
今、米ドルやユーロに対して円高の状態が続いているので、将来的に円安になると予測すれば、外貨預金をするにはいいタイミングといえます。ただし、この先さらに円高になる可能性もあることには注意が必要です。
「為替手数料」は、円と外貨を交換するときの為替レートに上乗せされている
3つめは為替手数料。外貨預金は、円を外貨に交換して預け入れるときと、解約して外貨を円に戻すときに手数料がかかります。
米ドルの場合、1ドル当たり1円、とする銀行が多くなっています。例えば、1ドル80円のときに10万円分ドル預金に預け入れたとすると、手数料は1250円(10万円÷80円=1250ドル)。預け入れた金額に対して1.25%です。手数料は解約のときにもかかるので、為替レートが同じならやはり1.25%で、トータルで2.5%。現在の米ドル預金の金利は0.01%ですから、手数料のほうが金利を大きく上回ることがわかります。
「外貨預金をしたことがあるけど、手数料なんてとられた覚えはない」という人がいるかもしれません。為替手数料は、円と外貨を交換するときの為替レートに上乗せされているので気づきにくいのです。
銀行は毎朝10時に、通貨ごとのその日の為替レートを決めます。例えばそれが、「1ドル=80円」だとすると、その日、ドル預金をするために円をドルに換えると、「1ドル=81円」のレートが適用され、米ドル預金を解約してドルを円に戻す場合は「1ドル=79円」のレートが適用されます。この1円の差額が手数料なのです。
為替手数料の金額は、通貨の種類ごとに各銀行が決めていて、一般的にネット取引やネット銀行のほうが安い傾向にあります。外貨預金をするなら、為替手数料の安い銀行でするのがおトクです。
外貨預金は金利、為替レート、為替手数料によって円に戻したときの受取額が変わります。ですから、外貨預金を利用するときは、元本割れしない為替レートがいくらなのか、あらかじめ計算しておくとよいでしょう。全国銀行協会や各銀行のサイトにあるシミュレーションを使うと便利です。
執筆者プロフィール : 馬養 雅子(まがい まさこ)
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)など著書多数。新著『明日が心配になったら読むお金の話』(中経出版)も発売された。また、リニューアルされたホームページのURLは以下の通りとなっている。
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