自動車メーカー上場各社の先陣を切って日野自動車が11日、2020年3月期(2019年度)の決算を発表した。今年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響が続き、グローバル販売の大幅減少は避けられないとした日野だが、営業利益では黒字確保を目指す構えだ。

  • 日野自動車の商品群

    コロナの影響でグローバル販売は大幅減少の見通しも、2020年度は黒字確保を目指すという日野自動車

国内トップ商用車メーカーの日野はコロナの影響について、2020年3月期の販売において2月以降、海外市場で生産・販売減に見舞われ、国内では大型観光バスの受注が大幅に減少していると説明した。

今期(2020年4月~)については「新型コロナウイルス感染拡大の収束が見通せない中で、国内はトラック市場が4月~9月から落ち込み、観光バスの大幅減少が年度内まで影響を受けそう。海外市場も上期は大幅減少が避けられない」(下義生社長)との見方。先行きが不透明なことから、今期の業績見通しは未定とした。

しかし、下社長は今期の収益目標を売上高1兆5,000億円、営業利益100億円とし、黒字確保を目指す姿勢を示した。「この未曾有の危機に物流・輸送を担い支える商用車メーカーとして、ピンチをチャンスと捉えて雇用を守り抜き、需給対応・固定費削減・投資見直しにより、変動に強い事業構造への転換を進める」方針だ。

コロナ禍出口戦略も見据えて電動化で協業拡大

日野自動車はトヨタ自動車が50.1%を出資するトヨタグループの商用車メーカーだが、グローバル戦略として独フォルクスワーゲン(VW)の商用車部門であるトライトン(TRATON)と2018年に電動化戦略で提携、さらに、2020年4月には中国のBYDと商用車EV(電気自動車)開発における協業を発表している。

電動化と自動運転への対応は、「ドライバー不足は世界的なもので、商用車こそ先行して実用化される」(下社長)との見方から、今期の投資関連の見直しも「CASE(コネクティッド、自動化、電動化、カーシェアリングなど)や新領域への投資は減らすことなく、メリハリを付けていく」とし、コロナ禍の出口戦略も見据えて進めていく考えを強調した。

電動化戦略では、トヨタと大型燃料電池(FCV)トラックの共同開発を進める一方で、トライトンとは電動プラットフォーム・電動化コンポーネントの一括企画、BYDとは商用車EV開発での協業と多面的な展開を推進していく。「トラック・バスは用途に応じた電動化が求められる。EVに強く実績のあるBYDと組むことで、バスや市内配送用EVのコストダウンが図れる」(下社長)とする。

  • 日野とトヨタの大型燃料電池トラック

    電動化戦略で多面的な協業関係の構築を進める日野。トヨタとは大型燃料電池トラックの共同開発を進めている

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、物流が生活基盤として再認識されたとの認識を示した下社長。コロナ収束後、従来の延長線上にはない新たな世界・経済活動が到来する未来を見据え、商用車メーカーとして事業改革を急ぐ方針だ。