最近の日経平均株価の動きが気になっている人も多いのではないでしょうか。

運用している資産の評価額が大きく上がったという人の中には、「このあたりで利益を確定しておこうか……」と考える人もいるかもしれません。

しかし、資産運用を始めた目的が「10年、20年先の将来のため」ということであれば、むやみに利益を確定する必要はないと考えます。

その主な理由について、2つの「わからない」に分けて解説します。

続けていたら得られたはずの利益を逃すおそれも

1つ目の「わからない」は、「相場が下がるタイミング」です。

資産運用を始めてから、「相場の動きが気になるようになった」という人もいるでしょう。

日々のニュースやSNSなどでは、相場の動きについて「今が天井だ」「もうすぐ急落する」などという予測が話題になることもあります。しかし、短期的な相場の動きを正確に予測し続けることは専門家であっても難しいものです。特に、いつ、どの程度下落するのかを完璧に見抜くことは現実的には不可能と言えます。

「そろそろ下がるのではないか……」と予想して利益を確定した結果、さらに相場が上昇し、その分の利益を取り逃してしまうおそれもあります。これまでにも、相場の下落を恐れて利益を確定したものの、その後も上昇し続けたため慌てて買い直した、といった経験がある人もいるのではないでしょうか。

そもそも、なぜ利益を確定するのでしょうか。資産運用によって得られる利益をなるべく大きくしたいならば、相場下落の影響を避けられるというメリットだけでなく、資産運用を続けていれば得られたはずのリターンを取り逃すというデメリットについても考える必要がありそうです。

自信を持って再開できるか「わからない」

2つ目の「わからない」は、「資産運用を再開するタイミング」です。仮に利益を確定した直後に予想通り相場が下がったとして、売却したお金はどうする計画でしょうか。

将来のための備えとして資産運用を始めたのであれば、相場が下がりきったタイミングで資産運用を再開しようと考えるかもしれません。

しかし、いったん売却したあと、入金して「運用を再開するタイミング」を見極めることも、実際には非常に難しいものです。

相場がいつ底を打って上昇に転じるかの見極めができるでしょうか。「もう少し下がったら再開しよう」と待っているうちに、思いのほか早く相場が回復し、運用を再開しそびれることもあり得ます。あるいは、相場が落ち着いたら再開しようと考えていても、自信を持って再開できるまでは時間がかかり、結局は運用をずっと続けていた方がパフォーマンスが良かったという結果になることも考えられます。

経済は短期的には停滞したりマイナス成長になったりすることもありますが、長期では徐々に成長していくと考えられています。

将来のために資産を増やすことを目指すのであれば、一時的な下落や上昇に一喜一憂せず、淡々と続けることを心がけていただきたいです。

必要なときに、使う分だけ売却しよう

売却するのは、相場の動きと関係なく、ご自身が資金を必要とするときにしましょう。

多くの人にとって、資産運用を始めた当初の目的は目先のお金を少し増やすことではなく、この先、豊かな人生を送ることにあったのではないでしょうか。将来、退職したあとに生活資金として引き出す、あるいはやりたいことを実現するための資金にする、といった理由で売却するのは自然なことと言えます。

まとまったお金を必要とする時期が決まっているのであれば、必要な金額だけ計画的に売却することをおすすめします。

たとえば、住宅の購入資金や子どもの進学費用、あるいはご自身のライフイベントなどがあるでしょう。残りの資産は市場に投じ続けることができ、その分の値上がり益を逃したり、再投資のタイミングに悩んだりする負担もなくなります。

どうしても相場の動きや資産の評価額が頻繁に気になるようであれば、一度、ご自身がリスクを取りすぎていないかどうか、振り返ってみるのも良いでしょう。

ここで言う「自分に合ったリスク」とは、一般的に、年齢や収入、金融資産の額、運用目的などから判断します。余裕資金を確保した上で、相場が一時的に下がっても当面の生活費には影響がなく、心理的にも負担にならない程度の金額を投じていると、運用を続けていきやすいです。

日々のニュースや相場の動きに振り回されず、自分自身の目標やライフプランを大切に、コツコツ続けていきましょう。