「年収を上げたい」「仕事ができる人になりたい」「一流の職業人になりたい」
でも、どうしたらいいのかわからない。

「一流の職業人」への道のりは、決してラクな道程ではありません。そこに至るためには、人並みを外れた努力や経験を積む必要があります。

令和の時代に、そんな「努力論」「根性論」を語ると、若い人たちから「時代遅れの昭和のオッサン全開!」と言われそうです。しかし、果たして「泥臭く努力をすること」は本当に時代遅れなのでしょうか。

どんな時代であれ、「優秀な人」とは「人ができないことができる人」だったり、同じことなら「人よりも早くできる人」を指します。あなたは、周囲と同じような努力で、「人よりも優位に立つ」ことは実現可能だと思いますか。

  • 自分を「一流の職業人」に成長させるには?

「働き方改革」の負の側面。しわ寄せは若者に?

ビジネス社会は、あらゆる世代の職業人がしのぎを削る「階級のない格闘技」 です。昭和も平成も、団塊ジュニアもZ 世代も関係ありません。優秀な人間が、優秀なのです。「努力をすることの価値」は、いつの時代も不変なのだと思います。

昔は、会社に入れば手厚い研修制度があり、時間とお金をかけて丁寧に育ててもらえました。会社から提供される学びの場だけでは足りず、もっと早く、もっと貪欲に成長をしたい人は、割り当てられた仕事だけでなく、難易度の高いプロジェクトに自ら志願し、残業や休日出勤を含め、存分に努力することが許容される時代でもありました。

しかし、今は国をあげての「働き方改革」の真っ只中。成長意欲の高い人が「もっと努力をする機会が欲しい」「もっと短期間で圧倒的な経験を積みたい」と願っても、会社はそれを許容してあげられない「逆ブラック」な状態と言えるかもしれません。

その状況に、新型コロナウイルスの蔓延によるリモートワークの普及がさらに拍車をかけました。仕事のプロセスが見えづらいリモートワーク下では、がんばったかどうかよりも成果が問われます。そしてその成果は、自身の努力と創意工夫によって導出しなければならなくなりました。もはや、会社、上司、先輩、社会は、「まだ半人前の若者」を「一人前」に育ててはくれないのです。

だったら、自分で自分を育てるしかありません。もはや、誰もあなたのことを育ててはくれません。もう、自分で育つしかないのです。

一方で、多くの人たちが「賢く働けば、量をすっ飛ばして質を高めることができる」と考えていることに強い危機感を持ちます。

なぜなら、「効率は量からしか生まれない」からです。効率とは「やったほうが良いこと」と「やらなくて良いこと」を判別することができて初めて向上させることができます。経験が少ない中で「やったほうが良いこと」と「やらなくて良いこと」を判別できる人はほとんどいないでしょう。

圧倒的な量をこなす中で、ムダなことがわかってくる。だから効率を上げることができるのです。

楽な方法があるなら、それはみんながやっている

では、残業が抑制される環境下において仕事の「量」を増やすにはどうしたら良いのでしょう? 残念ながら、働き方改革関連法が公布・施行された現代では「仕事の量」を「労働時間」として増やすことはできません。

仕事は時間内に超効率的に行い、期待もしくは期待を超える成果を出すアウトプットに集中する。そして「仕事の効率」を上げるための「思考量」と「学習量」の累積投下時間(=量)は、仕事の業務時間外の自己啓発で補うしかないのです(時間外にサビ残をやれと言っているわけではありません)。

「仕事は超効率的に成果を出すアウトプット時間」「自己啓発は仕事で最大成果を出すための戦闘力を上げる時間」と位置づけてください。

世の中には無数の「誰でも簡単に」「努力せず」「すぐに」「確実に」成果が出る「インスタントな方法論」があふれています。しかし、実際にはそんな方法などこの世に存在しません。

100万歩譲って、仮に「そんな魔法の杖」が存在していたとしても、誰でも簡単に、努力せず、すぐに、確実に成果が出るのなら、あなた以外の大勢もすでに実践しているはずです。

もう一度言います。「一流の職業人」への道のりは、決してラクな道程ではありません。さらに厳しいことを言えば、ほとんどの人は途中で挫折したり、あきらめてしまったりし、ゴールにたどり着くことはできないでしょう。だからこそ、希少価値があるのです。

ワークが楽しくないのに、「人生は幸せ」と言えるのか

僕は、過去20年以上、大企業の広告宣伝、PR、マーケティング業務の支援に携わってきました。ソーシャルメディアの黎明期だった2007年(当時34歳)のときに株式会社トライバルメディアハウスを創業し、以降16年にわたって300社を超える大企業のデジタルマーケティングやソーシャルメディアマーケティングの支援を行ってきました。

年間の講演回数は50回以上で、今までのべ3万人を超えるマーケターの育成にもかかわってきました。そんな僕の今のポジションは、若い頃、特に20代での膨大な自己投資の結果、獲得したものです。結局、人間は「仕事の充実」と「人生の充実」を切り離して考えることはできないのです。

ワークライフバランスという言葉の普及・浸透にともない、仕事とプライベートのバランスを重視する働き方を志向する人が増えたように思います。そのこと自体に何の異論もありません。

でも僕は、多くの人が持つワークライフバランスという言葉が持つ「意味合いの解釈」に強い違和感を持ちます。「ワーク」は辛いもの。「ライフ」は楽しいもの。だからバランスを取るのが大事、と解釈をしている人がとても多いように感じるのです。

仕事観も人生観も幸福観も人それぞれですが、ワークがつまらなかったら、どんなにライフが楽しかったとしても「人生トータルでの幸福感」は得られないのではないでしょうか。

また、ワークライフバランスという概念を、これから伸び盛りの若者から、アガリの見えた中高年まで同じように適用しようとするのが間違いだとも思います。この記事を熱心に読むみなさんも、「こうした風潮はまやかしで、このままでは将来マズイのでは?」という思いがあるのではないでしょうか。

あなたは今、「一流の職業人」になり「幸せな人生」を送る自己投資の旅の出発地点に立っています。「普通のままで終わりたくない!」「将来ヘタレな中高年になりたくない!」という人は、自分で自分を育てて行ってください。

著者プロフィール:池田紀行(いけだ・のりゆき)

株式会社トライバルメディアハウス 代表取締役社長。300社を超える大手企業の広告宣伝・PR・マーケティング部に対するデジタルマーケティングやソーシャルメディアマーケティングの支援実績を持つ。『自分を育てる「働き方」ノート』(WAVE出版)など著書多数。