数ある投資の中でも、少額から始められ、郵便局や銀行でも買える、といった敷居の低さから、多くの人の注目を集める「投資信託」。老後の資産形成にも有益だと言われていますが、本当に投資信託でお金を増やすことはできるのでしょうか。

この連載では、金融商品の斡旋や販売をしない中立的なお金の学校ファイナンシャルアカデミーが、投資信託の「よくある落とし穴」の中身を分解しながら、着実に資産形成をするためのヒントをお伝えします。

連載6回目の今回は「インデックス投資VSアクティブ投資」の落とし穴について勉強していきましょう。

  • 「アクティブ投資よりインデックス投資がオススメ」は本当か

インデックス投資がとにかくオススメ!って本当?!

投資信託に興味のある人なら一度は耳にしたことのある「インデックス投資」や「アクティブ投資」という言葉。これは、投資信託を「どういう方針で運用するか」について示したもので、商品を選択するうえでは欠かせない要素です。

インデックス投資は、その名の通り、市場の動向を示す「指数=インデックス」と同じ動きになることを目指して運用することで、パッシブ投資と表現されることもあります。

インデックス投資を方針とする商品は、「インデックス型投信」「インデックスファンド」などと呼ばれます。ここで言う指数の定番として挙げられるのが「日経平均株価」や「TOPIX」。「日経平均株価」は日本の代表的な225社の平均株価をもとに算出した指数で、「TOPIX」は東証1部に上場する全銘柄の時価総額をもとに算出した指数です。その他、経済ニュースで耳にする「S&P500」や「NYダウ」もアメリカの代表的な指数です。

一方のアクティブ投資の商品は「アクティブ型投信」「アクティブファンド」などと呼ばれます。こちらは、運用のプロであるファンドマネージャーが、ベンチマークとなる指数を上回る収益獲得を目標に積極的に運用するものです。

例えばベンチマークが日経平均株価だった場合、日経平均株価を大きく上回ることを目指します。中には、ベンチマークとなる指数を具体的に設けず、とにかく大きな成果をあげます! という商品も存在します。

インデックス型投信とアクティブ型投信を比べたときに、最も違ってくるのが「信託報酬」です。指数に連動することを目指すインデックス型の多くはコンピューターで自動運用されているため、信託報酬が低めに設定されているのですが、大きな成果を目指すアクティブ型は、ファンドマネージャーの手間暇、つまり人件費が多くかかるため信託報酬が高くなります。

信託報酬は前回勉強した通り、投資信託を保有している間は、毎日かかり続ける手数料。そのため、初心者向けのブログや書籍では「インデックス投資の方がオススメ!」とされることが多いのです。ですが、実際のところはどうなのでしょうか。

アクティブとインデックス、2000万円作るにはどっち?!

少し前のデータですが2017年10月までの5年間で、インデックス型投信とアクティブ型投信がどのような成績だったか具体的に比較してみましょう。わかりやすくするために、同じ国内株式型の商品を比べます。

騰落率(とうらくりつ)という、ある期間の始めと終わりとで価格がどれだけ変化したかを表す数値を比べてみると、アクティブ型投信で一番成績が良かったものは295.3%、逆に最も低いもので103.9%でした。前者は年間にすると約4割も成長したという優秀ファンド! 一方後者は、年間の成長はわずか0.7%ほどでした。

ではインデックス型投信はどうだったかと言うと、一番成績が良かったもので165.2%、一番成績が悪かったもので154.7%。両者にそこまで大きな差はなく、いずれも年間で10%ちょっとの成長でした。

ご覧の通り、アクティブ型の場合、敏腕ファンドマネージャーが日々良い投資先を探し、最適配分を考え投資しているとは言え、その判断が100%正しいとは言えません。残念ながらインデックス型より成績が下回ることもあるのです。しかしその一方で、他の投資手法でも難しいような年間40%の成長を実現することも!

一方インデックス型は、常に指数と同じ動きになることを目指して運用するので、この期間のように指数自体が上昇した場合は問題ありませんが、相場が大きく下落したときには、当然それに連動して下がるように運用されます。

良くも悪くも凸凹の激しいアクティブ型と、とにかく指数にぴったり連動することを目指すインデックス型。この実態を見て、みなさんはどう思われましたか?

「信託報酬が高いうえに、インデックス型の結果より下回ることがあるなら、やっぱりアクティブよりインデックスの方がいい」と考えるのか。それとも「ここまで大きくプラスを出せる可能性があるのなら、アクティブの方が魅力的だ」と考えるのか。

選択は人それぞれで良いと思いますが、私たちはシンプルに「相場が良いときも、悪いときも、良い成績を出せる商品を選べれば、それが一番良い」と考えています。

アクティブ型の運用成績に大きな差があるなら、その中から信頼できる商品を選べばいいだけのこと。もちろん投資である以上、どんなときでもプラスの運用成績が出るとは限りませんが、「優秀な1本」を見つける方法は実際に存在します。

「投資信託スクール」の授業でもこうした方法を具体的にお伝えしているのですが、純資産総額や過去の運用成績、そして細かなチェックポイントによって、誰でも「優秀な1本」に巡り合うことができるのです。

あなたが今何歳で、毎月どれぐらい積み立てることができるのかによって、投資信託で2000万円を作るための戦略は大きく変わります。

もちろん、商品を選ぶうえで信託報酬は低いに越したことはありません。でも、目的が「お金を増やすこと」だとしたら、やっぱり「手数料が低いこと」よりも、「どんな相場でもしっかり収益を出せること」を最優先に考えるのが、本質なのではないでしょうか。それを学ばずして、世間一般に言われる「アクティブはやめておいた方がいい」を鵜吞みにするのは、もったいなすぎるように思います。

次回は、最近よく耳にする落とし穴「株式型投資信託がまさかの債券メイン?!」について、深掘りしていきたいと思います。

ファイナンシャルアカデミー

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