前回、33歳にもなっていまだに現役のギャル男で、女遊びが三度の飯よりも大好きというOから「正しい女子との知り合い方」を教えてもらった。

「女と知り合いたければ、女友達がたくさんいる男と仲良くなればいいんだよ。そういう男と知り合えば自然に友達の輪が広がって出会いも増えるだろ」

名づけてコバンザメ作戦。女を狙うなら、男を狙えということらしい。

実際、Oも高校生の頃は男子校に通っていたため、女子と知り合うことが困難だったとか。なるほど。僕も男子校だったからよくわかる。あの頃の僕も出会いを求めて必死だった。通学電車の中で女子に手紙を渡そうか、あるいはアルバイトや習い事をして女子と知り合おうか、とにかく一生懸命思考を凝らしていたものだ。

しかし、Oが実行したのはまったく違う方法だった。当時まだ垢抜けない童貞ボーイだったOは、いつも女子校と合コンしているクラスの遊び人軍団のリーダー格であるUに積極的に近寄っていき、彼と親しくなることで徐々に彼の遊び仲間とも交流していった。すると、Oの目論見どおり、半年もすればUの女友達と仲良く会話ができるようになり、その中の一人と晴れて男女の関係になれたという。

もちろん、そこに至るまでにはファッションも大幅に変えたらしい。今までは母親が買ってきた意味不明な洋服ばかりを着ていたOだが、お洒落軍団だったUファミリーにふさわしいスタイルになるよう心がけ、ただモテたいという一心でチンケなプライドを売りまくった。「別に抵抗なんかなかったよ。だって、モテたいじゃん」そう振り返るOの笑顔は、どこまでも清々しかった。

そんな話を聞いていると、つくづく思うことがある。男子にとって「女子にモテるようになる」ということは「自分の属性を変える」ということなんじゃないか。

正直、若い女子の多くは男子を属性で判断する傾向があると、僕は勝手な偏見を膨らませている。アキバ系オタク軍団やガリベン軍団などはどんなに性格が良くて誠実な奴でもなぜか女子にモテない一方で、体育会系のスポーツマン軍団や遊び上手なお洒落軍団などはどんなにブサイクでもなぜか女子が集まってくる。だって、ほら。お笑い芸人という属性だけで、どんなに太っていようが禿げていようが、ある程度モテたりするわけじゃないですか。芸能人男子がほぼ間違いなく一般人よりモテるのは女子が男子を属性で判断する傾向があるからだと思えてならないのだ。

ちなみに男子はあまり女子の属性を気にしないように思う。ハリセンボンが芸人という属性だから男子にモテるということはないだろうし、上戸彩は芸能人じゃなくてもモテるはずである。さっきから酷いことを書いているようだが、世の中とは意外にそういうものじゃないのか。そんなシビアな現実を甘んじて受け止めつつ、それでも僕らは素敵な恋愛を夢見ている。そうやって人類は進化してきたのだ。

「モテる男になりたければ自分の属性を変えろ」

僕は自分にそう言い聞かせた。大体、孤独な執筆業という仕事柄、僕はいつのまにかすっかり出不精になっているし、男友達のほとんどは彼女がいるか結婚しているため、すっかり「女性と縁のない属性の男」になってしまっているのだろう。

よし、まずは自分の生活スタイルを変えよう。男女問わず、なるべく多くの人が集まる場所に出かけていき、例え一人でも出会いがありそうなバーや居酒屋などに積極的に顔を出すようにする。そうやって少しずつ人脈を増やしていくことが、やがて自分の属性を変えることにつながるはず。まず退治すべきは出不精な性格なのだ。

すると、Oはこう言った。

「イベントとか飲み会みたいなのがあったら連絡するよ。直接的な出会いにつながるかどうかはわからないけど、たまにはそういう場に顔を出してみたら?」

僕はもちろん快諾する。それどころか、男同士でも時間があえば飲みに行こうと野良犬のようにアピールした。現実的な恋愛どうこうの前に、まずは自分にこびりついた「モテない病ウィルス」を落とさなければ。この時の僕はOと一緒に遊ぶようになるだけで、少しは「モテ男病」が伝染しそうな気がしたのだ。

山田隆道最新刊発売中! 「雑草女に敵無し~女性ADから教わったたくましく生きる極意~」(朝日新聞出版)

不況、不況と言われ、元気がない人が多い昨今。どうしたら楽しく明るく日々過ごせるでしょうか。本書で取り上げる、テレビ制作会社で働く女性ADこと、"雑草女"は、そんな不況なんてどこ吹く風。たくましく生きます。

  • 我慢できるうちは病気じゃない
  • 世の中、下には下がいる
  • お金がないならおごってもらう
  • 体型が気になるならあえて太ってみる
  • 嫌なことがあったら仕事をさぼる……
など、笑えてちょっぴりためになる珠玉の極意がたくさんつまった一冊になります。みんな元気のない時代に、この本を読めば、元気と勇気を取り戻せることうけあいです。
作 : 山田隆道
定価 : 1,300円(税抜)

山田隆道渾身の長編小説「赤ラークとダルマのウィスキー」がベースボールタイムズウェブサイトにてリニューアル連載中!

あの頃、虎は弱かった。
ダメ虎と呼ばれた阪神暗黒時代に生涯を翻弄された或る白髪のトラキチ。山田隆道が描く涙と笑いのベースボール浪漫!