みずほ総合研究所の調査によると、2018年夏の民間企業における一人当たりのボーナス支給額は、前年比+2.0%となり、3年連続で増加する見込みです。

ボーナスは投資を始めるチャンス。とはいえ、初心者がいきなり直観で選んだ商品に投資をするのはリスキーです。今回は、長く楽しく投資をするための準備をしてみましょう。

毎月の給与の行方をチェック

まず、毎月の給与の状態からチェックしましょう。次の(1)~(4)のどれに当てはまるでしょうか。

(1)毎月の給与から一定金額を貯蓄しているし、ボーナスで家計を立て直すことはまずない。
(2)毎月の給与から一定金額を貯蓄しているが、赤字になっていることがあり、ボーナスで家計を立て直している。
(3)毎月の給与から貯蓄をするゆとりはないが、ボーナスは貯蓄に回せている。
(4)毎月の給与から貯蓄をするゆとりもなく、常にボーナスで立て直しており、ボーナスはほとんど貯蓄に回せていない。

(1)毎月の給与から一定金額を貯蓄していて、ボーナスで家計を立て直すことはまずないという方

貯蓄の習慣が身についている方です。ストレスにならない範囲で時々家計を振り返ってみる程度でいいでしょう。

(2)毎月の給与から一定金額を貯蓄しているが、赤字になっていることがあり、ボーナスで家計を立て直すことがあるという方

貯蓄の習慣は身についているのでしょう。ですが、現在の貯蓄額では家計に無理がある可能性があります。せっかく毎月貯蓄してもすぐに取り崩すことになったり、取り崩したくないがためにボーナスに頼ることになったり……というのは家計が安定せず、気持ちの面でもストレスになります。貯蓄はボーナスからと決め、思い切って毎月の給与からの貯蓄額を減らしてみるのもいいでしょう。

(3)毎月の給与から貯蓄をするゆとりはないが、ボーナスは貯蓄に回せているという方

現状維持でいいでしょう。家計を見直して毎月貯蓄できるようになるとより理想的ですが、毎月の給与の範囲内で家計をやりくりできているということも理想の一つです。

(4)毎月の給与から貯蓄をするゆとりもなく、常にボーナスで立て直しており、ボーナスはほとんど貯蓄に回せていないという方

毎月の家計を見直す必要がありそうです。現状はボーナスで立て直すことができているかもしれませんが、ボーナスは増える可能性もあれば減る可能性もあるもの。毎月の給与だけで家計を賄うことを目標にしましょう。当面は、ボーナスを投資に回すことよりも、ボーナスから財形貯蓄等で着実に貯めていくことを目標にしてみましょう。

投資を始める前に知っておくべきこと

前述の(1)~(3)の方は、値動きのある商品の購入、投資を検討してみましょう。値動きのある商品を購入する場合、当然「安く買って高く売る」と利益が出ます。“安いときに買おう!”と意気込みがちですが、初心者が「安いとき」を見極めるのはとても難しいことです。

値が下がったように見えても、そこからもっと下がることももちろんあります。そうして眺めているうちによく分からなくなり、また投資デビューできなかったという話をよく聞きます。とはいえ、「安いとき」と確信できないのに買うことにも抵抗があることでしょう。

初心者に向いているのは積立です。毎月同じ金額で値動きのある商品を少しずつ購入していきましょう。そうすると、値が安い月にはたくさん購入し、値が高い月には少しだけ購入することになります。平均してみると購入額を引き下げる効果があります。このやり方をドルコスト平均法といいます。

まず、ボーナスから投資に回す額は、他の貯蓄とは別の口座に保管しておきます。そして、その投資専用口座から毎月一定金額を投資に回しましょう。どのような商品がいいのか、そしてどうすると利益を非課税にすることができるかは次回ご案内します。

国分さやか

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お金の教室 おさいふほんわか心もほんわか 代表
創価大学教育学部を卒業後、旧日本興業銀行の保険代理店や政府系金融機関に従事。"得をする方法を知りたい!"という一般生活者が多いものの、実は金融知識の不足から損をしている場面、しかも損をしていることにすら気付かない場面があまりに多い現実に問題意識を抱く。これを解消することを決意し、金融教育に携わる仕事を希望してFPの資格を取得。金融資産が増やすことだけでなく、幸福度数も増えることを大切にしている。現在、個人相談業務と並行して、金融の基礎知識を学ぶためのセミナーやFP資格講座、高校・大学、企業への出張講義などで活動中。


2013年
・第4回日本一のマネー講師決定戦E1グランプリにてグランプリ受賞
・第4回FP向上のための小論文コンクールにて奨励賞受賞
2014年
・三省堂より初めての出版(その後、学研出版等より計5冊の出版)
・日本FP協会電話相談員
・資格の学校TAC専任講師
2015年
・NHKラジオ「午後のまりやーじゅ」「ごごラジ!」お金のコーナー担当
2016年
・日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター

<保有資格>:CFP、FP技能士1級、相続アドバイザー2級、小学校教諭第一種、幼稚園教諭第一種