第一三共ヘルスケアは、東北大学大学院医学系研究科 公衆衛生学分野との共同研究により、働く人の歯周病と労働生産性との関連を調査した。研究成果は、10月29~31日に開催された第85回日本公衆衛生学会総会で発表された。

  • 歯周病と労働生産性の関連を示すイメージ

    歯周病と労働生産性の関連イメージ

近年、従業員の健康状態が企業の労働生産性に与える影響への関心が高まっている。同社ではこれまで、大規模生活者調査「JACSIS/JASTIS研究」のデータを活用し、睡眠や口腔ヘルス、疾病予防行動、生活習慣病などの健康指標と、労働生産性などとの関連について研究を進めてきた。

歯周病は、歯を支える歯ぐきや骨などに炎症が生じる疾患。今回の研究では、全国の一般住民を対象とした大規模生活者調査データを用い、労働者における歯周病の有無と労働生産性との関連を分析した。

解析には、2022年に実施されたインターネット調査「日本におけるCOVID-19問題による社会・健康格差評価研究(JACSIS研究)」のデータを使用。回答者3万2,000人のうち、不正回答者、非労働者、残存歯数が少ない人を除いた1万7,289人を対象とした。なお、使用したデータはすべて対象者の自己申告に基づいている。

歯周病の有無別に比較したところ、「労働生産性が低い状態にある」と評価された人の割合は、歯周病あり群で30.4%、歯周病なし群では22.2%となり、歯周病あり群で有意に高かった。

  • 歯周病の有無別に「労働生産性が低い状態」と評価された人の割合を比較した研究結果

    歯周病の有無による労働生産性が低い状態にある人の割合

さらに、年齢や性別、職種、学歴、喫煙状況、主観的健康感、過去1年以内の予防的歯科検診の有無などの影響を考慮して解析した。その結果、労働生産性が低い状態にあると評価された人の割合は、歯周病のない人と比べて歯周病のある人で1.37倍となった。

年齢や性別、職種などで対象者を分けた探索的な解析でも同様の傾向がみられ、歯周病のある人では労働生産性が低い状態にあると評価された人の割合が高かったという。

ただし、今回の研究は一時点における歯周病と労働生産性との関連を調べたもので、歯周病が労働生産性の低下を引き起こすという因果関係を示すものではない。

同社は今回の知見について、働く人の働きやすさや労働生産性を考えるうえで、口腔の健康に着目する重要性を示唆するものとしている。今後も歯周病と健康との関係について研究を進めるとともに、働く世代における歯周病予防や日常的な歯みがき習慣の啓発などを通じ、適切な口腔ケアの実践を後押しするとしている。