朝8時から焼きサンマにメカジキ、戻りガツオ。会場を歩けば農産物やスイーツ、木工品が並び、ホヤぼーやまで登場する。そんな“気仙沼の全部盛り”ともいえる「第40回気仙沼市産業まつり」が10月25日、気仙沼市魚市場で開催された。今回は、気仙沼にすっかり魅せられ、足しげく通うようになった筆者が、朝からその魅力を味わい尽くしてきた。
会場では気仙沼を代表する水産加工品のほか、農業・林業・水産業の地場商品を特別価格で販売。朝からサンマなど海の幸を味わえるコーナーをはじめ、会場内で食べられるグルメも盛り沢山で、気仙沼の食と文化を楽しめるイベントなのだ。
ふだんは非公開の魚市場に、大勢の一般客が来場する祭り
通常の日曜なら静まり返っている気仙沼市魚市場が、この日ばかりは朝8時から大盛況。イベントのオープニングでは市内の太鼓団体が演奏を披露し、低い雲がゆらめく気仙沼の海と山をバックに、重く勇壮な響きを轟かせる。
会場内の店舗は海産物や農産物、加工食品やお土産、スイーツ類、木工品や雑貨など多種多彩。ヤマト運輸や佐川急便のブースもあり、発送用に大量の物品を買い込んでいる人も少なくない。
気仙沼のアイドルであるPRキャラクター・ホヤぼーやも登場し、「お買い上げ大抽選会」では当選者と一緒に写真撮影。場内の「ホヤぼーや縁日」でも、ヨーヨー釣りや射的などに子供達が興じていた。
朝からサンマやメカジキなど海の幸を爆食い!
このイベントの大きな見所は、朝から気仙沼の海の幸を堪能できる「市場で朝めし。」だ。献立は焼きたてサンマの炭火焼き、炊き立てご飯、階上産わかめ汁、味付け海苔に加えて、ごはんのおとも3つを選択可能。もちろん全てが気仙沼産の食材だ。
昨今の不漁ですっかり高級品となったサンマを食べられるとあって、場内は長蛇の列。列の先にある受付でチケットを渡し、受け取ったお盆に焼きたてサンマを乗せてもらう。続けてご飯と汁物をもらい、おとものネギトロ・サーモンユッケ・炙り鮪子を選んでから、会場内のテーブルに座った。
サンマは皮が香ばしく、身は焼かれて引き締まりつつも脂分に富み、これだけでも来た価値があったと思えるほどの美味しさだ。
と、ここで気になったのが、すぐ近くで売られていた「メカジキのハーモニカ煮」。メカジキはカツオやサメなどと並び、気仙沼を代表する海産物のひとつ。なかでも「ハーモニカ」とは、メカジキの背びれ付近から少量しか取れない希少部位で、骨の間に身が詰まった形や、食べる姿がハーモニカを吹いているように見えることから、この名で呼ばれているという。
これも追加で注文すると、500円という値段に対して、かなりの重量感! 太い骨が平行に並び、その間に詰まった身をこそげ取って食べると、ふんわりと柔らかい。脂の旨みをたっぷり蓄え、甘辛い味付けも相まって角煮やスペアリブのような感覚だ。朝から気仙沼の海の幸をしっかり堪能した。
普段は入れない魚市場の裏側へ
今回は「気仙沼市魚市場ガイドツアー」にも参加した。普段は関係者以外立ち入れない市場内を歩き、荷捌所やフォークリフトなど、水産業を支える現場を間近に見ることができる。
現在の気仙沼市魚市場は、東日本大震災後の復興計画に基づいて旧施設を修繕・増築し、2019年に完成したもの。市場内では衛生管理や鮮度・品質管理を徹底しており、入退場にはICカードを使用。場内で使われるフォークリフトも電動式だという。
さらに、必要な場所だけを冷却できる低温売場など、魚介の品質を守るための設備も備える。2階の水産情報等発信施設では、漁船での生活や漁業用品などを紹介。マグロの遠洋漁業に携わった漁師OBによる講話もあり、実体験を交えながら、気仙沼の漁業について知ることができた。
産業まつりは美味しいものが盛りだくさん!
またこの日は、9月の「戻りかつお祭り」に引き続き、「戻りかつおの藁焼きお振る舞い」が行われた。藁焼きのカツオを受け取って頬張ると、もちもちとした弾力とともに、海の旨みが弾けるような味わいだ。
ほかにも、会場には気軽に食べ歩けるテイクアウト品が豊富。いずれも気仙沼の自然・文化・産業に根ざしたものばかりで、筆者もあれこれ味わっているうち、すっかり満腹になってしまった。
ガイドツアーをしていた気仙沼市産業部水産課の担当者によると、現在の気仙沼市魚市場ができた際、普段は衛生管理の都合で関係者以外が入れない市場のことを、一般の人にもよく知ってもらいたいと、このツアーが始まったのだそう。
普段は水産業を支える“気仙沼の台所”が、この日だけは巨大な食のテーマパークに。魚市場の裏側をのぞきながら、サンマもメカジキもカツオも味わえる。気仙沼の「うまいもの」を一度に知るには、これ以上ない一日だった。


















