あの試合、あの言葉、そして本編では描かれなかった彼らの姿も――人気漫画『ハイキュー!!』の3度目となる原画展「古舘春一 ハイキュー!!展 挑戦者たち」が、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで始まりました。今回は、日向翔陽と影山飛雄を中心とする登場人物たちの挑戦を、直筆原稿や大型グラフィックで振り返るとともに、古舘氏による新たな描きおろしも公開されています。

  • キービジュアル「姿勢を正す」高校3年生となった日向、影山、月島、山口を描いた、本展描きおろしキービジュアル「姿勢を正す」©古舘春一/集英社

    キービジュアル「姿勢を正す」高校3年生となった日向、影山、月島、山口を描いた、本展描きおろしキービジュアル「姿勢を正す」©古舘春一/集英社

3度目の原画展は何が違う?

『ハイキュー!!』は、古舘春一氏が2012年から2020年まで「週刊少年ジャンプ」で連載した青春バレー漫画。宮城県の烏野高校を舞台に、小柄ながら抜群の運動能力を持つ日向と、天才セッター・影山らが、仲間やライバルと切磋琢磨する姿を描いた作品です。

原画展は、2018年の「ハイキュー!!展 ゲンガ×タイカン」、2020年に始まった「連載完結記念 ハイキュー!!展」に続いて今回が3度目。タイトルに掲げられているのは、「挑戦者たち」。試合の勝敗だけでなく、登場人物たちが経験を重ね、競技や自分自身と向き合いながら、何者になっていくのか。その歩みを、プロローグと5つのゾーンでたどる構成です。

注目は、本展のために描きおろされた、これまで描かれなかった彼らの姿。物語を知るファンにとっては、懐かしい名場面との再会に加え、登場人物への理解を深める新たな出合いも用意されています。

  • 会場風景/シュヴァイデン アドラーズ対MSBY ブラックジャッカルの一戦を紹介する「ZONE4」。頭上のビジュアルや床面の装飾も、プロの舞台を演出する©古舘春一/集英社

    会場風景/シュヴァイデン アドラーズ対MSBY ブラックジャッカルの一戦を紹介する「ZONE4」。頭上のビジュアルや床面の装飾も、プロの舞台を演出する©古舘春一/集英社

公式サイトに寄せたメッセージで古舘氏は、展示する原稿のトーン剥がれを直すなどの作業で、原稿を見直したことに触れています。そこには「連載当時の熱量とか焦りとかが染み込んでる感じ」があり、汗のにおいまでしそうだったと、そんな原稿に残るものを感じてほしいと語られています。

出会いから全国大会へ――名場面を原画と大型グラフィックで

プロローグでは、プレーの瞬間や勝者と敗者が決まる場面などを集めた大型グラフィックが来場者を迎えます。ボールを追う身体、食いしばる表情、勝敗に揺れる顔。その一瞬を切り取った絵が、壁面いっぱいに並びます。

  • 会場風景/白熱するプレーや勝敗が決まる瞬間を集めたプロローグ。さまざまな登場人物の表情から「挑戦者たち」の物語が始まる©古舘春一/集英社

    会場風景/白熱するプレーや勝敗が決まる瞬間を集めたプロローグ。さまざまな登場人物の表情から「挑戦者たち」の物語が始まる©古舘春一/集英社

続く「ZONE1 頂を目指す者たち」は、日向と影山の出会いから、烏野高校がチームとして成長していく道のりへ。インターハイ宮城県予選、合宿、春の高校バレー宮城県予選と、全国への挑戦を振り返ります。

会場では、額装された原稿の周囲に、キャラクターや印象的な言葉を大きく配した展示が。出会いの場面には得点板も置かれ、床にはコートを思わせる白いライン。原画を見る楽しみと、物語の舞台を感じさせる演出が組み合わされています。

  • 会場風景/中学時代の日向と影山が向き合う、物語の出発点。原稿とキャラクター、得点板を組み合わせた「ZONE1」の展示©古舘春一/集英社

    会場風景/中学時代の日向と影山が向き合う、物語の出発点。原稿とキャラクター、得点板を組み合わせた「ZONE1」の展示©古舘春一/集英社

  • 会場風景/原稿の周囲にも、プレーや言葉を大きく配置。烏野と青葉城西の戦いを振り返る展示©古舘春一/集英社

    会場風景/原稿の周囲にも、プレーや言葉を大きく配置。烏野と青葉城西の戦いを振り返る展示©古舘春一/集英社

「ZONE2 いざ全国の頂へ」では、春の高校バレー全国大会へ。稲荷崎高校、音駒高校、鴎台高校との激戦を、古舘氏の直筆原稿とともに紹介。音駒との「ゴミ捨て場の決戦」をはじめ、チームごとに異なる戦い方や、選手たちの思いがぶつかる全国の舞台。知っている場面を追うだけでなく、一枚の中で視線や身体の動きがどう描かれているかにも注目したくなります。

  • 会場風景/全国大会で対戦する稲荷崎高校のエリア。チームの色や印象的な場面を組み合わせ、戦いをたどる©古舘春一/集英社

    会場風景/全国大会で対戦する稲荷崎高校のエリア。チームの色や印象的な場面を組み合わせ、戦いをたどる©古舘春一/集英社

描きおろしで出合う、知らなかった彼ら

特に見逃せないのが「ZONE3 なにもの」です。

春の戦いが終わり、3年生が卒業し、それぞれが新たな一歩を踏み出す。その中で、彼らはどのように自分自身や競技と向き合ってきたのか。古舘氏の描きおろしイラストによって、これまで描かれなかった姿が初公開。

大きな試合と試合の間にも、選手たちには日々の練習や選択がある。その時間へと目を向ける展示は、「あの人物が、どう今の姿につながったのか」を考える手がかりにもなりそう。

展示には、ブラジルに渡った日向の歩みを紹介する場面も。試合中のプレーだけでなく、食事や街の風景、生活を描いたイラストが並び、コートに立つ姿の向こうにある日々の積み重ねも注目ポイントです。

  • 会場風景/「ZONE3 なにもの」の展示風景。ブラジルでの日向の歩みを、プレーと生活の両面から紹介する©古舘春一/集英社

    会場風景/「ZONE3 なにもの」の展示風景。ブラジルでの日向の歩みを、プレーと生活の両面から紹介する©古舘春一/集英社

最終話の原画から、新たなキービジュアルまで

最後の「ZONE5 挑戦者たち」には、最終話の貴重な原画や、本展描きおろしのキービジュアルなどが並びます。

描きおろしキービジュアル「助走(日向翔陽)」「助走(影山飛雄)」には、成長の道のりをたどる場面と、今まさに跳ぼうとする姿が一枚に。現在のプレーが、それまでの出会いや経験とつながっていることを感じさせます。

  • 会場風景/日向と影山、それぞれの歩みを描き込んだ、本展描きおろしキービジュアル「助走(日向翔陽)」(左)と「助走(影山飛雄)」(右)©古舘春一/集英社

    会場風景/日向と影山、それぞれの歩みを描き込んだ、本展描きおろしキービジュアル「助走(日向翔陽)」(左)と「助走(影山飛雄)」(右)©古舘春一/集英社

出会いから全国大会、卒業後の選択、そしてプロや世界の舞台へ。名場面の直筆原稿に加え、初公開の描きおろしや新たなキービジュアルを通して、彼らの挑戦をたどれる今回の展覧会。以前の原画展を訪れた人にも、あらためて物語を読み返すきっかけになりそうです。

  • キービジュアル「助走(日向翔陽)

    キービジュアル「助走(日向翔陽)

  • キービジュアル「助走(影山飛雄)

    キービジュアル「助走(影山飛雄)

「古舘春一 ハイキュー!!展 挑戦者たち」は、森アーツセンターギャラリーで2027年1月11日まで開催です。

※本展には、一部アニメ化されていないストーリーの展示を含みます。

■information
「古舘春一 ハイキュー!!展 挑戦者たち」
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
会期:2026年10月30日~2027年1月11日/会期中無休
開館時間:10:00~20:00(最終入館19:30)
入場料:一般2,200円、高校生1,400円、小中学生900円、グッズ付4,400円
※価格は税込。日時指定制。会場でのチケット販売はありません。