いすゞ自動車は10月5日、水素を燃料とする燃料電池(FC)路線バス「エルガFCV」を発売した。同社として初となるFCバスの市場投入により、国や自治体のエネルギー政策やバス事業者のニーズに応じたゼロエミッション車両のラインアップを拡充し、公共交通のカーボンニュートラル化に貢献していく。
公共交通の脱炭素化および水素社会の実現に
「エルガFCV」はいすゞとトヨタ自動車が共同開発した大型FC路線バスだ。2024年発売のBEV(電気自動車)フルフラット路線バス「エルガEV」をベースに、いすゞが車体の企画・開発・設計を、トヨタがFCシステムの開発をそれぞれ担当した。
近年、カーボンニュートラルの実現に向け、公共交通分野においても地域ごとのエネルギー政策や市場ニーズに応じた多様なゼロエミッション車両が求められている。水素を燃料とするFCVは、走行中にCO2を排出せず、水素充填時間が短いことから、高稼働が求められる路線バス運行に適した選択肢のひとつだ。
いすゞは「エルガFCV」の投入により、BEVに加えFCVという新たな選択肢を提供し、ユーザーの多様なニーズに応えるとともに、公共交通のカーボンニュートラル化および水素社会の実現に貢献していく。
振動・騒音が少なく環境負荷を低減、高いバリアフリー性も実現
「エルガFCV」は充填した水素をFCスタック内で空気中の酸素と化学反応させ、その際に発電した電力でモーターを駆動して走行する。
FCスタックは最高出力113kW。容量157Lの高圧水素タンク3本を搭載し、約10分で水素充填が可能だ(水素ステーションの能力により異なる)。BEVの課題のひとつであるエネルギー充填時間を大幅に短縮できることに加え、走行中はCO2を排出せず、水のみを排出する。また、BEV同様に振動・騒音が少なく、環境負荷の低減にもつながる。
さらに、FCシステムと高圧水素タンクを屋根上へコンパクトに搭載することで、エルガEV同様、車内フロアのフルフラット化による高いバリアフリー性を実現している。
いすゞは中期経営計画「ISUZU Transformation - Growth to 2030(IX)」において、マルチパスウェイ(全方位)の考え方のもと、カーボンニュートラルソリューションの提供を推進。同社では「今後も、多様な動力源による商品ラインアップを通じて、お客さまとともに持続可能な社会の実現に取り組んでまいります」とコメントしている。
「エルガFCV」の主な特長
【環境性能】
・水素と酸素の化学反応により発電し、走行中はCO₂を排出せず、水のみを排出
【安全性】
・自車前方の歩行者・自転車を検知し、ドライバーへ通知する安全装置「フロントブラインドスポットモニター」を装備
・ ドライバーステータスモニター(DSM)と連動するドライバー異常時対応システム(EDSS)を装備。ドライバーに異常が発生した場合は車両を減速・停車させ、停車後は自動でパーキングブレーキを作動し坂路でも安全を確保
・車いすワンタッチ固定装置(オプション)を設定し、乗客および運転士の車椅子の乗降および固定作業の負担を軽減
【利便性】
・約10分の水素満補填により、高稼働が求められる路線バス運行に対応
・外部給電機能を搭載し、災害時などの非常用電源として活用可能
【主要諸元(代表車型)】
・全長×全幅×全高:10,545×2,485×3,440mm
・ホイールベース:4,990mm
・モーター:交流誘導電動機
・モーター最高出力:220kW(110kW×2)
・モーター最大トルク:970Nm(485Nm×2)
・FCスタック最高出力:113kW
・高圧水素タンク:157L×3本
・駆動用バッテリー:リチウムイオン電池(88kWh)
・水素充填時間:約10分※2
・航続距離:300km以上※5
・最小回転半径:7.9m

