第85期B級1級順位戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)は、6回戦全6局の一斉対局が9月24日(木)に各地の対局場で行われました。このうち東京・将棋会館で行われた渡辺明九段―菅井竜也八段の一戦は122手で渡辺九段が勝利。快勝といえる内容で開幕6連勝を飾っています。

歩得VS駒効率の対抗形

5戦全勝の渡辺九段を4勝1敗の服部慎一郎七段が追う今期のB級1組。対局数の違いはあれど13人中7人が2勝で並ぶ状況が混戦のレース展開を物語ります。3勝目を挙げ抜け出したい菅井八段は先手番で迎えた本局でノーマル三間飛車を採用。玉頭銀と呼ばれる積極策でさっそく歩得の戦果を挙げました。とはいえ形勢は互角で両者手探りの中盤戦へ。

歩損を受け入れた後手の渡辺九段は代償として金銀を素早く展開し駒効率で対抗します。大駒のさばきをめぐる難解な応酬が繰り広げられる中、先にリードを奪ったのは菅井八段のほうでした。自陣をコンパクトにまとめて後手陣に角を打ち込んだのが実戦的な駒得策。ひと足先に馬を作って主導権を握ります。夕食休憩明けから本格的な終盤戦が幕を開けます。

攻めさせて勝つ快勝譜

戦いのなかで香得の実利を得た菅井八段ですが、左辺に作った馬が働きに欠けることもあってなかなかよさを具体化できません。それを尻目に攻勢を取ったのが渡辺九段で、鋭い踏み込みで2枚目の飛車も先手陣に侵入させることに成功。美濃囲いの一瞬の堅さを生かして菅井八段が食いついたとき、強く攻め合いで余しにかかったのが勝着となりました。

後手玉にも王手がかかって怖い形ですが、渡辺九段は自玉が寄らないことを読み切っていました。終局時刻は22時38分、最後は攻防ともに見込みなしと認めた菅井八段の投了で渡辺九段の開幕6連勝が決定。攻めさせて余す強い勝ち方に観戦したファンも「負ける感じがしない」「渡辺九段にB級1組は似合わない」とA級復帰に大きな期待を膨らませました。

水留啓(将棋情報局)

  • 終局後の感想戦で着手する渡辺明九段

    今年度成績を8勝1敗とした渡辺九段、勝率ランキングでも単独首位に躍り出た(写真は第83期A級順位戦最終局のもの。撮影:會場健大)