
強さを見せつけられた1年
9/17、福岡ソフトバンクホークスのパ・リーグ優勝が決まった。圧巻の3連覇だ。ファイターズがこてんぱんにやられた(5勝18敗2分)せいもあるのだけど、肌感としては今年が3連覇でいちばん強かった。むしろ選手が揃わなかったシーズンではないだろうか。それでもチームとしての戦いを通じ、個々のプレーヤーがグレードを上げ、役割を全うし、非常に成熟した野球を見せてくれた。小久保裕紀監督の優勝インタビューを見たが、交流戦直前の日ハム3連戦を今シーズンのポイントとして挙げておられた。開幕シリーズの3連敗は勢いに呑まれたような感じもあったが、グウの音も出ない3連敗だった。世間的に「ホークスは巨大戦力で勝った」という見方をされがちだが、そうではなくて、チームは生き物だ。あの3連戦で「こうすればいいんだ」という自信をつけさせてしまった。高い壁が更に高く屹立したシーズンだ。おめでとうホークス。
が、ライバルの栄冠を祝ってばかりもいられない。その高い壁にこれから挑むのだ。同じ9/17、ファイターズは西武25回戦(エスコン)を戦い、4対2で勝利、CS出場を確定させた。ライオンズとの対戦成績は12勝12敗1分のちょう五分だった。これから残り10試合程度、0.5ゲーム差の叩き合いである。といって直接対決はないから、常にスマホの速報で他球場の経過を気にする感じの日々が始まる。CS 1stステージをホームで開催できるかどうかは興行収入も含め、本当に大きなファクターだ。
まさかのレイエス負傷離脱
僕はこの西武25回戦にフォーカスしたいのだ。状況を整理すると2位西武と3位日本ハムのゲーム差は1.5だった。当たり前だが、これを落していたら2.5差になって、残り試合での挽回がほぼ絶望的となる。逆に勝てば0.5差に肉迫し、射程圏となる。サッカー中継の煽り文句ではないが、「絶対に負けられない戦い」だ。ところがこの日、ファイターズは主砲レイエスがの登録抹消(右太腿裏の肉離れ)という大ピンチを迎えていた。いったん抹消しCS出場を目指すということなので、状態としては軽度のものだろうが、レイエス抜きで「絶対に負けられない戦い」に勝ち、残り試合のデッドヒートを乗り切らねばならない。思い出してほしい。一体、何試合レイエスのおかげで勝ちを拾って来たか。「ここは僕の居場所、ずっとここにいたい」という言葉に勇気をもらったか。
ファイターズはレイエス抜きで何がやれるのか。これが西武25回戦のフォーカス・ポイントである。それは取りも直さず「新庄ファイターズ」の成長を確かめることに他ならない。新庄剛志監督はシーズン終盤に至っても(チャンスの場面でルーキー大塚瑠晏をそのまま打席に立たせるなど)育成に重きをおいているとしか思えない。いや、もちろん勝敗度外視というのでなく、「育てながら勝つ」というニュアンスだ。まぁ、そこが「アンチ新庄」のファンには不満なのだと思う。ルーキーが来季開花するきっかけになったりするのは素晴らしいことだが、目の前の試合で負けていたらどうにもならないだろう。育成は場合によっては今、勝てないことのエクスキューズにもなり得る。
やるしかない局面
が、西武25回戦は「絶対に負けられない戦い」だ。これは注目だ。エクスキューズ不要。勝たなきゃならない試合の「新庄ファイターズ」。選手らは何年か前と比べれば見違えるほど逞しくなった。だが、レイエス抜きだ。誰が柱になって、どういう野球をするのか。新庄監督は3番清宮幸太郎、4番野村佑希、5番万波中正と「ロマン砲」でクリンアップを組んだ。いや、育成って言ってるなら、いつまでも彼らが「ロマン砲」じゃいけないんだよ。ロマンなんか秘めてても何にもならない。秘めてないで出し切れ。もう、そうすべき時期だろう。
結果から言うとこのクリンアップが奏功した。ことに野村佑希の4の2、2打点が光る。野村は色んなポジションを守らされ、便利使いされてるうちに気持ちが吹っ切れている。ぎりぎりの戦いでしっかり4番の仕事をした。これは評価すべきだろう。この後もこのクリンアップで行くのか、野村がどこを守って何番を打つのかさっぱりわからないが、もしかするとここで彼は大化けするのかもしれない。やるしかない局面。言い訳の許されない土壇場。そこで輝き、選手としてジャンプアップするケースがある。例えばエースになる前のダルビッシュ有がそうだった。
僕は西武25回戦はこれからに繋がる試合だったと思っている。それは野村にも言えるし、達孝太にも言える。グッと存在感の増した進藤勇也にも言える。みんなぎりぎりの戦いで成長している。いっそのことみんな大化けしてほしい。だって、高い壁、福岡ソフトバンクホークスにこれから挑戦するんだから。