LOMが語る、孤独を書き続ける理由、20歳の等身大を刻んだEP『19-20』

茨城県土浦市出身、2005年生まれの20歳のシンガー/ラッパー、LOM。14歳で本格的に音楽活動をスタートさせ、17歳で『ラップスタア誕生2023』に最年少で出演、トップ30に入り、一気に注目を集めた。19歳のときに「LV」がTikTok音楽チャート1位を獲得するなど、さらなる飛躍が期待されるなか、19歳から20歳を迎えるまでのLOMの等身大の想いを収めたEP『19-20』が完成した。JAKENの「OMAE (feat. 百足 & 韻マン)」やLittyの「Pull Up」などを手がけたヒットメイカー、LionMeloがプロデュースしたミドルテンポのメロラップチューン「19」をはじめ、ヒップホップの枠に収まらない、ポップパンクやJ-POP、ギターロック、ハイパーポップなど、多彩な楽曲が収められている本作について、LOMに話を訊いた。

―9歳のときに映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』を観たことがヒップホップとの出会いだったそうですが、N.W.A.の伝記映画を通して、ヒップホップにどんな魅力を感じたのでしょう?

ヒップホップって何でもありの世界なんだなって思いました。ラッパーの偉大さにも惹かれましたね。

―その後、14歳のときに本格的に音楽を始めるまで、どのようにヒップホップに触れていったのでしょう?

家族がスノーボードをやっていて、よく連れていってくれてたんですよね。それで横乗りの文化は身近にあったので、その流れで小学生からスケボーを始めて、毎日やる中で、自然とヒップホップカルチャーに触れていきました。地元の土浦はスケボーがかなり盛んなんですよね。土浦駅に行くと誰かしらスケボーをやっているし、新しいスケボーパークができていたりして。スケボーカルチャーと音楽が密接に結びついていて、一緒にスケボーをしていた友達にヒップホップのDJやラップをやっている子が多くて、自然と音楽を始めていました。とりあえず見よう見まねでリリックを書き始めましたね。当時スケーターの間で流行っていた、ヤング・サグやリル・モジー、リル・ウージー・ヴァートとかのUSヒップホップを聴くことが多かったです。あと、ONE OK ROCKとかも聴いてました。

―ラッパーになりたいっていう具体的なビジョンはあったんですか?

仕事はしたくないし、一生スケボーしてたいなって思ってましたけど、ラップは本当に遊びって感じでしたね。ビートをYouTubeから引っ張ってきてラップを乗せて、友達に聴かせたり、動画を撮ってもらってMVみたいにしてました。それで、YouTubeやSoundCloudに上げてましたね。

―特に影響を受けたアーティストは誰だと思いますか?

メロディの良さを教えてもらったのはリル・モジーです。リル・モジーのタイプビートとかを拾ってきて、ラップを乗せて「楽しいな」って思ってました。

―LOMさんの楽曲が一貫してメロディアスなのはその影響が大きいわけですか?

そうだと思います。耳に残るメロディのある曲に惹かれます。

―17歳で『ラップスタア誕生2023』のトップ30に入ったことでどんな手応えを感じましたか?

軽い気持ちで出てみたら、そういう結果が出て。一気にインスタのフォロワー数が増えたし、通知が止まらなくて驚きましたね。親に「俺、働かないから」って言って、高校に行かず、家でずっと音楽を作っていて。それでも生活させてもらえてたので、今思うと本当にありがたいですね。

―その2年後、19歳のときに、「LV」がTikTok音楽チャート1位を獲得してどう思いましたか?

14歳ぐらいからずっとぐだぐだしてて、でもまだ働けないしっていう気持ちもあってラップスタアに出たけど、それでもぐだぐだしてる生活は変わらなくて。「LV」を出したくらいの頃から、ちゃんとしようって思い始めました。ずっと親のすねをかじってぐうたら生きてたけど、音楽で生活できるようになって。「人生どうなるかわかんないな」って思いつつ、1位を取れたことで、仕事もせず高校にも行かないまま音楽をやってきた結果を出せたなっていう嬉しい気持ちはもちろんありました。ただ、これからどうなるかわからないし、どう進むのが正解かわからないので、複雑な気持ちもありましたね。今でもそうなんですが、本当に気分屋なんですよね。その日その日で考えてることが違って。例えば今日「明日曲作ろう」って思っても、結局やらない。スイッチが入るまでが長いんですが、入ったらぱーっとできちゃう。

―こうやって5曲入りのEP『19-20』ができたということは、スイッチが入ったっていうことですか?

そうですね。このEPを制作したときはずっとスイッチが入ってて、寝てるとき以外はパソコンの前にいるような状況でした。

―『19-20』には、ヒップホップだけでなく、ポップロック、J-POP、ギターロック、ハイパーポップ、ポップパンクとさまざまな音楽性が詰まっていますが、そういう方向性でいこうって考えた時期はあったのでしょうか?

ヒップホップは好きですが、昔からワンオクが好きだし、今はミセス(Mrs. GREEN APPLE)やヒゲダン(Official髭男dism)も好き。J-POPやJ-ROCKが好きで。ラッパーがJ-POPを聴くのはダサいと思っていた時期があったんですが、J-POPってヒップホップにはない歌詞の書き方やトラックの展開がすごく自由に感じられるんですよね。急にヒップホップのビートになったり、転調したり。作っていてすごく楽しいので、ヒップホップにこだわらず、いろんな曲を書いてみようと思いました。J-POPやJ-ROCKのリスナーにも届くような活動がしていきたいです。「ラッパーじゃない」って言われたら「確かに」って思います。そう言われても気にならないし、自分が好きなように音楽をやっていきたいです。

―EPの中で特にトライした曲というとどの曲だと思いますか?

特に3曲目の「Water lily」ですね。ヒップホップ好きでない人も楽しめる曲にしようと思って作った曲なので。ロックフェスに出たとしても浮かない曲にしたくて。フェスのお客さんに楽しんでもらいたいし、LOMのことを知ってもらいたいと思って作った曲です。LOMが夢を追っている20歳の少年だっていうことを伝えたいっていう気持ちと、音楽をやりたいと思っている人の背中を押したい気持ちを込めました。

―LOMさんの今の夢というと?

大きな会場でライブができるようになりたいですし、誰が見ても「すげえな」って思われるような存在になりたいです。

―20歳という若さで、下の世代の背中を押したいというマインドはどのようにして生まれたのでしょう?

自分が音楽を始めた頃の先輩たちが、そういうマインドを持っている人たちでした。自分が14歳くらいのとき、3個上のクルーがいて。自主イベントに300~400人を集めて、すごいなって思ってました。自分もそうやって、下の世代に背中を見せてやろうっていう気持ちになりました。自分もクラブに行き始めて、YouTubeで見て想像していた土浦のヒップホップシーンを目の当たりにしました。ラップスタアに出て、自分を知ってくれる人がたくさんできて、だからこそ、そういう気持ちを持つことが大事なのかなって。

―「Water lily」や「幸」には、時間が早く去ってしまう焦りが描かれていますが、どういうところから生まれる気持ちなのでしょう?

音楽を始めたときに「18歳までに絶対売れる」っていう目標を立てたんですが、いつの間にか18歳になってて、時間ってこんなに早く過ぎるんだっていう焦りを感じたんです。そういう気持ちが出てる曲だと思います。

―「NAVY」にも「幸」にも「愛」という言葉が出てきます。愛とはどういうものだと捉えているのでしょう?

孤独を感じることが多くて、その上で、愛がないと難しいなっていう考えがありますね。曲のデモを作ってるときは、一人で暗い部屋で作っているので、孤独感が強いですね。何が正解なのかわからないし。ライブも一人でステージに立っているので、孤独を感じます。だから「Diamond Love (feat. JAKEN & S-Liam)」とかフィーチャリング曲を作っているときは孤独は感じないですね(笑)。

―「Diamond Love (feat. JAKEN & S-Liam)」は代表曲の「LV」を思わせる、JAKENさんとS-Liamさんをフィーチャリングゲストに迎えたポップな恋愛ソングです。どういう曲にしようというやりとりがあったんですか?

朝も昼も夜も夜中も、一日を通して楽しめる曲にしたいっていう気持ちが強かった曲ですね。編曲をしてもらったRed-Tさんにざっくりとしたイメージを伝えて、送ってもらったトラックが楽しい曲に似合いそうだなって思って。みんなで作ってるときも楽しかったし、イメージ通りの曲になったと思います。楽しくないときでもこの曲を聴けば楽しくなれるような曲になったらいいなと思います。

―ソロで活動しているわけですが、誰かとクルーを組むという発想はなかったんですか?

なかったですね。集団行動が本当に苦手なので、自由に一人でやった方がいいのかなって。でも孤独って人間誰しも持っている感情だと思うし、孤独を感じている自分は好きなんですよね。だからこそ孤独を感じる人に寄り添える曲が書けると思っています。自分の曲に孤独が癒される曲もありますし。

―「NAVY」にも孤独感が出つつ、この世に何か残すという生き方の曲に聴こえました。

アーティスト活動を始めた頃から、自分がいなくなっても自分の作品が世の中に残り続けるようなものを作らないといけないっていう気持ちがありました。そうなったら救われるんじゃないかっていう気持ちで書いた曲ですね。

―「NAVY」はハイパーポップとポップパンクが混ざったようなトラックですが、どんなイメージがあったのでしょう?

本当にどの曲もその日のマインドで作ってますね。その日ごとの自分のモードが出た曲が入ったEPですね。

―「19」はタイトル通り、19年間の半生を綴った曲ですよね。

はい。19歳のときに、20歳になっちゃうし、今の自分を残さないと後悔するなって思って書いた曲です。

―地元を抜け出すっていうことが描かれてますよね。

まだ地元に住んでいるんですが、地元は好きだけど嫌いみたいな存在で。ただ、どれだけ売れても茨城には住んでいたいと思っています。LOMの名前だけでも茨城から抜け出せたらなっていう気持ちで書きました。

―「19」には<何回も繰り返してたMistake>というラインもありますが、ネガティブな感情が多く描かれていますよね。自分の半生を曲にすると、そういう感情が前に出てきたわけですか?

そうですね。もう何も考えず、自分のことしか考えていなかったんで。だから本当にたくさんの人に迷惑をかけて、たくさんの人に救ってもらって、結局自分じゃ何もできないんだなっていうことに気づけて。そういうバカバカしい自分を描いたって感じです。

―ただ、下の世代への継承という思いも入っています。

はい。そういう気持ちもあるんですけど、まだカッコつけて言ってる自分もいたりするのかなって、今になって思います。でも実現できたら嬉しいです。

―<嘘ばっかついて書いたあの歌詞よりは 今はまだマシになったのかな>というラインもあります。

ラップスタアに出た頃は本当に見栄っ張りでしたね。その頃の自分の曲を聴いたときに、薄っぺらくてファッションでやってるみたいな曲だなって思って恥ずかしくなって、「等身大でいよう」って思いました。

―等身大のLOMさんが詰まったEPになっていますが、今作から見えてくるLOMというアーティスト像をどう捉えていますか?

「LOMくん若いのにすごいよね」とか「いつも曲聴いてるよ」って言ってくれる人が多いんですが、俺はみんなと大差がないし、割とどうしようもない人間なので、申し訳なさまではいかないんですが、ちゃんと売れて期待に応えなきゃいけないなって思います。結構気持ちに波があるし、複雑な性格なので、自分の曲や声も嫌いな時期があったりするんですけど、みんなに自信をもらってますね。聴いてくれる人がいるから頑張らないといけないなって。

<リリース情報>

LOM

Digital EP『19-20』

2026年9月18日(金)リリース

=収録曲=

1. Diamond Love (feat. JAKEN & S-Liam)

2. 19 (Prod. LionMelo)

3. Water lily

4. NAVY

5. 幸

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