積水ハウスは9月17日、「男性育休白書 2026」 を発表した。調査は2026年5月14日~5月29日、配偶者および小学生以下の子どもと同居する20代~50代の男女計9,072人を対象にインターネットで行われた。

未就学児がいる家庭の男性育休取得率39.6%

男性の育休取得率は2019年の11.3%から年々伸長し、今回は39.6%と約4割が取得している。育休取得日数の平均は27.2日と昨年(21.5日)より5.7日増えている。育休取得の平均日数は2024年に36.1日と長期化したものの、2025年には21.5日と減少している。背景には、一度にまとめて長期間取得したり、必要なときに適宜取得するなど、各家庭の都合に合わせて取得しやすい状況が浸透してきたことが考えられる。今回も、個人の取得意識の浸透と企業側の育休制度の柔軟性が高まり、育休取得の多様化がさらに進んでいることがうかがえる。

  • 育休取得率/育休取得平均日数

    育休取得率/育休取得平均日数

2019年~2026年 男性の育休取得によるポジティブな変化

2019年の男性の家事・育児関与度は47.1ポイントと半数以下だったが、今回は79.3ポイントと32.2ポイントも高くなっている。女性も夫の評価が50.9ポイントから63.9ポイントへと13.0ポイント上昇している。

  • 男性の家事・育児関与度

    男性の家事・育児関与度

また、男性の育休取得後の意識の変化を、2019年と2026年で比較してみたところ、「夫が子どもと一緒によく遊ぶようになった」は、男性側の自己評価、女性から夫に対する評価ともに10ポイント程度増加しており、「他の保護者と積極的にコミュニケーションをとるようになった」についても、男性の自己評価が約10ポイント上昇している。これらのことから、この8年間男性の育休取得環境が改善されたこともあり、2019年と比べ、育休取得日数や取得率に加え、男性の育休取得の「質」が向上していることがうかがえる。

  • 子どもといっしょに遊ぶようになった/他の保護者と積極的にコミュニケーションをとるようになった

    子どもといっしょに遊ぶようになった/他の保護者と積極的にコミュニケーションをとるようになった

よりよい育休にするために向き合うべき課題 「心のワンオペ」の実態

皿洗いやゴミ出しなどの"見える家事・育児"に対し、「子どもの予定を把握する」「忘れ物がないよう準備する」「家族の体調や機嫌に気を配る」などの予定管理・先回りの判断を要する"見えない家事・育児"がある。この見えない家事・育児の負担を十分に共有できず、一人で抱え込むことで精神的な孤立につながることを本調査では「心のワンオペ」と呼ぶ。

"見えない家事・育児"の負担感は、男性52.3%と2人に1人、女性74.5%と4人に3人が負担を感じていることが分かった。また、家事・育児で孤独を感じた経験を聞くと、男性35.4%に対し女性は67.7%とおよそ2倍となっている。。子育て中の女性は、"見えない家事・育児"の負担感が大きく、孤独感は男性の倍以上という結果になった。負担感も孤独感も大きい女性は、「心のワンオペ」にも陥りやすいと考えられる。

  • "見えない家事・育児"の負担感/家事・育児で孤独を感じた経験

    "見えない家事・育児"の負担感/家事・育児で孤独を感じた経験

また、"見えない家事・育児"10項目のうち、自分が把握・管理していないと成り立たないと感じるものを選んでもらったところ、全項目とも男性より女性のスコアが高い結果となった。「子どもの体調や精神面のコンディションの変化に気を配っている」(男性24.4%<女性56.9% 32.5ポイント差)、「園・学校・習い事のスケジュールを把握し続けている」(男性17.7%<女性56.5% 38.8ポイント差)、「提出物や準備物に抜け漏れがないか意識している」(男性14.9%<女性55.9% 40.9ポイント差)が女性の上位に挙げられ、男女の意識差も大きくなっている。

  • "見えない家事・育児"の中で「自分が把握・管理していないと成り立たない」と感じるものは?

    "見えない家事・育児"の中で「自分が把握・管理していないと成り立たない」と感じるものは?

心のワンオペの原因となる"見えない家事・育児"の負担は、単に男性が育休を取得する「だけ」では軽減されないことも、調査結果から判明した。

夫の育休取得有無別に、女性が感じる"見える家事・育児"と"見えない家事・育児"の負担軽減度を考察したところ、"見える家事・育児"は夫が育休取得した女性の方が5.1ポイント低くなっている一方、"見えない家事・育児"の負担感は、1.0ポイントしか差がつかない結果となった。

  • "見える家事・育児"/"見えない家事・育児"

    "見える家事・育児"/"見えない家事・育児"

「夫婦間コミュニケーション」の重要性

「心のワンオペ」解消の方策として、調査結果をもとに考えられるのは「家庭内でのコミュニケーションに対する満足度」。家庭内コミュニケーションの満足度別に、"見えない家事・育児"の負担感を比較したところ、負担を感じる人の割合は男性8.7ポイント、女性8.2ポイントと、いずれも満足している人の方が割合が少ない結果となった。また、家事・育児において孤独を感じる人の割合についても、男性18.6ポイント、女性6.2ポイントと、男女とも家庭内コミュニケーションに満足している人の方が少ない結果になった。

これらの結果から、夫婦間で役割や気持ちをお互い共有し合うことが、"見えない家事・育児"の負担感や家事・育児の孤独感を軽減し、「心のワンオペ」解消にもつながるのではないかということがうかがえる。

  • 家庭内コミュニケーションの満足別 "見えない家事・育児"に負担を感じている割合

    家庭内コミュニケーションの満足別 "見えない家事・育児"に負担を感じている割合

  • 家庭内コミュニケーションの満足別 家事・育児で孤独感を感じた経験

    家庭内コミュニケーションの満足別 家事・育児で孤独感を感じた経験

"見えない家事・育児"の各タスクに対する認識について、コミュニケーションがとれている/とれていないと感じる人別に比較すると、コミュニケーションがとれている人の方が、"見えない家事・育児"を自分で把握・管理しているスコアが高く、その負担を認識できているという結果となった。男性が育休を取得しても、"見えない家事・育児"が十分に認識されていなければ、その負担は分担やサポートにつながりにくいことが考えられる。

  • パートナーとのコミュニケーション別 "見えない家事・育児"の認識

    パートナーとのコミュニケーション別 "見えない家事・育児"の認識

また、コミュニケーションをとることによる、"見えない家事・育児"の負担感や孤独感の軽減が、育休取得後にどのような影響をもたらしたのかについても比較をした。

男性は「子どもと一緒によく遊ぶようになった」「妻の負担を理解できるようになった」「育休中に家事・育児に当事者意識を持つようになった」の各項目で20ポイント以上の差が生じていることから、家事・育児に対して積極的になり、パートナーの負担を理解する姿勢も育まれていることがうかがえる。

  • 育休取得後の男性のポジティブな変化(上位10項目)

    育休取得後の男性のポジティブな変化(上位10項目)

同様に女性側も、コミュニケーションがとれていて孤独感を感じない女性の方がいずれのスコアも高い結果となった。特に「夫婦間での家事・育児のチーム意識が強くなった」は36.5ポイント、「育児や家事のストレスが減った」は28.8ポイントの大きな差が生じている。パートナーとのコミュニケーションがとれ家事・育児に孤独を感じない人は、男女ともに育休取得後のポジティブな変化を強く実感できているという結果となった。

  • 育休取得後の女性のポジティブな変化(上位10項目)

    育休取得後の女性のポジティブな変化(上位10項目)

"見えない家事・育児"、それによって起きる「心のワンオペ」は、男女どちらかに問題があって起きるものではない。夫婦間で、役割や気持ちをお互い共有し合うことが、"見えない家事・育児"の負担感や家事・育児の孤独感を軽減するカギとなることが、各調査結果から導き出された。

男性の家事・育児力全国ランキング

同社は2019年より、男性の家事・育児力調査を行っている。独自に設定した4つの指標を数値化し、都道府県別に集計した結果、全国1位は2023年以来3年ぶりに「高知県」(179点)、2位は「福島県」(176点)、3位は「栃木県」(175点)となった。

  • "男性の家事・育児力全国ランキング2026"TOP3の指標別スコア

    "男性の家事・育児力全国ランキング2026"TOP3の指標別スコア

「男性の家事・育児力」を決める4つの指標

同社では「男性の家事・育児力」を決める4つの指標を設定した。1つ目は「女性の評価」で、女性(妻)から見た男性(夫)が行っている家事・育児の実践数と、男性(夫)が子育てを楽しみ、家事や育児に積極的に関与しているかどうかを4段階で評価している。2つ目は男性の「育休取得経験」で、育休取得日数が基準となる。3つ目は女性(妻)から見た男性(夫)の「1週間の家事・育児時間」を基準とします。4つ目は男性の「家事・育児参加による幸福感」で、男性本人に家事・育児に参加して幸せを感じているかどうかを4段階で聞いた。

これら4指標5項目をそれぞれ数値化して47都道府県別にランキングし、1位に47点~47位に1点を付与、各項目の点数を足し上げることで、都道府県別の「男性の家事・育児力」を算出した。

  • "男性の家事・育児力 全国ランキング2026"TOP20

    "男性の家事・育児力 全国ランキング2026"TOP20