HBAは室蘭工業大学、北海道大学と共同で、学生を対象とした「Business Deal リアル商談体験ワークショップ」を9月4日に開催した。
生成AIや自治体DXを題材に、本物さながらの商談を模したワークショップを通じて、交渉力や提案力、意思決定力を実践的に学ぶプログラムだ。学生にHBAの事業領域への理解を深めてもらうとともに、大学と企業の連携を強化する狙いがある。
参加した学生が担った役は「企業の営業責任者」。自治体向けAI音声自動応答システムの全国展開を目指すIT企業「HBA社」と、自治体への営業ネットワークを持つ営業支援会社「シマエナガ社」に分かれ、2人1組で契約交渉のロールプレイに挑戦した。
ワークショップで登場した2社のうち1社は「HBA社」という社名だったが、両社ともロールプレイ用に作られた架空の企業・商材という設定。ゴールは相手を打ち負かすことではなく、双方にとって「良い契約」をつくることに設定された。
交渉に先立ち、学生には役割ごとに異なる秘密の指示書が渡された。相手の事情をすべて把握できない状況の中、質問を重ねてニーズや譲れない条件を探り、合意点を見つけなければならない。
契約時に検討するのは価格だけではない。報酬の仕組みや契約期間、営業方法、目標、提供サービス、リスク、今後の取引なども交渉材料となる。
学生たちは各社チームに分かれ戦略を練り、相手の立場を想像しながら条件を提案。交渉終了後に秘密の情報が明かされると、「もう少し強気に価格を交渉できたのではないか」「価格以外の条件にも目を向けるべきだった」といった気づきが生まれたそうだ。正解がひとつではないビジネスの面白さと難しさを、ゲーム感覚で体験できる機会になったという。
秘密の指示書を手に、学生が“本気の商談”に挑戦
HBA 経営企画本部 経営企画室の猪股宏史室長は、今回のワークショップについて、アイデアソンやハッカソンとは異なる学びを提供できたと振り返った。アイデアを考えたり、試作品を作ったりするだけでなく、異なる目的や制約を持つ相手と対話し、双方が納得できる合意をつくるプロセスに重点を置いたという。
また、AIや自治体DXという、HBAが実際に取り組む事業領域を題材にしたことで、学生は単なるゲームではなく、企業がどのように顧客と向き合い、何を重視して意思決定しているのかを実務に近い形で体験できたとする。
HBAは、学生が将来の仕事を具体的にイメージしながら、こうした力を身につけられる点に意義を感じており、今後も大学と連携した継続的なプログラムとして展開したいとしている。
参画した大学側も評価。実践的な学びを今後の連携へ
ワークショップに参画した室蘭工業大学 地域連携人材育成センターの柴田義光准教授は、当初「商談・交渉」は大学生活ではなじみが薄く、学生にとってハードルが高いのではないかと考えていたという。
しかし商談が始まると、学生たちは相手の事情を積極的に探り、熱心に交渉に参加する様子がみられたことが印象的だったそう。「相手の本音を引き出し合意形成を図る交渉力は、就職活動やその後のビジネス社会において間違いなく大きな武器となる。非常に有意義で貴重な機会を提供できた」(柴田氏)とワークショップを評価した。
今後はHBAのIT技術やビジネスノウハウと学生の柔軟な発想を組み合わせ、地域課題の解決に挑むアイデアソンやハッカソンなどへ連携を広げたい考えだ。
また、北海道大学 産学・地域協働推進機構 スタートアップ創出本部 アントレプレナー教育部門の部門長・特任准教授を務める椎名希美氏は、学生が価格だけでなく「相手にとって何が価値になるのか」を考えながら、さまざまな契約条件を模索していた点を評価。
実際の企業や、分野の異なる学生と直接関わる経験も「大きな刺激になった」と話し、「HBAは北海道に根差しながら、ITを通じて地域や社会の課題解決に取り組んでいる企業。今後も単発のイベントにとどめず、学生が企業や地域のリアルな課題に挑戦できる機会を継続的に広げていければ」と総括した。









