
(左から)川邉秀文さん、笹川友里
川邉秀文さんは、1996年に大和銀行(現:りそな銀行)へ入行。2015年、りそなホールディングスのIT企画部グループリーダーに就任。その後、2020年にグループ戦略部部長(特命担当)、2022年にDX企画部長兼グループ戦略部長を歴任。2024年には執行役に就任し、DX企画部、カスタマーサクセス部、データサイエンス部などの副担当を務めています。2025年からは執行役 兼 グループCDIOとして、DX個人部、DX法人部を担当。グループ全体のデジタル変革を統括しています。
◆「デジタル&データ」を軸にDXを推進
りそなグループには、りそなホールディングスという持株会社があり、その傘下にりそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行の4つの商業銀行を運営しています。グループ全体の規模について、川邉さんは、「個人のお客さまが約1,600万人、法人のお客さまは約50万社という形でお取引を頂戴しております。特徴としては、銀行の店舗ネットワークが金融機関最大規模で、有人店舗数が832店舗を有しており、主要なマーケットという意味では、関東と関西を中心としたお取引を頂戴している金融グループになっております」と説明します。
そんなりそなグループが、DXを進めるうえで掲げているキーワードが「デジタル&データ」です。そのポイントに、川邉さんは「お客さまとの接点を変えて体験価値を高めること」「新たな価値を提供すること」「コスト構造そのものを変えていくこと」の3つを挙げ、「デジタルのサービスによって、これまでお客さまと接点を持てていなかった部分のきっかけを増やせる状態ができます」と話します。
お客さまとの接点が増えるほど、サービスを利用した顧客の行動データが蓄積されるため、その結果をもとに、デジタルサービスの改善をおこない、それを繰り返しおこなうことが、りそなグループのDXのベースとなっています。
こうした取り組みを支えるのが組織のあり方です。川邉さんは、「金融+で、未来をプラスに。」というグループパーパスを紹介し、「当然、従来のサービスを信頼のもとお届けする前提ではありますが、さらに、その先に『どれだけ発想を広げてサービスを提供できるかを常にチャレンジすべし』というのがパーパスとしてあります。そういう観点では、発想としては自由でフラットな組織でやっていこう、ということかなと思っています」と語ります。
◆「りそなグループアプリ」が生む新たな顧客接点
りそなグループは、接点を持てないお客さまがどこに課題を感じ、どんなニーズを持っているかを知るための手段としてもDXに力を入れています。その成果の1つが、1,000万ダウンロードを突破した、りそな・埼玉りそな・関西みらい・みなと銀行の公式スマートフォンアプリ「りそなグループアプリ」です。
川邉さんは「お客さまが我々のサービスにタッチしていただけない限り、我々もお客さま(のニーズ)が見えませんので、今の状態は、我々としてもかなりありがたい形に近づいてきてはいるかなと思います」と手応えを示しつつ、「まだまだ接点が取れてないお客さまに対して、どういうサービスをもって、さらに深くお客さまとの接点をつくれるか。そういったところは、日々考えながらやっています」と、さらなる改善にも意欲を見せます。
「りそなグループアプリ」で特にこだわっているところがUI/UXです。川邉さんは、金融アプリの課題として入力項目や確認事項が多くなってしまう点を挙げ、「ボタンの位置1つとってもコンバージョン(成果)が違ってきますので、ユーザー側で見たときに、できるだけ最短距離でお取引を完結すること、そして、そのときのストレスをなるべく減らすこと、そういった部分について相当こだわって開発を進めております」と自信を見せます。
その結果、従来は店舗の窓口に行かなければならなかったところ、現在ではインターネットバンキングやATMをも上回り、アプリが最大の顧客接点となるまでに成長を遂げています。この変化に、川邉さんは「お客さまの時間と場所を選ばない利便性の向上と、店舗の窓口の事務負荷軽減という両面の効果があったのかなと思っています」と振り返ります。
◆地域の金融機関をつなぐデジタルプラットフォーム
りそなグループは、金融デジタルプラットフォームの展開を通じて、データ分析のノウハウや機能・サービスを地域金融機関にも展開しています。この狙いについて、川邉さんは、「さまざまな事業者様との“共創”を促進して、新たな商品・サービスをエコシステムとして形成することを目指したビジネスの形です。資本関係がなくてもオープンな提携を通じて、このプラットフォームの参加企業が、各社の戦略に応じてサービスを迅速に提供・導入できる環境を整えています」と解説します。
この取り組みの背景として、地域金融機関のデジタル化をめぐる課題があります。川邉さんによると、“勘定系”と呼ばれる基幹システムでは共同運営が進んでいる一方、「デジタルサービスの領域においては、『共同化だけでは、なかなかお客さまに満足いただける形が作れなかった』という声も聞いています」と明かします。
そのうえで、「地域の金融機関の皆さま方からすると、自社単独ではなく、我々が多くの失敗を重ねた今の形を、いわゆる“時間を買う”形で導入できるところにメリットがあるだろうと思っていますので、結果として、我々のサービスをホワイトラベルで地域の金融機関のその先のお客さまに提供しても、しっかり使っていただける状況を生み出していけるのではないか」と分析します。
なお、りそなの金融デジタルプラットフォームを通じたアプリ提供は、常陽銀行、足利銀行、百十四銀行、十六銀行、京葉銀行の計5行の金融機関に広がっています。まさに、金融機関同士が知見を持ち寄りながら、それぞれのサービスを磨いていく仕組みともいえそうです。
次回9月19日(土)の放送は、引き続き川邉さんをゲストにお迎えします。個人向けサービス「りそなプラス」についてなど、貴重な話が聴けるかも!?
<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/