「やろう、やりたい、やるぞ!」――吉田鋼太郎が、10月8日に放送されるフジテレビ系スペシャルドラマ『きんつくろい -金繕い-』(22:00~)に主演する。40年前に交わした約束への後悔を抱える孤高の家具職人を演じ、“金継ぎ”とウイスキーを通して止まっていた人生をつなぎ直していく。

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吉田鋼太郎、40年前の約束を果たせず孤独に暮らす家具職人役

吉田が演じる柊恒一は、若くして夢を追ってイタリアへ渡り、日本人として初めて権威あるデザイン賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得た家具職人。しかし、その輝かしい経歴とは裏腹に、自分自身を一人前だとは思えていない。

若き日にイタリアへ向かう際、ひそかに恋心を抱いていた同級生・薫と「一人前になったら、必ず帰ってくるから」と約束したものの、それを果たせないまま40年近い時間が過ぎた。現在は創作意欲も失い、家具の修理を請け負いながら、山奥のアトリエでひっそりと暮らしている。

そんな柊のもとを、就職活動中の大学生・守谷夏樹が訪れる。「祖母の大切なものを壊してしまったので、直してほしい」と持ってきたのは、割れたウイスキーグラス。食器の修理はしていないと追い返そうとした柊だったが、夏樹がかつて大切に思っていた薫の孫だと気づく。

割れたグラスを“金継ぎ”で直していく時間の中で、夢をかなえながらも過去にとらわれている柊と、まだ何者でもない自分の未来に迷う夏樹は、少しずつ心を通わせていく。

主演オファーに「やろう、やりたい、やるぞ!」

主演のオファーを受けた吉田は、「主演でお話をいただいたので、びっくりしました。“やろう、やりたい、やるぞ!”と気合が入りました」と振り返る。

台本については、「とても、いい意味でゆったりとした流れの台本で、それぞれの登場人物の感情の流れを丁寧に追っていく物語だと感じました」と印象を語った。

柊には、世界的に認められていながらも、自分が本当に作りたいものを作れていないという葛藤がある。吉田自身にも重なる部分があるそうで、「自分では納得いってないけれども、人が求めるものを作ってくれと言われて作っていく中で、実は自分が本当にやりたいことではないと葛藤する部分です。僕らの仕事にも、そういう時があったりするので」と共感を寄せている。

「僕は実はとても手先が不器用」初の家具職人役に挑戦

俳優歴40年以上を誇る吉田だが、家具職人を演じるのは今回が初めて。さらに劇中では、割れた器を漆で接着し、その継ぎ目を金などで装飾する“金継ぎ”にも向き合う。

「家具職人であり、割れたグラスを金でつないでいく金継ぎの職人でもあるので、職人としてのリアリティを持って演じるために、どれくらい準備をすればいいのだろうと思っています」といい、意外にも「僕は実はとても手先が不器用で、小学校の工作の課題もまともにできた試しがありません」と告白。

「自分とはすごくかけ離れた役ではありますが、そういうものにも挑戦しなければいけないと思いまして。準備はなかなか大変ですが、やりがいはあると思います」と意欲を見せた。

物語における“金継ぎ”は、単なる技術として登場するわけではない。割れた部分をなかったことにするのではなく、その傷跡ごと新たな姿へと生まれ変わらせることが、一度壊れてしまった人間関係や人生をつなぎ直していく物語そのものと重なる。

そこに、長い時間をかけて熟成するウイスキーがもう一つのモチーフとして加わり、40年前と現在を結んでいく。

吉田鋼太郎にとって酒とは「ふっとほどけていく」もの

酒好きとしても知られる吉田は「20歳からずっと飲んでいます」とコメント。「やっぱりリラックスする時、仕事が大変な時に飲みますね。いろんな緊張や、頭も体もハイになっている状態が、お酒を飲むとふっとほどけていく。そういうためにも必要なものです」と語る。

そんな吉田が演じる柊が、長い時間を重ねたウイスキーと、傷跡を残しながら再生する金継ぎを通して、自らが選んだ人生と向き合っていく。

若い世代に「この人たちの時代なんだな。ちょっと悔しいですけど(笑)」

また、夏樹という若者との出会いによって、止まっていた柊の心も少しずつ動き始める。吉田に若い世代が悩む姿をどう見ているのか尋ねると、「僕らの時代と比べると、今の20代の方はとても正直で、いい意味で臆さないというか、照れたり恥ずかしがったりしないですね」と分析。

「ストレートに物事を伝えてくれるので、とても話しやすいです。彼らが悩みを克服して、これから大きくなっていく姿を目の前で見ていると、“この人たちの時代なんだな”と思います。ちょっと悔しいですけど(笑)」と笑った。

今作は、フジテレビヤングシナリオ大賞の受賞者にオリジナルドラマ執筆の機会を提供する、サントリーとフジテレビの「ヤンシナ脚本家応援プロジェクト」第3弾。第33回フジテレビヤングシナリオ大賞で佳作を受賞した金民愛氏が、今作で初めてテレビドラマの脚本を手がける。

プロデュースは『愛の、がっこう。』『ナンバMG5』などの栗原彩乃氏と、『続・続・最後から二番目の恋』『最後の鑑定人』などの郷田悠氏。演出は『あなたがしてくれなくても』『新宿野戦病院』『最後の鑑定人』などの清矢明子氏が担当する。

「ウイスキーのように、ゆっくりと体の中に染み渡っていく」

金民愛氏は、自身の物語が初めてテレビドラマになることに「とても感慨深く思っています」といい、「執筆中は迷うこともたくさんありましたが、プロデューサーや監督に温かく支えていただいたおかげで、最後まで大切に書きあげることができました」と振り返る。

栗原氏は、柊の人生を「報われなかった恋や、職人としての終わりのない苦悩」と表現しながら、「それでも、味わった苦味があるからこそ、重ねた歳月があるからこそ、人生はより旨くなっていく」とコメント。「“遠回りした時間も、決して無駄ではなかった”と、観てくださった方の心にそっとしみ渡るような作品になっていればうれしいです」と期待を寄せた。

清矢氏も「壊れてしまった人間関係を、そして自分自身を、金継ぎのように丁寧につなぎ直していく物語です」と紹介。「完璧な元通りにはならないけれど、傷痕さえも人生の深い味わいになっていく」と作品に込めた思いを明かしている。

そして吉田は「心がざわつくようなことが多い時代ですが、その中でとってもゆったりと心に染み入る作品です」とメッセージ。「ウイスキーのように、ゆっくりと体の中に染み渡っていくようなストーリーと登場人物たちのお話ですので、ここ最近では、なかなかお目にかかれないようなドラマになると思います。ぜひ楽しんでいただきたいです」と呼びかけている。

【編集部MEMO】
吉田鋼太郎は、1959年1月14日生まれ、東京都出身。俳優・演出家として舞台、映画、テレビドラマなど幅広く活動し、シェイクスピア作品にも数多く出演。映像作品では、NHK連続テレビ小説『花子とアン』、ドラマ『東京センチメンタル』『おっさんずラブ』シリーズ、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』、『おいハンサム!!』シリーズなどに出演。舞台「彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd」では芸術監督を務めている。