通勤・通学などで毎日のように利用する電車。混雑した車内では、知らない人との距離が近くなり、「なんとなく落ち着かない」「疲れる」と感じることもあるだろう。実は、そんな電車内で"よく見かけるある光景"も、人が無意識のうちにストレスを和らげようとする行動なのかもしれないという。
今回は、『図解 身近にあふれる「心理学」が3時間でわかる本』(明日香出版社)から、電車内でのストレスの感じ方について紹介する。
真ん中の席で落ち着けないときはどうしたらいい?
乗り物の座席では、両隣に人がいる真ん中の席だとどうにも落ち着きません。端の席にくら べて、2倍のストレスを感じているといわれています。どうしたらいいのでしょうか?
真ん中に座るだけでストレスを感じてしまう
新幹線や飛行機に乗るときには、3人掛けの席の真ん中に座るのはできるだけやめましょう。両隣に人がいると、私たちはひどくストレスを感じるからです。おそらく、たいていの人は経験的にそのストレスを知っているので、1人で新幹線や飛行機に乗る際に、あえて真ん中の席に座ろうとする人は少ないとは思います。
飛行機、電車、バスなどの乗り物の種類は関係なく、並んで座るシートの場合、真ん中に座っているだけで知らないうちにストレスを感じます。
これはなぜなのでしょうか?
「パーソナル・スペース」に他の人が入ると……
私たちは、他の人が近くに寄ってくると、ストレスを感じます。目に見えませんが、自分の周りには、「パーソナル・スペース」という個人空間があります。その空間に他の人が入ってくると、人はストレスを感じるようになっているのです。一番端にある席に座っているのなら、個人空間の片方だけに侵入されるだけですみますが、真ん中の席だと両隣から侵入されることになるので、ストレスが2倍になってしまうのです。
ムリに真ん中の席に座るより、だれもいないところに立っていたほうが、まだストレスは少なくてすみます。立っていると身体的には疲れますが、周囲に人がいなければ心理的なストレスを感じにくくなるためです。
両隣に挟まれるなら立っているほうがいい?
アメリカのコーネル大学のゲリー・エヴァンスは、都市部のラッシュアワー時の乗客のだ液を採取し、だ液の中に含まれるコルチゾールという成分の量を調べることでストレスを測定しました。
その結果、2人がけの席より、3人がけの席に座っているとストレスが高く、しかも3人がけの真ん中の席に座っていた乗客がもっともストレスを感じることがわかりました。しかも座席の真ん中に座っている人は、イライラや嫌悪感も高かったそうです。
電車に乗ると、すぐに座る席を探そうとする人がいますが、両隣に挟まれて座るくらいなら、いっそのこと立っていたほうが心理的には疲れないのではないかと思います。もちろん、それでも座りたいのであれば止めませんが……。
私たちは、自分の個人空間が他人に侵食されるとストレスを感じてしまいます。エレベーターのような狭い空間では、どうしてもお互いの個人空間が侵食されやすくなり、ストレスを感じます。デパートのエレベーターガールのような仕事はいつも本当に大変だと思っているのですが、疲れないのか聞いてみたいものです。
ラッシュアワーで眠っている人が多いのは……
個人空間を他人に侵食された場合は、他人がすぐ隣にいることが気にならないように、目を閉じているのがいいと思います。目を閉じてしまえば、他人の存在が視界に入らなくなり、ストレスもそんなに感じなくなります。目を開けているとストレスが高まってしまいますから、いっそのこと目を閉じて眠ってしまったほうがいいわけです。
ラッシュアワーのときに眠っている人が多いのは、ストレスを軽減するために、自然に身につけた人間の知恵なのかもしれませんね。



