
現在のJ-POPシーンの血肉となり、その潮流を決定づけたボカロカルチャー。メジャーとインディーズの境界線を融解させながら、いまなお最前線で鳴り響く自由な才能たちの肉声を記録する定期連載企画「PICK UP YouTube Music」。次世代の音楽史を担うクリエイターたちの独占インタビューを届けていく。
第5回は、アメリカ民謡研究会をピックアップ。サウンド面でのこだわりや、音楽観を形作ったカルチャーのルーツに迫る。
ーご自身のボカロP名の由来を教えてください。
大学生のときに所属していた「アメリカ民謡研究会」という部活の名前が元になっています。この部活も、僕と同じようにアメリカ民謡は研究していません。それにしても素晴らしい部活でした。この「名詞」を多くの人間に認識してもらいたいと思って、この名前で活動しています。
ーこれまでの人生で、ご自身の音楽観やカルチャー観に最も大きな影響を与えた「アーティスト」や「作品(映画・本・アニメなど)」を教えてください。
「MY DISCO」というバンドです。自分さえ良いと信じるならば、他に憚らず、何を表現してもよいのだと、僕の中にあった障壁を打ち破ってくれたバンドです。
ー数ある表現手段の中で、「ボカロ」という文化に惹かれ、自身もボカロPとして歩み始めたきっかけは何でしたか?
すべての責任を自分が負えるところが好きです。誰ともコミュニケーションをとらなくてよいところも好きです。ボーカルは当然、こちらに何も喋りません。嘘の塊のような、この冷たい感覚を愛しています。「アメリカ民謡研究会」が行う一連の表現は、自分にしか成しえないものと確信しています。そうして、合成音声で音楽を作り始めました。
すいません恰好つけました。合成音声の音楽を始めたのは一緒に音楽やる友達全部いなくなったからです。
ー今回の楽曲で「ここだけは絶対に聴いてほしい!」という、サウンド面や歌詞でのこだわりを教えてください。
人間も合成音声も石ころも全部一緒です。全部ただの化学反応の結末で、何の優劣も違いもありません。中でも人間は意識を錯覚して、それをやたら尊いものと愚直に信じています。それでも生きるということは、夢みたいな、嘘みたいな、素敵な一瞬です。自分は何でもないただの物質だが、それでも生きて今、目を覚ましているのだから仕方ない。パーティを始めましょう! 僕の音楽全体を通して、そんな楽しい諦めの感覚を表現したいと思っています。
ー今後、挑戦してみたいことや、目指したいアーティスト像があれば教えてください。
死んだ後、「アメリカ民謡研究会」という童話集でありたい。
Youtube:https://www.youtube.com/@AMK_Haniwa X:https://x.com/0Haniwa0