オリヴィア・ロドリゴ主催「女性たちの祝祭」Daisy Chain Fields Festivalを総括──支援団体に16億円寄付、喜びに満ちた一日

現地時間8月29日(土)、米カリフォルニア州アーバインのGreat Parkで、オリヴィア・ロドリゴ主催のDaisy Chain Fields Festivalが初開催された。チャペル・ローン、ドーチー、サラ・マクラクラン、スティーヴィー・ニックスら豪華アーティストが集結し、女性を支援する非営利団体と連携。「女性たちの祝祭」を現地からレポートする。

音楽だけでは終わらない、Daisy Chainが掲げた使命

初開催となったDaisy Chain Fields Festivalで、ヘッドライナーのオリヴィア・ロドリゴがステージに立つ頃には、うだるような暑さの一日も日が暮れていた。疲れが出始めていた観客も、心地よい風とオリヴィアのステージで、たちまち元気を取り戻したことだろう。オリヴィアはスペシャルゲストの登場を予告していたが、その約束をしっかり果たした。Daisy Chainの着想源となった、90年代の画期的なフェス「リリス・フェア」の創設者サラ・マクラクラン、家族に緊急事態があったカレンOに代わって出演したアラニス・モリセット、そしてスティーヴィー・ニックスをステージに迎えたのだ。「夢を見ているみたい」と、オリヴィアはカリフォルニア州アーバインのGreat Parkに集まった観客に語った。「人生で最高の日だよ、マジで!」

30分でソールドアウトしたこのフェスに集まった、女性や少女が大半を占める観客にとっても、まさに夢のような一日だった。充実したラインナップには、何世代もの女性たちにギターを手に取らせてきた先駆者たち、勢いを増す新進バンド、そして今この瞬間に応えるべく準備万端のポップスターたちが名を連ねた。リリス・フェアと同じように、この一日がかりの祭典は単なる音楽フェスではなかった。音楽ファンをひとつにしながら大切な活動を支援する、インクルーシブで、今まさに必要とされている集いだった。

Atmosphere at Daisy Chain Fields held at Great Park on August 29, 2026 in Irvine, California.

Pooneh Ghana for Rolling Stone

Pooneh Ghana for Rolling Stone

フェス前日、オリヴィアはその慈善活動としての目的について語った。「先ほど皆さんがお話を聞いた、この10の非営利パートナー団体に直接届けられる1000万ドル(約16億円)を寄付することを発表でき、本当に光栄です」とオリヴィアは記者会見で語った。会見には、女性や少女の権利を擁護し、フェスにも参加する10団体が出席していた。

参加した非営利団体は、支援を必要とする子どもたちに生活必需品を提供する〈Baby2Baby〉、黒人の母親の権利を擁護し、妊娠中から出産後まで支援を提供する〈Black Mamas Matter Alliance(BMMA)〉、世界各地で女性のリプロダクティブ・ライツと医療へのアクセスを擁護する法律団体〈Center for Reproductive Rights〉、サバイバーに経済的支援などを提供し、ジェンダーに基づく暴力の根絶に取り組む〈FreeFrom〉、世界各地の女性や家族に不可欠な医療を提供する〈Jhpiego〉、世界の先住民コミュニティにおける健康の公平性を推進する〈Johns Hopkins Center for Indigenous Health〉、家事労働者の権利を擁護する〈National Domestic Workers Alliance〉、州や地域レベルで、すべての人のためのリプロダクティブ・ヘルスケアの拡充に取り組む〈National Institute for Reproductive Health〉、法的な取り組みをはじめ、さまざまな側面からジェンダー公正の実現を目指す〈National Womens Law Center〉、そして性と生殖に関する医療と教育へのアクセスを守り、提供し、拡充する〈Planned Parenthood〉だ。イベントの純収益は、これらの非営利団体を支援するDaisy Chain Fields Fundに充てられる。

Atmosphere at Daisy Chain Fields held at Great Park on August 29, 2026 in Irvine, California.

Daisy Chain Fieldsでは、女性や少女を支援する10の非営利団体のために「Daisy Chain Reaction」と名付けられたエリアが設けられた。フェスの収益は、これらの非営利団体への支援に充てられた(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

Atmosphere at Daisy Chain Fields held at Great Park on August 29, 2026 in Irvine, California.

フェスで販売されたクールな記念グッズのひとつ、『Daisy Chain Fields Zine』を読むファン(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

Daisy Chainで音楽、コミュニティ、行動がひとつになっていく様子を語る際、記者会見で繰り返し登場した言葉がひとつあった。「喜び(Joy)」だ。そして土曜日、その感覚は会場の至るところではっきりと感じられた。

非営利団体が来場者にそれぞれの活動を知ってもらいながら、デイジーの花輪をつないだりフラワークラウンを作ったりといったクラフトも楽しめるエリア、Daisy Chain Reactionの外には列ができていた。オリヴィア風のベビードールドレスに身を包んだ人も多いファンたちは、このイベントに惹かれたのはスーパースターである彼女が好きだからだけでなく、女性や少女たちにとってより良い世界を望んでいるからでもあると口々に語った。18歳のアラニーさんは、自分の年齢を考えればチケット代はかなり大きな出費だったが、オリヴィアがこのフェスを開催した目的を知り、参加したいと思ったという。「これだけの財団に自分のお金を届けることには、ちゃんと意味があると思っています」と彼女は話す。

30代前半のフィリピン系女性3人組、ネリッサさん、クリスタベルさん、モニカさんも、非営利団体を支援できることに胸を躍らせていた。「彼女が取り上げているさまざまな団体の活動には、すごく強く共感しています」とネリッサさんは語り、過去に〈Planned Parenthood〉のサービスを利用したこともあると付け加えた。クリスタベルさんはこう話す。「オリヴィアがフェスを作り、私たちみんなが集まれる場所を作って、女性たちやDaisy Chain Reactionに参加している団体を本当の意味で力づけ、前進させ、その活動を支援しようとしていることは素晴らしいと思います」。モニカは「[オリヴィアは]フィリピン系なので、私たちを代表してくれています。それに、素晴らしいアーティストたちを集めた今回のラインナップも魅力です」と語った。

Daisy Chain Fields schedule

Daisy Chain Fields Festivalのタイムテーブル

ミツキ、ビキニ・キルなど新鋭からレジェンドまで出演

そのラインナップにより、全14組、10時間にわたって素晴らしい音楽が鳴り続けた。幕を開けたのは、医学生でもあるシンガー、Riya MaheshによるプロジェクトQuiet Light。彼女とダンサーたちは、2026年のミックステープ『Blue Angel Sparkling Silver 2』収録の「Postinternefame」に合わせ、バレリーナを思わせる動きを交えながら、ゆったりと体を揺らした。続いて登場したのは、ファーストネームのEli名義で活動するEli Miller。「Nobodys Girl」や「Girl of Your Dreams」といった楽曲を披露する合間に、Eliは「何を信じていようと、あるいは何も信じていなかろうと」隣人を愛することの大切さを力強く訴えた。また、この日参加していたいくつかの団体への寄付も約束した。

Quiet Light at Daisy Chain Fields held at Great Park on August 29, 2026 in Irvine, California.

Quiet Light(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

「今、クソ暑いよね」とレイチェル・チノウリリはステージ上から観客に語りかけた。「イギリスはこんな暑さじゃないよ」。それでもレイチェルは勢いを緩めず、2025年の繊細なシングル「Can We Talk About Isaac」を力強く歌い上げ、発売を控えるアルバム『I Think I Spoke Too Soon』からの新曲も初披露した。「これは私の20代についてのアルバム。自分は、自分が思っていたような人間じゃなかったんだって気づくことについて」と彼女は作品を説明した。「そして、自分はなりたい自分になれるんだってこと」

パフォーマンス後、レイチェルはこのラインナップに加われた喜びを語り、リリス・フェアに敬意を表するとともに、非営利団体の選定にも配慮を行き届かせたオリヴィアの姿勢を称賛した。なかでもBMMAは、彼女にとって特に思い入れのある団体だ。「[オリヴィアが]そのために率先して動いているのを見ると、本当に心が温かくなる。黒人女性は、さまざまな場面で見過ごされたり、理解されなかったりすることがある。特に医療の分野ではそう」と彼女は本誌に語った。「そこまできちんと目を向けてくれたことが、本当に素敵だと思う」

Rachel Chinouriri at Daisy Chain Fields held at Great Park on August 29, 2026 in Irvine, California.

レイチェル・チノウリリ(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

LAを拠点に活動する新鋭ポップ・アーティスト、デヴォン・アゲイン(Devon Again)にフェス出演の打診があったのは、KATSEYEがメンバーのMegan Skiendielの足首の負傷により出演をキャンセルした、ほんの先週木曜日のことだった。「『そりゃ出るに決まってるでしょ』って答えた」と彼女は観客に明かした。とはいえEYEKONS(KATSEYEのファンネーム)にとってもうれしいサプライズがあった。デヴォンのステージ冒頭にKATSEYEのLara Raj、Yoonchae Jeung、Skiendielが登場し、非営利団体Baby2Babyを紹介したのだ。その後、デヴォンはカントリーの香りをまとったセットを披露し、ファンに人気の「Skittles」や「Cherry Cola」も演奏した。

Daisy Chainで最もアクロバティックなステージを見せたのは、ダイ・スピッツ(Die Spitz)だった。テキサス州オースティン出身の4人組は、真昼の強烈な日差しにも負けない勢いでステージを駆け抜けた(フェイスペイントには少々厳しい暑さだったが)。途中では、ベーシストのケイト・ホルターが見事な倒立まで披露。女性4人組による激しいメタル・サウンドも観客に大いに受け入れられ、シンガーのエレノア・リヴィングストンはその熱気に応えるように客席へ飛び込み、観客と一緒になって盛り上がった。

Die Spitz at Daisy Chain Fields held at Great Park on August 29, 2026 in Irvine, California.

ダイ・スピッツ(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

2022年、サンティゴールドはツアー活動を休止し、本誌に対して、音楽で生計を立てる人々を取り巻く「文化的危機」や、経済面、メンタルヘルス面での厳しい状況について語っていた。2024年にはツアーを再開したものの、公演は厳選され、いずれも短期間に限られている。それだけに、彼女のライブを観られる機会は貴重だ。Daisy Chainでのステージは終始多幸感に満ち、ダンスコンテストも行われたほか、「L.E.S. Artistes」「Lights Out」「Disparate Youth」といった人気曲が次々と披露された。

一方、フェミニスト・パンクの先駆者ビキニ・キルは、約20年の活動休止を経て2019年に再結成ツアーを開始。その後も精力的に活動を続けている。「オリヴィアがこのフェスを作ってくれたことは、私たちみんなにとって本当に大きな贈り物だと思う」と、シンガーのキャスリーン・ハンナは観客に語った。この日の多くの出演者と同じく、ビキニ・キルも限られた持ち時間のなかで代表曲を惜しみなく披露。最後のアルバムとなった1996年の『Reject All American』から2曲を演奏しつつ、セットの中心に据えたのは初期の楽曲だった。1992年のEP収録曲「Double Dare Ya」で幕を開け、そのまま「This Is Not a Test」へとなだれ込んだ。

キャスリーンが「Feels Blind」を紹介する際、17歳の頃に40歳の男性から不気味に言い寄られた体験を語ると、観客はじっと耳を傾けた。「こんなに真剣に話を聞いてくれる観客、人生で初めて見た」と彼女は語った。終盤の「Suck My Left One」「Rebel Girl」では、唸るように歌いながらステージを縦横無尽に動き回り、このバンドがなぜ一世代の女性たちに大きな影響を与えたのか、そしてDaisy Chainのようなフェスが生まれる土壌を作るうえで、いかに重要な存在だったのかをあらためて印象づけた。

ビキニ・キルのキャスリーン・ハンナ(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

夕方近くに登場したミツキも、会場に広がる連帯感を強く感じていたようで、観客に向かって何度も「みんな一人ひとりを愛してる」と語りかけた。その思いは、猛暑への注意喚起にも表れていた。具合が悪くなりそうならその場ですぐ座ること、水が必要ならピットへ向かうこと、そして日焼け止めを塗ることをファンに呼びかけたのだ。もちろん、ステージそのものも素晴らしかった。2026年のアルバム『Nothings About to Happen to Me』から「Wheres My Phone?」「That White Cat」を披露し、「Nobody」などの人気曲も演奏。「このフェス、毎年やったほうがいいと思う」と話すと、大きな歓声が上がった。「これからずっと、『そうそう、私はDaisy Chainの初回からいたんだよ』って言えるんだから」

Mitski at Daisy Chain Fields held at Great Park on August 29, 2026 in Irvine, California.

ミツキ(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

チャペル・ローン、ドーチー、ブリーダーズらも登場

ブリーダーズはここ数年、オリヴィアと縁の深い存在で、「GUTS」ツアーでも複数公演のオープニングアクトを務めてきた。今回のフェスへの出演も、このラインナップの魅力を象徴していた。世代の異なるアーティストたちが、自然に同じ場所へ集っていたからだ。シンガーのキム・ディールが、黒人女性として初めて米連邦議会議員となったシャーリー・チザムのTシャツを着てステージに登場したことも、そんな歴史のつながりをいっそう印象づけた。1994年の「Drivin on 9」で幕を開け、「Do You Love Me Now?」「Cannonball」といった初期の名曲を披露する一方、この夏のツアーで演奏してきた未発表曲「Alien Eyes」なども織り交ぜた。ツアーで新曲を試せることについて、キムはPaste誌に「昔に戻ったみたい」と語っている。

The Breeders at Daisy Chain Fields held at Great Park on August 29, 2026 in Irvine, California.

ブリーダーズ(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

2025年のロラパルーザでは、”ヒップホップ学校の校長”として圧倒的な存在感を放ったドーチー。Daisy Chainでは、全身をピンクで彩った新たなモードを打ち出し、ステージングの面でも進化を見せた。ビキニ姿に鮮やかなピンクのボディペイントを施し、同じく全身をピンクに塗ったダンサーたちとともに、ヘッドライナー級のセットを舞台に圧巻の振付を披露。大きなライザーやLEDスクリーン、金属製のバーまで用意され、そのバーをアクロバティックに飛び越える場面もあった。冒頭から観客を一気に引き込み、まず披露したのは2025年にJENNIEとコラボした「ExtraL」。SZAとの「Girl Get Up」、Rico Nastyとの「Swamp Bitches」といったコラボ曲も、この日は共演者本人が不在ながら強烈なインパクトを残した。マッシュアップも冴えていた。「Anxiety」ではゴティエの「Somebody That I Used to Know」をサンプリングし、ビヨンセの「America Has a Problem」に乗せてフリースタイルを披露、さらにブリトニー・スピアーズの「Toxic」まで織り込んだ。そして、この日屈指のステージを締めくくったのは、2024年の『Alligator Bites Never Heal』収録曲にして、早くも代表曲のひとつとなった「Denial Is a River」。熱気あふれるパフォーマンスで最後まで観客を圧倒した。

ドーチー(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

ガービッジのステージは機材トラブルに見舞われたが、シンガーのシャーリー・マンソンはまったく動じず、こんなことはバンドにとって日常茶飯事だと冗談を飛ばした。「キャリア全部、こういうことの連続みたいなものだから」と、スコットランド訛りで笑う。そして、それは会場にいる若い世代への教訓でもあると語った。物事が思いどおりに進まなくても、世界は回り続ける。「完璧じゃなくていい」と彼女は言った。「失敗したっていいんだよ」

トラブルに見舞われながらも、バンドは「Only Happy When It Rains」「When I Grow Up」「Stupid Girl」といった90年代の名曲を披露。「Stupid Girl」では途中、ビキニ・キルの「Rebel Girl」を短く挟み込み、観客を大いに沸かせた。さらに、昨年の『Let All That We Imagine Be the Light』から「Theres No Future in Optimism」「Chinese Fire Hose」といった近年の楽曲も演奏した。

シャーリーは曲間に何度か観客へ語りかけ、世代を超えた人々をひとつの場所に集めたオリヴィアの力を称えた。「私たちは、ここにいるほとんどの人が生まれる前からやってる」と彼女は語った。「だから、このフェスのラインナップに加えてもらえたことは、とてつもなく光栄なこと。それを当たり前だとは思っていない」。さらに、この暗い時代を生きる人々に向けて、希望の言葉も贈った。「みんなにひとつ伝えておきたい。私はちょうど60歳になったから、もうすごく年寄りなんだけど」と冗談を交えつつ、こう続けた。「でも人生を生きていくなかで、ただ一歩ずつ前に進み続ければ、これは保証できる。銀行に1セントずつ貯めていくようなものなんだ。そうすれば、いつか自分が望む人生を築いていける」

Garbage at Daisy Chain Fields held at Great Park on August 29, 2026 in Irvine, California.

ガービッジ(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

昨年末、チャペル・ローンは2026年をどんな一年にしたいかについて、こう語っていた。「自分自身や周りの人たちを大切にして、オンラインではなく、実際に存在するコミュニティとしっかり関わる一年にしたい。地元でボランティアをして、自分が信じる団体に寄付もしたい」。Daisy Chainは、まさにその思いを体現するような場所だった。午後7時頃、ラベンダー色の衣装にお揃いのブーツを合わせたチャペルがステージに現れると、会場は大きな歓声に包まれた。

日中の猛烈な暑さもその頃にはやや和らいでいたが、それでも「Hot to Go!」はこの場にこれ以上ないほどよく似合っていた。チャペルは2023年の大ヒット・デビューアルバム『The Rise and Fall of a Midwest Princess』から「Red Wine Supernova」「Pink Pony Club」「Casual」といった人気曲を次々と披露。さらに「Good Luck, Babe!」や最新シングル「The Subway」も演奏した。チャペルが2024年10月号のRolling Stone表紙を飾った際、オリヴィアは彼女について本誌にこう語っている。「ある日、彼女がスタジオに入ってきて、きっぱり『もう人が何を言おうとどうでもいい。自分が好きなら、それでいいんだ』って言ったのを覚えてる」とオリヴィアは振り返った。「しかも、本気でそう思ってるんだって伝わってきた。それが彼女の魔法なんだよね」

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マリア・ザルドヤ(María Zardoya)は、ソロ・プロジェクトNot for Radioのデビューアルバムを、真冬のニューヨーク州北部にある家で、雪と氷に囲まれながらレコーディングした。Daisy Chainの会場とはまるで正反対の環境だ。だが、ザ・マリアスのシンガーとして知られるザルドヤは、『Melt』と新作EP『Bloom』から数曲を披露し、会場にどこか涼やかな空気をもたらした。森を思わせるセットのなかを漂うように歌う姿のせいかもしれない。あるいは、ザ・マリアスのドラマーで長年のパートナーでもあった相手との別れに一部着想を得た、ほろ苦い楽曲のせいかもしれない。それとも、ようやく日が沈んだからなのか。いずれにしても、ザルドヤのステージはひとときのカタルシスをもたらした。「Puddle」「Swan」「My Turn」といった楽曲を通して、ときには少しくらい沈んだ気分でいてもいいのだと、観客にそっと思い出させた。

マリア・ザルドヤ(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

オリヴィア・ロドリゴのステージ「また来年!」

そして、いよいよオリヴィアの出番となった。この夜を締めくくるステージには、サラ・マクラクランも登場。2人はマクラクランの1997年のヒット曲「Building a Mystery」を披露し、「Angel」を8月25日に亡くなったドリー・パートンに捧げた。さらに、オリヴィアの最新シングル「serena joy」もライブで初披露された。

Olivia Rodrigo at Daisy Chain Fields held at Great Park on August 29, 2026 in Irvine, California.

オリヴィア・ロドリゴとサラ・マクラクラン(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

オリヴィア・ロドリゴ(Pooneh Ghana for Rolling Stone)

続いてオリヴィアは、2021年に本誌の表紙で共演したアラニス・モリセットを迎え、彼女の代表曲「Ironic」を熱演。慈善活動家のメリンダ・フレンチ・ゲイツもステージに登場し、すでに発表されていた1000万ドルの寄付と同額を追加で拠出すると表明した。そして最後のゲストとして登場したのが、スティーヴィー・ニックスだ。2人は「Landslide」で交互にヴァースを歌い、一緒に踊りながら圧巻のパフォーマンスを披露した。「彼女を見ていると、100年前に私が彼女くらいの年齢だった頃の自分を思い出す」とニックスはオリヴィアについて語った。「これだけのことを彼女がやってのけたのには、私も驚かされてる。だって、本当に大変なことだから。これだけ多くの人を集めて、ひとつのものを作り上げるのがどれほど大変か、みんなには想像もつかないと思う。それを彼女は、こんなにも堂々とやってのけた」。もちろん、「bad idea right?」「good 4 u」、そして彼女が後に世界的スターとなる片鱗を初めて見せたヒット曲「drivers license」など、オリヴィア自身の代表曲もたっぷり披露され、会場のあちこちで大合唱が巻き起こった。

オリヴィアがDaisy Chain Fieldsの開催を発表したとき、期待は大きかった。ファンが望んでいたのは、ステージ上で素晴らしい音楽を届けるだけでなく、女性や少女たちをエンパワーするというフェスの理念もしっかりと形にすることだった。この日、その期待は見事に上回った。そして「これを毎年やるべき」と語っていたミツキは、どうやら正しかったようだ。「また来年!(See you next year!)」。オリヴィアはステージの最後に、そう叫んだ。

From Rolling Stone US.

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