
長澤知之が、デビュー20周年を迎えた8月、アンソロジーアルバム『Archives #2』をリリースした。2016年から2026年の間にリリースされた配信シングル及び6枚のアルバム、ミニ・アルバム収録曲からのセレクトに加えて、新録曲6曲を加えた全32曲の大ボリュームによる今作は、シンガー・ソングライター長澤知之が、いかに豊富なアイデアと感受性で音楽を紡いできたのか、その一端を知ることができる作品集だ。ときに現実と向き合い寄り添うように、ときにロマンティック且つユーモラスに、さまざまな音像で描かれる楽曲たちは、そのまま長澤知之という人間をあらゆる角度から映し出しているように思える。いくつかの曲をピックアップしながら、彼が何を思いどこへ向かって表現を続けてきたのか、語ってもらった。
―8月2日にデビュー20周年を迎えられたとのこと、おめでとうございます。キャリアを振り返る機会も多いと思うんですけども、日々どんな心持ちで過ごしていらっしゃいますか?
まあそうですね、わりと面倒くさいなと思うことだったり人間関係とか、そういう「上手くいかないな」ということはたくさんあるんですけれども、でも非常にフラットですね。
―ベストアルバム『Archives #2』の選曲をする上でも、そうしたご自分のマインドと照らし合わせながら選んでいった感じでしょうか。選曲の基準みたいなものってあります?
デビュー10周年のときに、『Archives #1』というベストアルバムを出したので、それからまた10年区切りで、2016年から2026年に至るまでの10年以内にリリースした曲を基準にまずは選定していくわけですけれども、リスナーの方たちにも”私だったらこの曲を選ぶよ”というのも、ハッシュタグをつけて選んでいただきました。そこからスタッフと議論を重ねたり、僕自身が”この曲は外せないな”と思うものがあったりで、32曲に落とし込むように無理矢理選んだんですけれども(笑)。やっぱり難しいものだなと思いましたね。
―今回、既発曲にプラス、新曲及び新録の6曲を散りばめていますよね。この構成はどんな発想で生まれてきたんでしょうか。
新曲はじつはもっと詰め込みたいなと思っていて、他にも曲を書いていたんですけれども、CDという規格上、時間の制限がやはりありますので。あとは、聴く側の集中力ですね。サブスクの時代にもなっていますから、今時74分(CD収録の上限時間)以上を通して聴くことはないでしょうし。それで無限にできるんだったら、いくらでも曲詰め込みたいっていうのはあったんですけれども、それは単なるこちらのエゴでしかないので、聴く方の想像に立って、新曲・新録も6曲ぐらいがいいだろうと。ベストアルバム的なものではあるんですけれども、最新アルバムには違いはないし、そこに新曲が少ないっていうのもどうなのかっていうのもあってこうなりました。
―サブスクの時代という言葉もありましたけど、近年アルバムを出さずに1曲ずつ配信で出せばいいと明言するアーティストもいます。キャリアを重ねる中で、アルバムという作品への意識は変化していますか。
音楽そのものというよりは、どちらかと言ったら全体的ないろんなカルチャーに通じることなのかなと思います。例えば映画で2時間半ある作品をずっと見切れないだとか、YouTubeの動画でもそうですけれども、2倍速にして見るとか、基本的に集中力が落ちてる時代だと思うので。だからそういう意味では音楽に限らずだとは思うし、ネガティブな側面もあるにはあるんですけれども、普及力とかポジティブな側面もあると思うので、まあ一概に否定もしませんし、良い部分は良い部分として、どちらかと言ったら肯定的な方を見つめた方が利になるので。良い部分を見たいなというふうに思ってますね。
―長澤さんご自身はサブスクで音楽を聴きます? CD、レコードで聴くこともありますか。
CDでしか出ていないものもあったりするので、CDでも聴きますし、レコードはよく行くバーで自分の好きなレコードを持って行ってかけてもらったりもします。これは完全に好みだと思うんですけど、その所作というか、レコードだったら針を落とす場での儀式とかが好きで。特に好きなのは、レコードだったらデカいジャケットそのものがアートなので、見てて飾りたくなるし、ジャケ買いという言葉もあるように、いろんなロマンがありますよね。そういうところはどうしたって愛着が湧きますし、そういう意味では、個人的にはレコードやCDを聴く機会はありますし、ジャケットを見る機会も多いですね。
―『Archives #2』のジャケットアートワークにしても、見て楽しめるもの、ちゃんと記憶に残るものとして作っているように感じます。
アートワークは大事だとは思っています。まあこれはアートワークというか、僕が描いてる落書きの寄せ集めなんですけれども(笑)。年間でいろいろ描いた絵とかって考えると、楽曲を表すもの、楽曲をモチーフにした落書きもありますので、ちょうどいいのかなと思って入れた感じですかね。
―これを見ると、隙間がなく絵で埋め尽くされているなと思ったんですけど、一方で長澤さんの音楽は空気感、音と音の隙間みたいなものを大切にしているように思えます。
確かにそうなんですよね。隙間がなく埋めてしまうところがあるので、だからこそ落書きだなと思うんですけども、とにかくもう隙間なく埋めたくなってしまう人間なので。だから初期のときは音楽も隙間なく埋めようとしてました。そこは長年音楽に特化してやってきてるんで、少しだけ勉強できたのかなと思います(笑)。
―アルバム収録曲についてお訊きします。「君だけだ(2026)」は2016年リリースの『GIFT』収録曲の新バージョンですね。そのときは弾き語りでしたが、今回ピアノやストリングスを加えて新録した理由を教えてください。
この曲は自分がデビューする前、福岡にある「照和」という古いライブ喫茶でやっている頃から歌っていた曲なんです。もう長いこと弾き語りでやってきた固定観念が染みついている曲なので、それをバンドバージョンにアレンジしようとしたときに、”こっちの方向には行きたくないな”っていう方向にどうしても行ってしまいがちだったんですね。例えばジャーニーの「Open Arms」みたいに、そういう壮大さが欲しいわけではないんだけれども、どうしても曲の持っているパワーがそっち側に進んでしまうというか。これはディスってるわけじゃないですよ? でもどうしても「Open Arms」になるなあって。そこをなんとか軌道修正して頑張ろうとしたんですけれども、もう十何年間も染みついている固定観念は、こびりついて剥がせないんですね。だから2016年にアコースティック・バージョンとして1回出して、正式なバージョンをいつか作るよ、というふうにしておいたんです。それがこの年になってもなかなかできなくて。そこで谷口尚久さんというプロデューサーさんと相談して、違う方向性からのアイデアを試行錯誤しながら、なんとかたどり着けたという感じです。おかげさまで自分が納得できるバージョンができました。
―「恋だったのさ」という新曲がありますが、”恋”というのは文字通りラブソングとして歌っているのか、それとも”音楽”を恋として歌っているのでしょうか。
どちらもあると思います。例えば、近所に50年ぐらいやっている街中華があるんですけど、そこの大将さんの笑顔だったり、やる気だったり、大学が近くにあって”若者に食わしてやりてえんだ”って、”こんなに食えねーよ”っていうぐらいの料理を出してきたりするサービス精神。あるいはもう何十年もずっと刀鍛冶をやってる職人さんとか画家さんだったり、1つのことにずっとのめり込んでやり続ける人たちを含めて、僕はそういう人たちすべてに対してリスペクトがとてもあるので、自分もそうなれたらいいなとは思っているんですよね。まだ、たかだかデビュー20年という区切りでしかないですけれども、自分なりに犠牲も払って音楽に夢中になってきたので、それを含めて振り返ったときに、ときには人と別れたり、ときには人と一緒に作ることを楽しんだりしながら、音楽に夢中になったのは、”おそらく恋だったんだろうな”というふうに思うんです。だから、同じ情熱で仕事をしてくれる人以外とは仕事したくないなって思うんですよね。そういう覚悟を持ってということもありますし、また何年後かに振り返ったときに同じような言葉が言えたらなと思って、こういう曲になりました。
―「恋だったのさ」はちょっとジョン・レノンみたいな世界観を感じましたが、同じく新曲では「ライラ」のイントロでメロトロンの音から始まったり、「100%」はすごい激しくてはみ出した感じはありつつ、ドラムの音は柔らかくて気持ち良いです。20年以上、夢中で音楽に取り組んできた中での音やアレンジの嗜好の変遷もきっとありますよね。
ジョン・レノンっていう名前をおっしゃっていただいたので、すぐパッと自分が思いついたのはビートルズのホワイトアルバム(『The Beatles』)だったんですけれど、あのアルバムって、それぞれがソングライティングをもうやりたいようにやりだして、まあ言ってしまえばもう解散の予兆みたいなアルバムでもあるんですけれど、僕はとても大好きなアルバムで。初めて聴いたときに、そこにバラエティがあって、”こんな世界を見せてくれる”という、子どもながらに感動があったんです。だから僕も、作るんだったらホワイトアルバムみたいなアルバムを作りたいなって思い始めて曲を作り出していたので、意図的にバラバラな曲をやりたいというよりは、これも好きだったしそれも好きだったから、いろんなことをやっていいんだっていうような考え方になったんです。1つのことをやるっていうのも1つの美だと思うんですけど、僕は表現である限りはあらゆることを自由にやっていいと思うので、「100%」みたいな方向だったり、ちょっとR&Bテイストのある曲だったりだとか、自分が好きなサウンドであればあちこち手をつけてしまう人間ですね。時期によっていろんな影響を受けて、そのモードの違いによってどんどん変わってきてます。
―そういう部分を感じ取れるのが、まさにベストアルバムという気もします。
確かにもうバラバラですもんね。そういう意味では、いろんな方向で楽しめるかなとは思います。
―とはいえ、DISC1とDISC2だと何かしらまとめ方の違いがあるのかなと思っていて。DISC1は「100%」を筆頭に豪快なバンドサウンドが目立ちますし、DISC2はシンガー・ソングライターとしての側面がより出てる気がしたんですが、その辺はいかがでしょうか。
ああ、それは意識してなかったですね。さきほどお話したように、アルバム全曲を通して聴く人もだいぶ少ないのはわかってるんですけれども、自分はやっぱりアルバムを通して聴いてきたっていうのがあるので、流れを意識した結果という感じがします。
―DISC2の1曲目、新曲「宿る」は不思議な感じの曲だなと思って聴きました。
「宿る」は、歌詞の中にあるように、ボイジャー1号2号って、遥か昔に打ち上げられた、人類が一番遠くに送った無人惑星探査機で、宇宙単位で見たら1ナノにも満たないぐらいわずかな距離でしかないけれども、そこに人類の小ささを実感すると同時に宇宙のデカさに僕は安心するというか、ロマンを持てる気持ちがありまして。それを体感することができるのが、自分にとっては生きる上ですごくモチベーションになっているんです。(窓の外を見上げながら)今こうやって空を見上げていますけれども、これが夜になったら月が浮かぶわけじゃないですか? 当たり前のように月を見ているわけですけれども、よく考えたらあんなバカでかい天体が空に浮かんでるってすさまじいことだなってたまに思うんですね。同じように月から見たらこっちも浮かんでいる一つの惑星でしかないので、そういう非現実的なことが普通に現実として起こっているっていうことに、すごくロマンを感じるんですよ。そういう日常の中にじつはある、なんかもうやばい現象、それを感じ取るたびに、なんか芸術的だなというか、神がかってるなって思うんです。それと、僕らの体の鉄分とかタンパク質とか、こういうのも一説によっては、遠い昔にどこかの星の爆発によってガスが生まれて、その鉄分とかが渦巻いていって惑星になって、それで僕たちがいると。だから僕らの体の中にあるものは全部、宇宙由来であるとか。カール・セーガンっていう天文学者の「We are made of starstuff(私たちは星の物質でできている)」っていう言葉があるんですけれども(※歌詞にも引用している)、人間って横を見やすいもので、人間社会とか経済だとかそういう人とのやりとりだとかを見てしまって、そこがすべての世界になることがあるんですけど、ちょっと時空を飛んで物事を見たりすると、なんだか僕は救われる部分がありまして。そういう意味で、”宿る、安心”っていうような、そういう感じですね。
―そこから2曲目の「ムー」へと繋がっていくのが面白いですね。
ユーモアってものすごく大事だと思っていまして。真面目なことを言うんだけれども、”なんちゃってね”っていうことをちょっと入れてみるっていうのもすごく好きなんですよ。だからこういう曲で同じように宇宙とか神秘を歌うけれども、”何この新興宗教?”みたいな、ちょっとおちゃらけた曲も入れたいなっていう感じです。
―決して真剣にUFOが現れるのを待ってるわけじゃない?
ただ、この人たちはガチなんですよ(笑)。この人たちはもう超ガチで。
―その姿を傍から見ているという(笑)。
そうです。それを、雑誌の『ムー』の方がとても気に入ってくださって、YouTubeのコメント欄に「名曲です」って書いてくださったんですよ(笑)。
―ええっ、すごい!
それはうれしかったですね。
―そういうロマンを感じさせる曲がある一方で、「ソウルセラー」はとても現実的な曲に聴こえます。どんなときに書いた曲でしょうか。
これは、僕が東京に出たときのことを振り返りつつ書いた曲です。深夜バスで東京に出てきて、歌詞の通り、そのときに泊まる場所がなくて、1人でラブホテルに泊まって。細かいことは覚えていないんですけれども、こういうことをやりたい、ああいうことをやりたいっていうような気持ちがあって。それをそのままの気持ちで書いたものを”初期衝動”って言う方は結構いらっしゃるじゃないですか? でも僕は、初期衝動っていう言葉ではないと思っていまして。「恋だったのさ」にしろ、「宿る」にしろ、書くときのモチベーションって、僕は当時と変わらないんですね。”あ、こういうものをやろう”っていうのはすべて初期衝動だったと思うので。この曲は、人は変わりゆくものだけれども、”でも俺のここは変わってないよ”っていうことを書きたかったんですよね。というのも、”食べるために生きるのか、生きるために食べるのか”っていうところで逆転している人が多くなってしまっているなっていうことを、ときどき感じるものがありまして。
―それは具体的には、どういうことですか。
生活をするために生きる、家族を養うために生きる。それも人間社会の中の在り方だと思うけど、自分はどうしても違和感を覚えてしまうところがあって。宿命だとか使命だとか、そんなかっこいいものだとは思っていないんですけれども、人生何年生きられるかわからない中で、”俺はこれをやりたい”っていうものをやり続けられたらなっていうような気持ちがあるので。だから、今日何かを食べるのは何かをするためであれっていうふうに思っているんです。”そこは変わっちゃいないよ”っていうことを、その当時言いたかったんだと思うんですよ。だから、ああいう曲になったのかなと思います。
―それを自身のプライドとして、今も歌っているんですね。
あとは、感謝ですね。自分はときどき、とても光栄ですけれども、人に”天才だね”みたいなことを言っていただくこともあるんですけれども、天賦の才みたいなものはない気がしていて。どちらかと言ったら与えられたものという感覚なので、こういう生き方をできたらいいなと思いつつ、それができるような環境に置いてくれた人たちへの感謝がプライドになっている感じです。
―長澤さんがALというバンドでの活動も経ながら、シンガー・ソングライターとして20年やってきたわけですが、迷いなく最初からシンガー・ソングライターとしてやってきたのか、それともバンドマンになりたい気持ちもあったのでしょうか。
バンドマンですね、最初は。自分は小学校5、6年のときに、それこそビートルズがザ・クオリーメンという前身バンドを作ったように、やっぱり一番美しいのは同級生とバンドを組むことだと思ったんで、焦ってたんですよね。それで別にギターを弾きもしない友だちを、”おまえ、ギターの才能あると思うから弾いたら”とかいろいろ言ってなんとかギターを触らせるようにしたんですけども、やっぱりやる気が持たなくて”早くマリオカートやりてえ”みたいになってたんで、まあそりゃそうだよなと思って(笑)。で、中学に入ってから雑誌とかのメンバー募集に”当方ビートルズ、レッド・ツェッペリンなどを好む”とか、”ギターの腕に覚えあり”みたいなことをいろいろ書いて(笑)。もう70人ぐらいに会って何回もバンドを組んだんですけれども、自分のこだわりもありましたし音楽性の方向の違いっていうやつもあって上手くいかなくて。それで結局シンガー・ソングライターにならざるを得なかったので、今ここにいますね。

Photo by 福政良治
―じゃあ、理想的なバンド像みたいなものがずっとあったわけですか。
ありました。ありましたけれども、まあその理想が高すぎた故に求めるものが高すぎたら、それはできないよねっていうところですよね。
―それは今、いろんな人と関わる中で、バンドサウンドとして実現できていることも多いわけですよね。
そうですね。結果的にですけれども、自分のやりたいようにやれるっていうのはこっちがベストだなっていうふうに思います。
―ミニ・アルバム『スカイブルー、エモーション』(2024年)からのコラボ曲も収録されていますが、歌い方もそれぞれ違った印象を受けます。共演したアーティストから影響を受けてご自身も変わっていったりするものでしょうか。
いや、それはないんですけども、歌い方が変わるっていうのは、その曲に出てくる主人公のキャラクターも違うので、憑依的に変わるっていう感じに近いです。コラボレーションにおいて影響を受けるのはアレンジですね。こういうアプローチが来た場合は、こういうアプローチでお互いを際立たせたいなとか、そっちの方向で影響は受けます。
―仲井戸麗市さん、竹原ピストルさんとの「光芒」は、3人がすごく無邪気に演奏して歌っているように感じる曲です。バンド、音楽好きなところが爆発するようなところがありましたか?
あの曲はもっとストーリーを考えていて、結果バンドサウンドになったという感じなんですけれども、僕とピストルさんの年齢ももちろん違ってピストルさんの方が先輩ですし、チャボさん(仲井戸)に至ってはもっと違いますから、それぞれ世代が違うところで、僕がお2人にお伝えしたのは、10代前半ぐらいのときに全員でタイムスリップして同い年になって、そのときの気持ちを爆発させてみませんか?みたいな感じのナンパの仕方で(笑)。ピストルさんだったら高校生の頃にやっていたボクシングだったり聴いていた音楽だったり、チャボさんだったら60年代サウンドだったりだとかのアプローチをちょっと入れているんですけれども、”この人と同世代だったらどんな話をするんだろうな”みたいなことを音楽で表現してみたかったというのがあって。そうしたら爆発力がサウンドとして出ますよね。結果的にサウンドがそういう方に導かれていった感じに近いかなと思います。
―大きな聴きどころの1つとして、バラエティ番組『あれみた?』(MBS)から誕生した合唱ユニット「ハラダ合唱団」(原田泰雅(ビスケットブラザーズ)、熊元プロレス(紅しょうが)、古瀬直輝(OCTPATH)、幸音(ゆきね))に提供した「きざし」のセルフカバーも入っています。先日はYouTubeでトーク生配信されていましたけども。
もう、大変でした(苦笑)。曲を書くのはね、お茶の子さいさいなんですけれども、カンペを出されながら出演者のみなさんの方向を見るっていうのが、ギターを弾きながら歌うよりも1000倍難しかったです。
―最後にアコギ一本で演奏しながら全員で曲を披露されましたが、すごく静謐な良い曲ですね。
ありがとうございます。番組が放送されてから、”あの曲いいね”って、いろんな方に言っていただきまして。OCTPATHの古瀬直輝君も、初めて聴いたときに涙したっておっしゃってくださいましたし。この曲は、ビスケットブラザーズの原田さんからのリクエストとしていただいた、人間誰しも経験するであろう気持ちだったりに寄せて書いたんですけど、それを楽曲化したときに、いろんな方の中で同じような気持ちが宿ってくれたのは、彼の言いたかったことをうまくアウトプットできたのかなと思って、そういう機会をいただいたことを感謝しています。
―今回、ベストアルバムとして曲をまとめたときに、ご自身で改めて気づいたことや感じたことがあれば教えてもらえますか?
1つあるとしたらば、自分はデビュー当時ぐらいに、”何年も何年もこんなに情熱が続くわけがない”って思っていたんですけれども、それが枯渇だとかそういうものはまったくない上に、どんどん上を目指したくなるな、楽曲としていいものを作りたいなっていう気持ちが強まっているんです。「100%」っていう曲がありますけれども、自分が100%納得できる曲を生涯のうちに書けることはないまでも、99.99%ぐらいの曲を書けたらいいなっていうのが一番自分の強いモチベーションなので、それが誰かに批評されるとか、理解者がいてくれたら本当にうれしいですけれども、ただ”納得できる曲ができた”って思えたら死んでもいいかなと思ってますね。それまではまだ全然書けそうなので、そこにすごく自分では驚いています。
―それぞれの曲ができたときの達成感ももちろんあると思うんですけども、まだ自分の中ではこれが最高だっていうとこまでは至ってないっていう感じなんですか。
それこそ「宿る」を書いたときに、絵で言うと、これを描こう、筆のタッチはこういう風にしようとって狙って描いたんですよね。それを描き終えた後、パッと見たときに、”狙って描いてよかった、本当に自分が描きたかった絵が描けた”っていう気持ちがあったんですね。でも、今度は狙って描いたっていうあざとさにちょっと引くっていうか(笑)。なんか自然じゃねえなみたいな、僕という人間のフィルターを通して出す限り、100%のまっさらなものにはならないんだなっていう諦観になりまして。だからもう少し狙わずに、例えばジャクソン・ポロックっていう画家がいますけれども、ああいう自然的なものにチャレンジして、そういうものができたらいいなってまた思えたので。「宿る」を書いて最大の収穫は、”あ、もっといけるんだ”って思えたことなので、そういうモチベーションで作っていきたいなというふうに思っています。

Photo by 福政良治
―8月21日(金)に恵比寿LIQUIDROOMで同じく20周年のa flood of circleを迎えての20周年記念2マンライブ<RIDE>が行われます。13年ぶりの企画が復活するということですけども、どんなイベントか教えてもらえますか?
<RIDE>というイベントを作ったときは、対バンというよりは、お互い向上し合える人たち、自分がこの人と刺激し合いたいなというような人たちと集まりたい、というところから始まったんです。今回、長年の知り合いでもあるa flood of circleの佐々木(亮介)君とやれるのはとても光栄でうれしいなという、そういうイベントです。
―10月からはデビュー20周年を記念したツアー<恋だったのさ TOUR>が始まりますが、今の時点でどんな内容のライブを考えていますか。
毎回毎回、できる限りのベストなパフォーマンスをしていきたいと思ってます。その後のワンマンライブ(2027年2月28日 大手町三井ホール)ではツアーとはまた別の形で面白いことをやりたいなと思っています。
―最後に、今夢見ていることがあれば教えてもらえますか?
いろいろあるんですけど、今思ったのは、月に行きたいなって(笑)。あと、自分の生きている間に叶わないとは思うけど、何らかの実験ができて、光の速度を超えて何かタイムスリップ的なものはできないかなとか。どっちかといえば現実的な夢というよりはっていう感じですけれども。今、パッと浮かんだらそれでした。
<リリース情報>
長澤知之
Anthology Album『Archives #2』
2026年8月5日(水)リリース
http://virginmusic.lnk.to/archives2
=収録曲=
Disc 1
1. 100%
2. 渋谷のスーパーラット
3. 朱夏色
4. 世界は変わる
5. 約束 feat. はらかなこ
6. 戦士は夢の中
7. 光芒 feat. 竹原ピストル、仲井戸麗市
8. ソウルセラー
9. アーティスト
10. 宙ぶらの歌
11. ぼくも feat. 松崎ナオ
12. ライラ
13. 羊雲
14. Ribbon
15. 恋だったのさ
16. Close to me
Disc 2
1. 宿る
2. ムー
3. GHOST
4. 青いギター
5. シュガー
6. 笑う
7. 君だけだ(2026)
8. イナサの記憶
9. キラキラ
10. 広い海の真ん中で
11. きざし
12. アズール
13. クライマックス
14. パーフェクト・ワールド
15. 無題
16. 三月の風
<ライブ情報>
長澤知之 20th Anniversary「恋だったのさ TOUR」
2026年10月10日(土)北海道・くぅ
2026年10月18日(日)新潟・ジョイアミーア
2026年10月25日(日)愛知・TOKUZO ※DUO公演
2026年11月7日(土)京都・someno kyoto
2026年11月14日(土)栃木・悠日
2026年11月15日(日)宮城・Retro Back Page ※DUO公演
2026年11月21日(土)福岡・LIV LABO ※DUO公演
2027年1月23日(土)香川・高松燦庫
2027年1月24日(日)大阪・梅田Shangri-La ※DUO公演
2027年2月28日(日)東京・大手町三井ホール ※BAND公演
※DUO編成 長澤知之 & Key.山本健太
チケット
・SOLO公演 5500円(税込/ドリンク代別)
・DUO公演 6600円(税込/ドリンク代別)
・BAND公演 7700円 (税込/ドリンク代別)
オフィシャルサイト:https://www.office-augusta.com/nagasawa/
