
約3年ぶり、通算4作目となるニューアルバム『Made of Glass』で、miletは自分自身を包み隠さずさらけ出している。昨年の休養期間、歌うことさえままならない日々を過ごした彼女は、打ちひしがれそうになりながらも、再び音楽へと戻ってきた。その過程で見つけたのは、弱い自分を抱きしめる強さ。かくして生まれた本作には、いまやmiletを象徴する楽器となったギター主体のサウンドと、これまで以上に率直な言葉が刻まれている。「壊れたからこそ強くなれた」という彼女が明かす再生の物語、そして「milet 2.0」と呼ぶ現在地。
※本記事は、9月25日発売の『Rolling Stone Japan vol.35』にも全6ページで転載され、WEB版とは別バージョンのカットが掲載される。
『Made of Glass』全曲ダイジェスト映像
「弱さ」を受け入れて見つけた「強さ」
―『Made of Glass』というタイトルと冒頭の2曲で察したというか。その背景にある葛藤が伝わってきて泣きそうになりました。よくぞこんな形で昇華できたなって。
milet:嬉しいです。
―アルバムのコンセプトについて「壊れたからこそ、より美しく光を通せる、そう思えるようになった私は、以前より随分強くなったと思う」とご自身で綴っていますよね。この言葉の真意を聞かせてもらえますか。
milet:やっぱり休養期間は大きかったなと思って。ものすごくしんどかったんですよね。なかなか起き上がれず、ずっとベッドの中にいたりすることもあって。「これから本当に歌えるのかな」とも思ったけど、少しずつ時間をかけて、自分の弱さを許していって。「強くなきゃいけない」って考えるのをやめて、ありのままの自分を見つめる時間になりました。
その頃は正直、音楽を聴いたりする余裕もなかったけど、ちょっとずつ曲を作ったりもできるようになり、「また音楽をやりたいな」って思えるぐらいまでに復活してきて。そこから今回のアルバムでは、自分の強さだけではなく、脆さみたいなものも曲にしたいなと思ったんです。これまでにないような鋭さも持たせつつ、弱さもちゃんと表現した、正直なものを作りたいなと思って臨みました。
―miletさんは7年前のデビュー当初から「孤独との共存」をずっと歌い続けてきたわけですが、その点に関して変化はありましたか?
milet:うーん……孤独とは友達のように仲良くしてきたつもりだったんですけど、今回は結構、突き放された感じがして。初めて敵に思えたというか。あそこまで誰かを頼りたくなるような気持ちになったのは初めてでしたね。怖いな、一人でいたくないなって。
―このアルバムでは、脆さをとことん曝け出していることに驚いたのと、これまでになくギターが前面に出ていますよね。
milet:今回は自分のルーツに立ち返って、そういうサウンドを作りたくなったんです。やっぱり私はロックっ子だったなと思って。最近はステージでギターを持つことも多くなっているし、そのほうが自分の生の感情を乗せられることに気づいたんですよね。新曲の制作中もそうで、ギターを持ってると歌声が瑞々しくなるんですよ。そこから、バンドサウンドの曲をもっと録りたいと思うようになりました。
―冒頭2曲はあまりにも鮮烈で、miletさんのアーティスト像を塗り替えるほどのインパクトだと思います。1曲目の「Hurricane」から制作背景を教えてもらえますか?
milet:もともとはのどかな曲で、サビのメロディも全然違ったんですよ。でもレコーディング当日に「パンチがないな」と思って、その日の深夜にガラッと作り替えて。「やっぱりこっちで行きます!」って。今の形になったことで、ハリケーンらしいキレの良さがすごく出るようになりましたね。私自身が「この曲、好きだな」と思えるようになったのも大きくて。妥協せずに作り替えて、本当に良かったなと思います。
歌っているのは自分の不安定な気持ちなんですけど、サウンドは強めで、どちらかというと軽快さもあるぐらい。私は自分の本音を隠すのがすごく得意なので、その「隠す上手さ」を表現したくて。本当の気持ちを覆い隠せるぐらい、明るい曲調にしてみました。
―「Hurricane」の切れ味をもたらしたサウンドは、自分のどういったルーツに由来していると思いますか? 個人的にはUKロックの要素を強く感じましたが。
milet:なんでしょうね。よく言われるmiletのUKロックっぽさというのが、自分ではよくわからなくて。メロディなのかな?
―あとはギターの音色じゃないですか。
milet:歪みはすごく好き。クリーンよりは絶対歪んでいたいってのはありますね。私はやっぱりクーラ・シェイカーが大好きで、彼らの曲を聴いてるとメチャクチャ歪んでて、そこがかっこよくて。(2022年のサマーソニックで)一緒にステージに立ってから、音の聴こえ方が変わったんですよ。ただ「好き」っていうだけだったのが、音への探究心に変わって。「彼らみたいな音を出してみたいな」って。そこからギターは歪みっぱなしですね。
―冒頭2曲は、miletさんのヘヴィなサウンドが印象的なロックナンバー「b r o k e n」(2023年の3rdアルバム『5am』収録)なども手がけてきたMEGさんがプロデュースを担当していますが、「Hurricane」の音作りについてどんな話し合いがあったんですか?
milet:編曲するにあたって、スタジアムが目に浮かぶような曲にしたいとお伝えしました。嵐が吹き荒れているなか、一人で立ち向かっていくような情景が見える、そんな曲にしたいなって。
―その一方で、歌詞では「不安定な気持ち」が赤裸々に綴られていますが、これはどこまで実体験と結びついてるんですか?
milet:限りなく100%に近いですね。
―「すべてが狂ってしまったことは否めない」「こんな日々にもきっと意味があるはず」「私の人生はハリケーンのようだから」と歌詞にあるようなことを、実際に考えていた?
milet:そうですね。体は動かないのに、頭の中では嵐のようにいろんな思考が駆け巡っていて。「音楽をやりたい、やめたい」「つらいけど、まだ希望もある」みたいな。そんな感情がグワングワン、ずっと巻き起こっていて。でも、「これもいつか曲になるなら無駄じゃないよな」って、無理やりポジティブに捉えながら生きてました。
―曲のほぼ全編、そういった葛藤を英語詞で綴っているなか、日本語で歌っている〈騙し騙しで歩き続け〉というフレーズにも耳を引かれました。
milet:これまでずっと騙し騙しで生きてきて、そのツケが回ってきたところもあるんですよね。自分の心を自分で隠しちゃうから、まわりが気づくわけもなくて。そうやって自分のつらさをひた隠しにしてきた結果、その影響が体にも出てきてしまって。もうそういうことはしたくないなって今は思います。
―そんな「Hurricane」の憂鬱を経て、「Golden Ember」の高揚へと続く流れが最高ですよね。心の闇を抜けた先で鳴り響くファンファーレのようでもあるというか。
milet:「Golden Ember」は強気なときの私が作った曲ですね。このアルバムのパワーソング、キラーチューンにしたくて、想像以上に強いものになりました。とにかくライヴ映えする曲にしたかったし、いろいろ乗り越えたからこそ表現できる強さを曲にしたいなと思って書きました。
―「Hurricane」と「Golden Ember」のどちらにも、最後の行に〈Who I am〉というフレーズが出てきますよね。これは意図的ですか?
milet:そのつもりはなかったんですけど、私もあとで気づきました。『Made of Glass』とタイトルに掲げたとおり、割れてしまったガラスの破片だって強く輝くことができると、自分の経験を通じて思ったんですよね。一回壊れてしまっても、そこからまた光を発することができるんだって。そういう想いからそうなったのかもしれないです。
―miletさんには「Who I Am」という2020年リリースの人気曲もありますが、あの頃の〈Who I Am〉と比べて、今現在の〈Who I am〉はどんなふうに変わったと思いますか?
milet:あの頃は、肉体的にも精神的にもガムシャラでしたね。猪突猛進みたいな感じの〈Who I Am〉だったけど、今は赤信号も、青信号も、黄色信号もしっかり見えているなかで、立ち止まりながら前に進んでいる〈Who I am〉かなと。自分の弱さも知ったうえで、「この弱さも私」と言えるような、包容力のある〈Who I am〉だなと思います。弱い自分を抱きしめられる強さ、みたいなものを見つけられた気がしますね。
青いギターと『ぼっち・ざ・ろっく!』
―今回のアルバムもそうだし、近年のライヴでもエレキギターが新たなシンボルになりつつありますよね。2024年3月のデビュー5周年公演『GREEN LIGHTS』のアンコールで弾き語りを披露したあと、今年2月の武道館公演『Ray of Water』では出だしから弾いていましたが、モードチェンジのきっかけはなんだったのでしょう?
milet:昔からバンドには憧れがあって、いつかギターを持ちたいなと思っていたので、それで練習し始めた感じですね。あとはアニメにも影響されました。『ぼっち・ざ・ろっく!』を観て「ぼっちちゃん、かっこいい!」「ギター弾きたい!」と思って。そういうきっかけでギターを買いました。
―いい話すぎる!
milet:ぼっちちゃん(主人公の後藤ひとり)もヤマハのPacificaなんですよ。「お揃いにしよう」と思って。それで弾き始めて、そこから自分のルーツとなった音楽に音を重ねていくうち、「もっと音作りをこうしたいな」「歪ませたいな」と思うようになって。「あれも欲しい、これも欲しい」とギターを何本も買ったりして。
―大人買いですね。
milet:そうそう(笑)。上手ではないんですけど、ずっと弾いてますね。最近も1日2時間くらい練習してます。本当に『ぼっち・ざ・ろっく!』みたいな感じ。

ヤマハのPacificaを演奏するmilet、2024年3月『GREEN LIGHTS』ライブ写真より
―「海原」は近年のライヴを通じて、miletさんのPacificaを象徴する楽曲になっていますよね。メジャーデビュー前に制作された曲で、今回のアルバムにも収録されています。
milet:あの曲を自分で弾きたかった、というのもギターを手に取る大きなきっかけでした。メジャーデビュー前、ちっちゃいライヴハウスに親友と出演したことがあって、そのとき一緒に歌った曲なんです。これって一人じゃ歌えないんですよ。いくつも和声が入ってるし、最後のほうはメロディもいくつも重なっていて。そこを親友に歌ってもらって。当時は就職先も見つからず、「これからどうしよう」「音楽やりたいよね」と話していたりして、その頃の思い出が詰まっているというか。この世界の厳しさも苦しさも楽しさも知らないまま作った歌なので、当時の自分のあどけなさが思い出されるところも好きですね。
―「海原」を2024年のツアー『stairs』東京公演で初披露した際、MCで「私の大好きを詰め込んだ曲」と紹介していましたが、その中身を教えてもらえますか?
milet:私はやっぱりミューズが好きで、彼らの和声の重ね方にはすごく影響を受けていると思います。この曲も、コーラスやメロディの重ね方がわりと斬新で、最後はサビのメロディとAメロが重なっているんですよ。それができるのも、コード進行がシンプルで、ずっとループしているからこそで。そうやってシンプルなコードを繰り返しているところも、私の中にあるUKロックらしさなのかもしれない。
―miletさんの歌詞づくりにおける重要なモチーフ「水」と「光」の両方が入っているのも、原点として重要なのかなと思いました。
milet:デビュー前に作った曲をリリースするときは、歌詞を大幅に変えることが多いんですけど、この曲はほとんど変えませんでした。1カ所だけ、〈泣き腫らす目と青いギター〉というところを、今使っている青いPacificaに重ねて変えたんですけど、それ以外は当時のまま。だから今聴くと、自分でも何を歌っているのかよくわからないんです(苦笑)。ただ、当時は自分の生活をすごく窮屈に感じていて。〈檻を右往左往〉と歌ってますけど、閉じ込められたくないと思っていたことは覚えています。
支えになったファン、愛犬、母親の存在
―「Happily」は曲名どおり、心弾むようなバイブスに満ちてますね。
milet:「Hey Song」(『5am』収録)に続いて、miles(ファンクラブ)と一緒に曲を作ろうと思って、ファンのみんなに協力してもらってコーラスを入れてもらいました。ただ、ご機嫌な曲ではあるけど、笑っていたいし、泣いていたいし、でも〈最後はくだらないって歌っていたいじゃん〉っていう、自分の願いを切に込めている歌でもありますね。
―ハッピーだけではなく翳りもあると。この曲についてライヴのMCで、「まわりの人たちがみんな幸せそうに見えて、自分が孤独に感じるような時もあるけど、そんなときでも居場所は必ずここにある」と紹介したそうですね。
milet:そうなんですよ。映画の怖いシーンで明るい曲が流れると怖さが増長するように、ハッピーなことを歌うためには、苦しみや悲しみにも目を向ける必要があると思う。そうしないと、本当の幸せには出会えないんじゃないかなって。
―休養期間のあいだ、やはりファンの存在は励みになりましたか?
milet:なりましたね。私を励ますために手紙やダイレクトメッセージを送ってくれたり、ずっと支えてくれて。その頃は珍しく、焦りも感じていたんです。自分が休んでいるあいだに、同世代のアーティストがいろんな曲をリリースして、どんどん前に進んでいって。「置いていかれるかもしれない」と不安になって、プレッシャーも感じていました。でも、私はいつもそういうとき、ファンの方に「焦らなくて大丈夫」と声をかけてきたんですよね。今回は逆に、ファンの方がそういう言葉を送ってくれて。今まで届けてきた愛が戻ってきたような感じがして、すごくありがたかったです。
―「Happily」には、もう一つの大きな支えである愛犬・ジャン君の鳴き声も入っています。「家族が増えました」という報告があったのは昨年5月でしたが、飼い始めるまでにはどんな経緯があったんですか?
milet:以前から犬を飼いたいと思っていたのと、ドッグセラピーというものがあって。心を病んでいる人が犬と暮らすことで癒やされると言われていて、私もちょうど気を病んでいた時期だったので、「ぬくもりが欲しいな」と思って。そんなときに、ずっと飼いたかったゴールデン・レトリバーの子と出会って、お迎えすることになりました。本当に効果がありましたね。人一倍明るくて元気で、大暴れする犬なんですけど、この子が家に来てから、すごく救われましたし、今も救ってもらってます。
―暴れるほど元気なんですか。
milet:いや正直、ここまで暴れん坊だとは思わなかったです(笑)。友達が家に来ると「こんな犬、見たことない」っていうくらい暴れますし、マネージャーと初めて会った瞬間に、飛びついて押し倒したくらい。自宅の壁のコンクリートまでガリガリ噛んじゃって。それくらいパワフルな犬ですね。

愛犬・ジャン君とmilet、「家族が増えました」と報告した昨年5月のSNS投稿より
―あとは休養期間中、お母さんの支えも大きかったそうですね。
milet:母はほぼ毎日、家に通ってくれて。家のすぐそばにカフェがあるんですけど、どんなに具合が悪くても、そこには毎日通おうって目標を立てていたんです。そこで母と会ったりして。今はこうしてまた歌えてますけど、その頃は本当に歌えないというか、声すら出なかった日もあって。それでも母が毎日通って、ご飯を作ってくれて。元気がなくて会話ができないときも、一緒にホラー映画を観たりして、とにかくそばにいてくれました。
母はずっと「別に音楽やめてもいいんだよ」って言ってくれて。今まで背負っていたものの大きさを、一番近くで見てくれていたんだなって。その言葉がすごく支えになりました。「miletはmiletのままでいい。別に歌ってなくても、あなたは私の大事な娘だから」って言ってくれたことが、すごく印象に残っています。
ありのままの自分を、自分の好きな音で
―3曲目の「The Story of Us」は、TVアニメ『葬送のフリーレン』第2期のEDテーマであるのと同時に、miletさん自身の新たな旅立ちを象徴する曲でもあるのかなと。
milet:そうですね。「Hurricane」と「Golden Ember」というオープニングを経て、そこから「The Story of Us」が始まり、ゆっくりと歩みを進めていくような感じがするというか。
―4曲目の「Sunny」はTVアニメ『ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』のOPテーマ。いい意味でアニソン的なフォーマットに則りつつ、miletさんらしさもしっかり出ている曲だと思いました。
milet:昔作った「us」みたいな勢いのある曲にしたくて。華々しさもありつつ、内面の弱さみたいなものも表せる曲にしたいなと思っていました。「あなたのようになれたら、世界はどういうふうに見えるんだろう?」っていう純粋で素朴な疑問を、ありのままの気持ちで歌っている曲ですね。ソロとしてアニメのオープニングを歌わせていただくのは初めてなので、作品の顔になれるような曲になったらいいなと。
―miletさんに以前インタビューしたとき、学生時代に引きこもっていた時期、アニメに救われたという話が今でも印象的で。「アニメファンだからこそ作れる歌があると思う」とそのとき語ってくれましたよね。
milet:そうなんです。クーラ・シェイカーと同じくらい、アニソンは私の大切なルーツで。実家みたいな感じですね。ありのままの自分でいられるし、アニメでしか感じられない、キラキラした世界みたいなのがあって。もちろん絶望で終わっていくアニメもあるけど、私は逆境を乗り越えていくようなアニメが好き。ここ最近、過去にハマっていたアニメを見返してるんですけど、その時間は一番幸せですね。音楽も素晴らしいし、絵やストーリーにも血と汗と涙が込められていて、すごく感動します。
―アルバム全体の流れも絶妙で、一編のストーリーが感じられるというか。
milet:今回は、新録曲のあいだに既存曲を挟んでいくような構成になっていて。まず前半では、私の赤裸々な部分と芯の強さを表現したかったんですよね。そして最後は、自分の脆さを正直に歌いながら、鋭さも弱さも全部ひっくるめて受け止めてもらえるような印象を残せたらと意識しました。
―終盤の3曲も圧巻ですね。「Masterpiece」も赤裸々な曲で、miletさんと縁の深いTHE SPELLBOUNDがプロデュースしています。
milet:もう終わってしまった人との関係を歌った曲で、「私があなたのマスターピースであればよかったのに」という後悔を綴っています。もともとは、歌とアコギだけで作った曲なんですけど、もっと激しく叙情的なサウンドにしたくてTHE SPELLBOUNDさんにお願いしました。歌詞にある切ないメッセージも、サウンドによって解釈の幅が広がったというか。より切なくなった気もするけど、それがこの曲の良さになりました。
―スケールの大きなサウンドによって、崇高なものになったというか。
milet:そうなんですよ、神秘的な感じになって。
―「Christmas Eve」は、これまたギターが炸裂していて、クリスマスソングなのに随分ダークな仕上がりですよね。
milet:ねー。
―(笑)。
milet:「クリスマスソングを作ってほしい」とずっと言われてたんです。それで作ってみたら、なぜか悲劇的な曲になっちゃって。大切な人をクリスマスイブの夜に待っていたのに、その人は現れなくて、雨にびしょ濡れになりながら夜空を見上げている私、みたいな曲に図らずともなりました。土砂降りのなかで愛する人に向けて歌う、切ないラブソングですね。
―最後を締めくくる16曲目「Perfect blue」は、宅録っぽい質感のギター弾き語り。
milet:この曲は自分の家で録って、そのまま完成させました。あるとき恋をして、すごくいい恋愛だったんですけど、私の中でその恋が終わってしまって。そこから新しい恋を見つけて、「髪を切ったのはあなたと別れたからじゃないよ。私が新しくスタートしたいから、こうやって変化していってるんだ」っていう歌ですね。
「私たちはお互い脆かったけど、その脆さすらもすごく美しかったよね」って、少し振り返るような歌でこのアルバムを締めていて。脆いからこそ美しいという『Made of Glass』のメッセージを、すごく全面的に表現している曲になったと思います。
―〈We were made of glass〉(私たちはガラスでできていた)というアルバムタイトルにつながる一節があるのも、そういうことなんですね。
milet:本当はこのアルバム、15曲収録の予定だったんですよ。でも無理を言って、締め切りギリギリアウトくらいのタイミングで「もう1曲作りたいです」と伝えたんです。というのも、(今年6月に)レイヴェイを観に行ったんですよ。
―自分も行きました、最高でしたね。
milet:メチャクチャ響きました。ライヴの演出も良かったし、彼女も自分の恋愛を赤裸々に歌うじゃないですか。それでレイヴェイの曲を聴きながら、私の恋愛を振り返っているうちに、ブワッといろんな感情が湧き出してきて。「あ、できた」と思って、ライヴが終わった瞬間に「もう1曲できます」とプロデューサーに連絡して(笑)。帰ってその日のうちにギターを弾いて歌って「できました」と送って。それが「Perfect blue」になりました。
―完璧すぎるエピソードですね。
milet:ありがとう、レイヴェイ。

Photo by Kentaro Kanbe
―そんな『Made of Glass』を携えて、秋のホールツアーが控えています。『GREEN LIGHTS』や『Ray of Water』を経て、どんなライヴを披露したいですか?
milet:武道館の『Ray of Water』では新しい私の姿を、演出も含めて(視覚的に)見せることができたと思っていて。今回のアルバムは音そのもので新しさを打ち出しているので、今までよりも生っぽいライヴになりそうな気がしますね。これまではしっかり作り込んだライヴをしてきたけど、今回は「脆さ」がひとつのキーワードにあって。弱さというのは誰もが抱く感情だからこそ、みんなと共有できると思うんですよね。そういうところに寄り添えるライヴにしていけたら、もっとみんなの近くまで行けるんじゃないかなと思います。
―音だけでなく、見せ方も生っぽいものになりそう?
milet:そうですね。2022年に『UNZEPP』というライヴハウスツアーをやったことがあるんですけど、あのときのロックな感じや生っぽさを、このアルバムを聴きながらふと思い出したんですよね。生身の自分で、正直な言葉をそのまま歌えたらいいなって思っています。
―最後の質問です。今後はどんなふうに活動していきたいですか? もしくは、一人の人間としてどう生きていきたいですか?
milet:一皮剥けて、また音楽が好きになって。今まで以上に曲が作りやすくなって、自分を変に隠そうとか、よく見せようなんて思わなくなったんですよね。そこはすごく自分の中で成長できたなと思って。本当に自分が愛せる曲だけを作って、歌っていこうっていうふうに気持ちが変わっていって、今はそのゾーンに入っているところで。もっとありのままの自分を、自分の好きな音で作り上げていきたいなって強く思うようになりました。
それに最近は、洋楽/邦楽問わずルーツ的な音楽に立ち返り、向き合い直していて。自分の好きなものを探している、宝探しの最中でもあるんですよね。その中から、これからの自分につなげていける要素を見つけられたらいいなって思うし、今はすごく楽しいです。
―それが「milet 2.0」ということですね。
milet:はい、始まったんじゃないかなと思います。

milet
『Made of Glass』
発売中
再生・購入:https://milet.lnk.to/madeofglass
特設サイト:https://www.milet.jp/MadeofGlass/
〈初回生産限定盤CD+Blu-ray〉¥13,000(税抜)
〈初回生産限定盤CD+DVD〉 ¥13,000(税抜)
〈通常盤CD〉 ¥3,500(税抜)
[CD](全形態共通)
01. Hurricane
02. Golden Ember
03. The Story of Us…TVアニメ『葬送のフリーレン』第2期エンディングテーマ
04. Sunny…TVアニメ『ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』オープニングテーマ
05. I still…映画『知らないカノジョ』主題歌
06. Wings…出光興産「四季」「TSUMUGU」篇 CMソング
07. hanataba… TBS系 日曜劇場『アンチヒーロー』主題歌
08. Bluer…神戸須磨シーワールド 公式テーマソング
09. 海原
10. Anytime Anywhere…TVアニメ『葬送のフリーレン』第1期エンディングテーマ
11. hanare banare
12. Happily
13. Higher…日産自動車 90周年CMソング
14. Masterpiece
15. Christmas Eve
16. Perfect blue
[初回生産限定盤]
「milet Asia Tour 2024 in Taipei」、同年のアジアツアーの裏側に迫るBEHIND THE SCENESに加え、復帰後初となる2025年開催のFCライヴ「milet×miles Room #301 vol.2」を完全収録
milet live tour”Made of Glass”
2026年9月12日(土)千葉 森のホール21 大ホール
2026年9月18日(金)神奈川 カルッツかわさき
2026年9月21日(月・祝)埼玉 大宮ソニックシティ 大ホール
2026年9月23日(水・祝)香川 サンポートホール高松 大ホール
2026年9月26日(土)京都 ロームシアター京都 メインホール
2026年9月27日(日)静岡 静岡市清水文化会館 マリナート 大ホール
2026年10月3日(土)広島 広島文化学園HBGホール
2026年10月4日(日)岡山 倉敷市民会館
2026年10月10日(土)石川 本多の森 北電ホール
2026年10月17日(土)東京 東京ガーデンシアター
2026年10月24日(土)宮城 仙台サンプラザホール
2026年10月25日(日)福島 とうほう みんなの文化センター 大ホール
2026年11月1日(日)大阪 フェスティバルホール
2026年11月2日(月)大阪 フェスティバルホール
2026年11月5日(木)東京 NHKホール
2026年11月8日(日)愛知 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
2026年11月13日(金)北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru
2026年11月21日(土)福岡 福岡サンパレスホテル& ホール
2026年11月22日(日)大分 iichiko グランシアタ
milet オフィシャルサイト:https://www.milet.jp/
『Made of Glass』全曲ダイジェスト映像