北海道の電力インフラの次代を担う若い力をいかに育てるか。
北海道電力は2026年7月10日、水力部門の新入社員を対象に、研修の様子を保護者・家族に公開する「ほくでんの参観日」を開催した。
同社でこうしたイベントを実施するのは今回が初のこと。本稿ではその模様をレポートする。
新入社員はもちろん家族も含めたエンゲージメント向上を目指す
「ほくでんの参観日」は、北海道滝川市にある北海道電力ネットワークの「滝川テクニカルセンター」で開かれた。
新入社員の保護者・家族はこの日の午前、芦別市の野花南水力発電所を見学し、午後はこの“参観"に臨んだ。
ちなみに北海道電力ネットワークは、送配電事業を担う企業であり、その中でも「滝川テクニカルセンター」は、インフラを支える技術者育成のための研修に使われる施設。センター内部には研修用に出力5kWの水車発電機を中心とした水力発電設備が設置されている。
上述のように同社としては今回が初の“参観"開催となったわけだが、その目的・背景について、北海道電力 水力部 発電グループリーダーの佐藤藤佐さんは次のように説明する。
「開催の目的は、お子さまの成長と当社入社への安心感を肌で感じていただくことにより、新入社員はもちろんご家族にもエンゲージメントを高めていただくことが第一です。それに加えて『当社ブランド力の長期的向上』『新入社員の安全意識の醸成』『新入社員の作業品質の向上』の3点です」(佐藤さん)
佐藤さんは「現場で実際に、さまざまなルールをきちんと守りながら作業している様子をご家族に見てもらうことで、安心していただくことが最も重要」だと述べた上で、新入社員にもやりがいを感じてもらい、モチベーションや生産性を高め、ひいては離職率低下、定着率アップにつながるよう、エンゲージメントの向上を期待していることを説明した。
現場同様の水車発電機運転・点検の様子を披露
午後1時、同センターの一室に集った15人の保護者・家族を前にして、まずは佐藤さんが挨拶を行った。
「新入社員の皆様は、4月に入社してから約1カ月、札幌とこの滝川で研修を受け、その後、水力センター(道内7カ所にある水力発電の保守事業所)に配属されて2カ月間、実務を学びました。そして先週から、またここで2週間の研修を受けています。今日は約3カ月の研修と実務の成果を実演しますので、ぜひ温かい目で応援していただけたらと思います」(佐藤さん)
この日は10人の新入社員がA〜Cの3班に分かれ、保護者・家族に見守られながら、同センターにある研修用の水車発電機の起動、出力調整、各種機器の巡視、最後の設備停止まで一連の作業を実演。発電機の運転、電圧・電流をはじめとしたさまざまな数値や各種設備の動作チェックなどを、実際の現場で行うのと全く同じ形で点検する様子が披露された。 実演の前には各班メンバーからの決意表明が行われた。
最初のA班は大坂飛雅さん、梶谷泰地さん、横田春樹さん、藤田颯太さんの4人。まずは日高水力センターに配属された大坂さんが「研修で学んだことを活かし、現場でもしっかり発揮できるよう努めます。また、生まれ育った北海道へ電力を安定して届けられるよう、一生懸命業務に取り組みます」と宣言した。
続いて静内水力センター配属の梶谷さん、函館水力センター配属の横田さん、旭川水力センター配属の藤田さんもそれぞれの想いを話した。中でも藤田さんは「水力発電はクリーンなエネルギーとして今後も重要になるので、いち早く優秀なエンジニアとして働けるよう頑張ります」と力強く語った。
実演にうつり、運転のフェーズでは大坂さんが水車発電機を起動し、梶谷さんが出力調整を行った。
続く巡視(点検)のフェーズで、4人全員が水車発電機が設置されている隣のエリアに出ると、保護者・家族も後について同エリアに向かう。ここでは水車発電機まわりを大坂さんが、圧油装置を藤田さんと横田さんが点検し、点検記録採取を梶谷さんが行った。
最後に元の部屋に戻り、藤田さんと横田さんが水車発電機を停止する操作を行った。A班の後、B班3人、C班3人も同様の運転操作と点検を披露し、家族たちはその様子を写真や動画を撮りながら楽しそうに見守っていた。
日頃見られないシーンを目の当たりにできる貴重な機会
研修が終わったあと、A班の梶谷さんのご両親に話を伺った。
「普段は見られない場所を見ることができて興味深かったのと、息子の働きっぷりも初めて見ることができ、まだまだ慣れていないなと感じつつも、とても楽しかったですね」(お父さま)
「やっぱり練習が大事。研修で自信を持って、職場で頑張ってほしいと思いました」(お母さま)
また、B班で運転操作や点検を行った倶知安水力センター配属の土居輝さんは「家族が発電施設を見られる機会もなかなかないと思うので、その場で自分たちが日頃の働いている姿を伝えられる貴重な機会として楽しみにしていましたし、家族も喜んで参加してくれました」と話した上で、「ただ、家族を前にしての研修はやっぱり緊張しました」と、笑顔で感想を教えてくれた。
最後に佐藤さんは「まずは、とにかく開催してよかったと思いました。何より、新入社員と家族の方のたくさんの笑顔を見ることができ、うれしかったですし、新入社員がこのイベントをきっかけとして、モチベーションを高めて仕事に臨んでくれるだろうという実感が湧きました」とし、今後の教育にもさらに力を入れていきたい、と強調した。
また今回の参観日イベントに関して、参加した保護者・家族にアンケートで意見を聞き、「来年はさらにブラッシュアップしていきたいと考えています」と語った。
北海道を支えるインフラの安定運営に向けた新入社員のこれからの活躍と合わせて、次回以降の同イベントの発展にも期待したい。







