BMW Z4で英仏海峡を渡り、フランスで美食を味わう旅|『Octane』UKスタッフの愛車日記

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は2004年BMW Z4 3.0iでフランスへ渡り、イギリスとは異なる時間の流れを堪能したロバートのレポートをお届けする。

【画像】風光明媚な景色や街道、美しい佇まいのホテル、古いワインセラーなど、シャンパーニュ地方の文化を愉しむ(写真11点)

本来はこの連載で、同僚のマーク・ディクソンが最近購入したローバーを駆ってフランスを旅した紀行文をお届けするはずだった。シャンパーニュ地方へのプレス招待を快く受け入れた彼は、文化、芸術、歴史、美食に満ちたこの地と、中世の面影を残す”Troyes”(発音は「トロワ」)の中心部に佇む五つ星ホテル、「ラ・メゾン・ド・ローデス」を満喫した話をレポートする予定だった。しかし、出発まであと1週間あまりとなった矢先、ホイールベアリングの異音が大きくなってきたせいで、彼はその任務を私に託すことになったのだ。

そして私もまた、一見断る理由が一切ないこの申し出を受けるべきかどうか考え、しばらく迷っていた。というのも、この車はこれまでとても信頼ができたものの、自宅から400マイルも離れた場所まで運転することを考えると、若干の不安を覚えたからだ。それでも、意を決して大人の男らしく振る舞うことにした。各種フルードとタイヤの空気圧を確認し、工具一式とフランスを走るために必要な物を積み込んだ後は、幸運を祈るのみだった。

妻と私は、数名の厳選されたジャーナリストとそのパートナーたち、そして今回の旅を主催するル・シャトル(ユーロトンネル・ル・シャトル)のスタッフで構成されたチームの一行より、少し遅れていた。つまり、英仏海峡を渡る前に彼らとフレクシプラスプラスラウンジで合流することはできず、ホテルで合流することになった。とはいえ、ラウンジへ立ち寄ることだけは忘れなかった。小さなパティスリー一軒分ほどの軽食を手に入れ、フレクシプラスチケットの特典による優先乗車で列車へと案内された。

カレーからトロワへ向かう場合は、A26有料道路が最も速く、最も直接的なルートだ。ただ、最も刺激的でもなければ、最も安価でもない。それでもこのBMWは、6速ギアで時速130km、3000rpm弱の回転数を保ちながら、何時間にもわたって快調に走り続け、私の不安をすっかり拭い去ってくれた。トラブルとは無縁でオドメーターに新たに430マイルが刻まれた頃、舗装路が石畳へと変わった。そして、トロワ最古の地区へと続く曲がりくねった道を進み、目指すホテル「ラ・メゾン・ド・ローデス」へと辿り着いた。そびえ立つサン・ピエール・エ・サン・ポール大聖堂の影の中、近代美術館の裏手にひっそりと佇んでいた。15世紀以来、まるで時が止まったかのような通りに車を停めることは、どこか冒涜的とさえ感じられた。しかし実際には今、私のBMWに加え、フェラーリ・ローマ、そしてポルシェ911が並んでいた。

ひとたび館内へ足を踏み入れると、新旧が調和したその空間でオーナーのジュリーとカミルは、まるで旧友であるかのような温かく迎えてくれた。そして用意されたスイートルームで落ち着いた後、彼らのレストランで夕食を共にした。背景に暖炉の炎が揺れるなか、地元で採れた新鮮な食材を使った料理を囲み、そうした料理と完璧にマッチする地元産ワインを味わいつつ、会話を楽しんだ。そして、このホテルがかつてはジュリーの家族の実家であり、彼女の父が愛情を込めて改装し、隣接する敷地へも拡張し、修復されたことを知った。さらに、現在のダイニングルームは、彼女が幼い頃に家族で食卓を囲んでいた、まさにその部屋だったという。この建物に注ぎ込まれた愛情と手間は、今もそこに息づいている。そして彼らが提供する、まるで家族のような温かいもてなしとなって息づいている。

翌日は、ジュリーとカミルが手配してくれた、盛りだくさんのスケジュールで楽しんだ。まずは街の散策だ。「シモーヌズ」で、典型的にフランスらしい昼食を楽しんだ。その後、「ル・セリエ・サン・ピエール」で合流した。そこはかつて大司教の邸宅だったという素晴らしい建物だった。地下のワインセラーには今でも隠し通路が残っており、大司教は外へ出ることなく、大聖堂での礼拝へ向かうことができたそうだ。店長のアレクサンドルは、シャンパンを味わいながら、泡の大きさや香り、ブドウの品種による微妙な違いについて説明し、その情熱と知識を共有してくれた。

その夜、再び街を案内してもらった。ただし今度は、カミルとジュリー自身が案内役を務めてくれた。一晩のうちに、彼らのお気に入りのレストラン3軒を巡り、その味を私たちに楽しめるよう、惜しみない心遣いをしてくれた。この美食ツアーは、「シェ・コム」で前菜を、「オクタヴ」でメインディッシュを、そして「ル・ヴァレンティーノ」でデザートを味わう、という流れだった。

良きロードトリップは、目的地と同様に、その道中の旅を楽しむことにある。そこで翌朝、私たちはクロワッサンとコーヒーを味わいながら、帰途のルートを計画し、その後はそれぞれの道へと分かれることとした。フレクシプラスチケットの利点は、特定のシャトルに縛られる必要がないことだ。なので少し寄り道をして、薦められていた独立系のシャンパン・ハウス「エリック・テレイ」を訪れた後、北へ進路を取り、シャンパーニュ観光街道(ルート・トゥーリスティック・デュ・シャンパーニュ)の一部を走った。このようなゆったりとした道のりは、周囲の景色を味わう時間を与えてくれた。そしてついに、ただ運転することそのものを楽しむ、ということが実際にできた。

太陽が顔を出し、ルーフを開けたまま、ブドウ畑や地元の町並み、田園地帯を駆け抜けた。途中、昼食と給油のために何度か停車しながら。時間をかけて寄り道を楽しんだ後、帰り道は再び有料ルートを利用することにした。ランスからル・シャトルへ戻る際は、昼夜を問わず30分間隔で列車が運行している、という安心感があったからだ。

イギリスへ戻ってからは、暗闇のラッシュアワーの中、整備状態の著しく悪い道路を運転しながら帰宅した。それは、フランスで慣れ親しんだこととはあまりにも対照的だった。

だからこそ、海峡を渡る予約をして自分たちの車を楽しむことに価値があるのだと、改めて実感したのだった。完璧な準備にこだわるべきではない。不安は思い切って振り払い、かけがえのない思い出を作ろう。

文:Robert Hefferon