ジムニー ノマド、最新2型のオン・オフ試乗でわかった。5ドア仕様は“ジムニーらしさ”にゆとりと安定感ある走りを実現

■ジムニーらしさをオン/オフロードで試す

スズキもうれしい悲鳴すぎたバックオーダー5万台の解消に一定のめどが立ち(納期はまだそれなりにかかるようだが)、首を長くして待っていたジムニー ノマドのメディア向け試乗会がついに行われた。筆者が実車を初めて見たのは2024年12月の事前撮影会。あれから1年半以上たったのかと思うと、何となく感慨深い。

【画像】“ジムニーらしさ”は健在! ノマドは懐深い走り味とゆとりの車内空間が強みだ

試乗車は2026年1月30日に一部仕様変更、ならびに受注再開が発表された、いわゆる「2型」だ。試乗コースは富士山西麓に広がる富士ヶ嶺の一般道とオフロード。

オフロードコースの設定はジムニー試乗会のお約束だ。が、じつは一部仕様変更にはニュースリリースに記されていないものの、ややもすれば本格オフローダーの沽券(こけん)にかかわる非常に重要な内容が含まれていた。

■一般道の乗り心地は断然快適

そんなことは露知らず、さっそくノマドに乗り込んだ。一般道の試乗車は5速MTだ。パートタイム式4WDのトランスファーは舗装路でもちろん「2H」、つまり2WD(FR)ハイレンジを選択する。

ボディはシエラからホイールベースが340mmストレッチされ、車重も100kg増えている。それでも1.5Lガソリンエンジンには十分な余裕がある。スペックに表れない実用トルクが充実しており、長い上り勾配で高めのギヤを保ったままでも車速が落ちない。シフトダウンすればパワーもしっかり引き出せる。

サスペンションは車重増などに合わせてノマド専用にチューンされている。シャシーのフィーリングは期待していた以上に上質だ。筆者はドライバー本誌の取材で並行輸入のインド仕様に乗ったことがあるが、そのときの印象よりも電動パワーステアリング(EPS)の操舵感がスムーズで、乗り心地も突き上げ感がさらに少なく感じられる。

■車外騒音規制対応で足まわりを再チューニング!?

仕向け地によって仕様は若干違う可能性があり、また量産が進んだことで工場の生産精度が向上したことも考えられる。と思いながらいちおう装着タイヤを確認すると、銘柄は従来と同じブリヂストン デューラーH/L。しかし、本格オフローダーには当然あるはずの「M+S」の表記が、目を皿のようにしても見当たらない。

開発陣に確認すると、やはりオールシーズンタイヤではない。ニュースリリースにはなかったが、2型では車外騒音規制強化への対応でロードノイズを低減させるべくサマータイヤに変更されたのだ。

サマータイヤはオールシーズンよりトレッドの溝が浅く、パターンノイズを抑えられる。半面、ブロックがたわみにくいためトレッドの柔軟性が低下し、乗り心地に影響する。それに対処するため、ショックアブソーバーの減衰力も若干低く見直されている。

この足まわりの変更によってバネ下の路面追従性が向上し、乗り心地がアップ。ボール&ナット式のEPSも操舵初期のレスポンスがいくぶん向上しているのだ。サスがオフロード用の前後リジッドであることを意識させられることは、舗装路でもほとんどない。EPSは従来どおりスローでロック・トゥ・ロックが4.1回転と多いが、ハンドリングは一体感を高めている。

■ホイールベースの長さが安定=安心感に

一方、オフロードコースに用意されていたのは4速AT車だ。トランスファーは4WDローレンジの「4L」を選択する。

ここでも、まず感心したのは乗り心地。大小の石や木の根が露出した林間路でペースを上げても突き上げに不快なカドがないうえ、シエラなら大きく跳ねそうな場面でもボディのフラット感が高い。

悪路走行時の挙動も安定している。例えば、「アクセルオンで一気に駆け上がるとシエラではリヤが左右に振られる」(開発者)という急斜面。ノマドでトライするとリヤは落ち着いたままで、駆動力が左右へ流れず進行方向に無駄なくかかるのだ。

前後の2輪が対角線で浮いてしまうモーグル路では、4Lで作動するブレーキLSDトラクションコントロールが威力を発揮。エンジントルクを落とさないまま空転するタイヤにブレーキがかかり、もう一方のタイヤに駆動力が伝わる。ヒルホールドやヒルディセントコントロールと合わせて、悪路走行の機能はシエラと共通だ。

そして、サマータイヤによるオフロード性能の低下は、ほぼ皆無といっていいのではないか。今回のコースは初心者にも走りやすい設定だったが、ジムニーが持つ悪路走破性のポテンシャルとタイヤ性能の進化については、スズキの面々も2型の開発を通して再認識したようである。ちなみに、シエラも2025年10月の一部仕様改良でサマータイヤ(ダンロップ グラントレックH/T31)が採用されている。

■ADAS系の仕様変更も含め、さらなる魅力を獲得

車外騒音規制への対応は、ほかにもトランスァーカバーの追加などが行われている。一部仕様変更の主眼はニュースリリースのとおり装備・機能の充実で、先進運転支援(ADAS)は従来の「デュアルカメラ」から「デュアルセンサー」にシステムを一新。アダプティブクルーズコントロール(ACC)は4速AT車が全車速追従に進化し、マルチインフォメーションディスプレイはカラー化された。

ボディ色にはグラナイトグレーメタリックを新設定。バックアイカメラ付ディスプレイオーディオ・スズキコネクト対応通信機がメーカーオプションで用意されたのも朗報だ。

税込み価格は全車統一で292万6000円。5速MT車が27万5000円、4速AT車は17万6000円の値上げになるが、仕様変更の内容や原材料の高騰を考え合わせれば妥当なところだろう。

待ったかいがあった出来栄えのノマド。時代の要求によって登場したジムニーシリーズの新しい主役をあらためて歓迎したい。

〈文=戸田治宏 写真=山内潤也〉

■ジムニー FC主要諸元

〈4WD・1.5L直4・4速AT〉

[ ]内は5速MT

【寸法・重量】

全長:3890mm

全幅:1645mm

全高:1725mm

ホイールベース:2590mm

トレッド:前1395mm/後1405mm

最低地上高:210mm

室内長:1910mm

室内幅:1275mm

室内高:1200mm

車両重量:1210[1200]kg

【エンジン・性能】

型式:K15B

種類:直列4気筒DOHC

ボア×ストローク:74.0mm×84.9mm

総排気量:1460cc

圧縮比:10.0

最高出力:74kW(101ps)/6000rpm

最大トルク:130Nm(13.3kgm)/4000rpm

使用燃料:レギュラー

燃料タンク容量:40L

燃費(WLTCモード):13.6[14.9]km/L

最小回転半径:5.7m

駆動方式:4WD(パートタイム式)

【トランスミッション】

4速AT[5速MT]

・変速比:

1速 2.875[4.425]

2速 1.568[2.304]

3速 1.000[1.674]

4速 0.696[1.190]

5速   ―  [1.000]

後退 2.300[5.151]

・トランスファー(副変速機)

形式:チェーン+ギヤ式

高速変速比 1.320[1.000]

低速変速比 2.643[2.002]

・最終減速比 4.300[4.090]

【諸装置】

サスペンション形式:前後3リンクリジッド

ブレーキ:前Vディスク/後L&Tドラム

タイヤサイズ:195/80R15 96S

【メーカー希望小売価格】

292万6000円[292万6000円]