
『Octane』UKの愛車日記・番外編。今回はUK版編集部に寄せられた、戦前車を愛する女性リアノンからの、1924年ダッジと1930年式フォードへの愛情あふれるお便りを紹介する。
【画像】家族にとって、ダッジとフォードはなくてはならない大切な2台の車(写真3点)
私がよく尋ねられる質問はこのふたつ。まず、「これは何ですか?」。だいたい、前かがみの変な態勢で頭を突き出し、目を細めてラジエーターのエンブレムを覗き込みながら。
そしてもうひとつは、「レストアするんですね?」
最初の質問は大好き。これがダッジだと分かったときの、相手の驚く顔を見るのが楽しいから。でも、2つ目の質問には少しいらついてしまうのです。私は、不機嫌そうに見えないように努めながらこう答えるようにしています。「オリジナルでいられるのは一度きりなんですよ」
そういうことがあると、多くの人にとってこれほど古い車を目にする機会は、博物館か、愛情を込めてレストアされて磨き上げられた展示車が並ぶショー会場くらいしかないのだ、と思い知らされます。私にとっては、1924年ダッジ・ツアラーや、(雨の日には)1930年フォード・モデルAで、ちょっと買い物へ出掛けたり、早朝の川泳ぎに向かったりすることは、ごく当たり前のこと。とはいえ、特に冬場に他の人から見れば、少々頭がおかしいと思われるのかもしれません。
戦前のヴィンテージカーに魅了されるようになったのは、まったくの偶然でした。15年ほど前、ニュー・ラドナーを車で走っていたとき、泥だらけの古い車が何台も私の横を通り過ぎていきました。何をしているのだろう?と思い、その後を追ってみました。たどり着いたのは、ヴィンテージ・スポーツカー・クラブ(VSCC)主催の「ウェルシュ・トライアル」が行われていた、スマッチャー・ヒルの麓でした。この人たちはまったくどうかしている、と思いました。でもね、めちゃくちゃ楽しそうだったんです!
私はベッカ・パーカーという写真家と知り合い、仲良くなりました。彼女に勧められて、私もカメラを持っていくつかのイベントに参加するようになりました。そして1年後の同じトライアルでは、私は1917年ダッジの中でバウンサーを務めました(註:バウンサーとは、急な泥だらけのヒルクライムで、トラクションを高めるために飛び跳ねて車体を上下に揺らす役割を担うパッセンジャー)。さらにその1カ月後には、VSCCのコッツウォルド・トライアルで、伝説的なヒッキー・ヒックリングの黄色いダッジに乗り込み、彼のバウンサーを務めたのです。私は、すっかり夢中になりました。
その後も私は、敏腕のデイヴィッド・エリソンのもとで、彼とニック・アプトンが所有するグリーンの標準仕様1930年フォード・モデルAセダンのバウンサーを務めました。数年後、この車を借りて夫が運転に挑戦。私と二人の娘がバウンサーとして乗り込むという体験もしました。それがきっかけで、家族そろってヴィンテージ・トライアルを楽しむようになったのです。そしてその後まもなく、この車を購入することになりました。
昨年には家族4人全員で、この車で初めてトライアルを経験しました。VSCCのウェルシュ・トライアルでサードクラス賞を受賞し、私自身初めてのトロフィーを手にすることができました。モデルAでは数々の好成績を収めましたし、一度だけですが、VSCCのミーシャム・ナイトラリーにも参加しました。本気で恐ろしくもありましたが、とにかく最高に楽しい経験ができました。この車は結婚式のウェディングカーも務めましたし、ツアーの一部としてシェルズリー・ウォルシュのヒルクライムコースを(ゆったりとしたペースですが)走らせたこともあります。
他のモデルAと一線を画すのは、そのインテリア。天井も、内張りも、シートも、すべてがヒョウ柄で彩られているのです!この車は数年前にアメリカで”夜の女性”が売却したそうです。そのままイギリスへ輸送され、オリジナルの状態から一切変わっていません。私の好みではないものの、決して変えるつもりはありません。それどころか、昨年のトライアルシーズンには、ミラーボールを取り付けたほどです。
わが家の1924年ダッジ4ツアラーは、娘たちから”ラスティ・ダッジーナ”という愛称で呼ばれ、家族にとってもかけがえのない存在です。この車は、トライアル競技用としてオーストラリアから輸入されたもので、およそ12年前にヒッキーが私たちのために見つけてきてくれたものです。
3.7リッター4気筒エンジンを搭載し、木製ホイール、剥がれかけの塗装、後輪のみ装備のブレーキなど、この車は、当時のオリジナルの状態を保っています。私たちは、この車はトライアル競技に使うにはあまりに特別すぎると判断しました。それでも、ドニントンではレースに2度出場し、ブルックランズやビスターでは走行テストを行い、ツーリングやラリー、カーショー、結婚式、BOCプレスコット・ガーデンパーティー、コップ・ヒルクライム、ブロムヤード・スピード・フェスティバルなど、数え切れないほどのイベントに参加してきました。
昨年は、夫がVSCCプレスコットの週末イベントに自分のダッジで出場するため、ランニングボードにキャンプ道具をくくり付け、この車で1時間半かけてウィンチカムまで向かいました。普段は農場資材店へ飼料を受け取りに行ったり、スーパーへの買い物や日常の足として使ったり、クリスマスツリーを引き取りに行くのにも毎年使っています。夏になれば、幅広いランニングボードを皆の即席ベンチの代わりにして最高のパブ・カーにもなりますよ。
どちらの車も、素晴らしく派手でも速いわけでもなく、実用性に優れているわけでもありません。それでも、この2台は私たち家族にとってかけがえのない存在であり、その価値は何ものにも代え難いものです。これから先も何年経っても、使い続けていけることを願っています。
文:Rhiannon Carvell-Crook