三井不動産は23日、ロジスティクス事業についてメディア説明会を開催。開発物件の進捗状況を報告したほか、物流業界が抱える課題の解決について、また未来の物流に対応する次世代スマート物流施設についても紹介した。
安定供給を継続中
三井不動産の涌井耕人氏が説明した。まずは直近の開発物件の進捗について。2025年度の竣工物件は、MFLPつくばみらい(2025年4月)、MFLP一宮(2025年5月)、MFLP尼崎 I(2025年5月)、仮称MFLP仙台名取 II(2026年1月)、MFLP入間 I(2026年1月)で「東北から関東、中部、関西に至るまで広範に、各社様のニーズに合わせる形で物件供給しております」と涌井氏。
また2026年度は、MFIP海老名 &forest(2026年6月竣工)、仮称MFLP入間 II(2026年6月竣工)、仮称MFLP三郷(2026年10月竣工予定)、相模原DC計画(2027年1月建物竣工予定)。同社では今後も、年間6~12件程度を目安に、安定的に物件を供給していくとしている。
これにより6月末時点で竣工済が64物件(延床面積は約490万m2)、開発中が24物件(約140万m2)となった。累計投資額は約1兆4,000億円。
涌井氏は「マーケット全体のお話になりますが、コロナ禍以降、エリアによっては空室率が上がりました。直近の数年間は建築コストの大幅な上昇もあり、競合プレイヤーの数がかなり減ったように感じています。肌感では半分くらいになった、という印象です。一方、当社では堅調に伸びている物流事業にフォーカスを当て、右肩上がりで成長してきました。空室率も2%程度です。これからも変わらないペースで、物件の安定供給を続けていきます」と説明する。
大規模フラッグシップ物件の開発へ
三井不動産ではこれまで、総合デベロッパーだからこそできる『街づくり型物流施設』の開発に注力してきた。たとえばMFLP船橋ではアイススケートリンクを設置して市民に開放し、地元の住人を集めてフェスも開催、MFIP羽田では橋をかけることで人流を創出し、MFLP・LOGIFRONT東京板橋では防災倉庫や避難デッキを設置したほか、憩いの場の創出も手がけた。
今後は『街づくり型』を軸にした、大規模フラッグシップ物件の開発にも取り掛かる。SGリアルティ・MFLP大阪加島(2027年9月竣工)は、鉄骨造6階建て・延床面積約21万m2超の大阪市内最大のフラッグシップ物件。
災害への備えとしては、免震構造を採用、最大72時間対応の非常用発電機を設置し、津波避難ビルの指定も見込む。系統用蓄電池、コンテナ型DC、ペロブスカイト太陽電池など、次世代に向けた多機能先端技術の採用も検討している。
MFLP・LOGIFRONT京都八幡I、II(2027年8月および2028年9月竣工)は、関西広域圏に配送できるポテンシャルの高さがメリット。ワーカーのための庫内空調の実装、全階2.0tのフォークリフト対応、1階トラックバースの車庫化など、物流業界で働く人の労働環境に配慮した設備を備える。
また地元自治体と協力して河川の付け替えや湛水池の整備などを進めている。このほか地元農作物を用いた弁当などの商品を施設内で販売し、三井不動産のECサイト「&mall」でも取り扱う。
MFIP海老名 &forestでは温浴施設や住宅と一体化した開発を進め、住宅部分は2026年6月の竣工時には満室となった。オフィス部分は1、2階は物流用途、3、4階はオフィス・研究施設・ラボなどに対応するマルチユース区画として整備した。3路線が乗り入れる海老名駅より徒歩10分の好立地ということもあり、隣接街区とともに快適・健やかな街づくりに取り組んでいく。
海外においては、現時点で11棟の物流施設、3棟のデータセンターの開発を進めている。「国内展開で培ってきた豊富なネットワーク、開発の知見を活かしながら、海外でも事業を推進してまいります」と涌井氏。
物流業界の課題も解決
三井不動産では、単なる物流施設の提供だけにとどまらず、物流業界の抱える課題も解決することでサプライチェーン全体に寄与することも考えている。
いま物流業界が直面している課題といえば、労働力不足の深刻化、長時間労働の是正、物流コストの上昇、多様化する物流ニーズ、環境負荷への対応、など。2026年4月には「改正物流効率化法」(いわゆる物効法)が全面施行となり、業界では物流の効率化、そのための構造改革が急務となっている。
そこで三井不動産では、物流施設を探している荷主・物流事業者に向けて、空いている物流施設の提案、要望に応じたサービスの提供を行ってきた従来の受動的な対応をあらため、現在は荷主・物流事業者と密にコミュニケーションを図り、各社の課題・悩みをヒアリングし、当社から積極的に企画・提案を実施する方針に転換した。涌井氏は「お客様と寄り添い、伴走しながら課題解決を目指していきます」と説明する。すでに大手企業を含む35社超から、計120案件以上を受託したという。
新しい取り組みも展開していく。「&LOGI Berth(仮称)」は、トラックの荷役時間(荷物の積み込み、荷降ろし、順番待ちに要する時間)の削減を求めている物効法に対応するもので、AIカメラを使って荷役時間を可視化する。2024年9月~2025年10月には実証実験を行い、テナントから高い評価を得たという。
また近い将来、自動運転トラックが社会実装されることが予想されている。そこで2026年7月、自動運転トラックの開発導入を進めるT2社に出資。今後、自動運転トラックに対応した施設オペレーションを構築するなど、次世代スマート物流施設に進化させるためのステップを踏んでいく。
最後に、涌井氏は「私たち三井不動産は、物流事業者様、荷主企業様、パートナー企業様、地域社会などと連携しながら、ともに未来の物流を考え、ともに生み出していければと考えております」とまとめた。











