――退団されてちょうど3年です。改めて、宝塚歌劇の魅力はどんなところだと感じますか。

作り上げてきたものや美学を惜しみなく下級生に教えてくださる先輩がいて、それを必死に下級生は学び、また自分が体現していく。諸先輩方が作ってきたものを受け継いでいくこと、“継承”が、やはり宝塚の魅力の一つだと感じます。

「受け継ぐ」と、口で言うのは簡単ですが、伝統や芸術は目に見えるものではないので、やはり簡単ではないことだったんだなと、卒業してなお感じます。そして宝塚で培ったものは、私の舞台人としての基盤になっているので、今もすべてに息づいているのかなと感じています。

――最初に宝塚歌劇以外の公演に出演されたときは率直にいかがでしたか? 当然、男性の共演者もいらしたわけですが。

最初に感じたのは、舞台を作ろうという大きな思いに、性別は関係ないんだということでした。声量や音域とか、ちょっとしたリフトとか、幅はもちろん違いますけど、何か新しいものを作ろうという思いは、男性だろうと女性だろうと一緒。もっと何か違いを感じるのかと思ったらそうじゃなくて、芸術を作りたいという人間としての思い、そうした人の思いが集結して作られていくのだなと感じました。

――なるほど。感じたのはむしろ違いではなくて、同じ思いだったと。

違いとして新鮮だったのは、公演ごとにメンバーが変わるということでした。宝塚ではある程度固定されたカンパニーで動きますが、作品が変わるたびにメンバーも変わり、頑張って一緒に作り上げても、再演がない限りまたいつ会うのかわからない。そこが随分違う感覚だなと思いました。

母として表現者として…せめぎ合いながら舞台に立ち続ける理由

――結婚・ご出産を経て、今年は舞台が続いています。お忙しいのでは。

やはり聞くのとやるのとでは大違いで、世のお母様方すべてに敬意を払って今生きております。子育てという分野に直面して、自分一人では手が回らない、仕事なんて無理だろうという感覚になった時期もありましたが、家族に支えてもらいながらバランスを取って、やりたいと思えるものは挑戦していきたいと思っています。

ありがたくもこうしてお話をいただくので、待ってくれているファンの方がいてくださる限りは、応えていけたらと思っています。正直、今年はちょっと入れすぎたんじゃないかという説はありますが(笑)

――両立は大変でも、舞台にはやはりそれだけの魅力がありますか?

せめぎ合いです。「はい」とかっこよく言い切りたいのですが、嘘はつけない性分なので(笑)。ただ舞台に立つと、誰かのお母さんではない自分を表現していける場所があるとは感じます。OGの先輩方、瀬奈じゅんさんからも「お母さんが笑顔でいることが一番だから」というお言葉をいただいて、すごく心に響きました。

――そうなんですね。

卒業してもなお、先輩方の大きな言葉に救われる瞬間があります。結婚・出産を経た私だからこそ表現できるものや感じられることが、確実に以前とは違うなという感覚は芽生えてきているので、そうやって表現していく喜びは続けていけたらと思っています。

母である自分と表現者である自分を、うまく共存させていけたらと。今は歌があるようなミュージカルの作品などに呼んでいただくことが多いのですが、お芝居だけの作品、朗読劇や映像にも挑戦してみたいですね。

――最後に、番組をご覧になる視聴者の方、ファンの方へメッセージをお願いします。

今回こうした機会をいただいて、私自身も改めてこの作品を久しぶりに見る貴重な時間を過ごし、とても楽しかったです。ご覧になる皆様にも楽しんでいただける番組になっていると思いますので、ぜひ最後まで楽しんで見てください。

●真風涼帆
熊本県出身。2006年、宝塚歌劇団に92期生として入団。星組を経て宙組に組替え後、17年に宙組8代目トップスターに就任。23年6月の退団後、同年11月からミュージカル『LUPIN~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』の舞台を踏む。結婚・出産を経て、26年は舞台『AmberS -アンバース-』、ミュージカル『空白の響き Blanked Sound』、『古川雄大 The Greatest Concert vol.3 -Man of the Stage』、湖月わたる宝塚歌劇団退団20th Anniversary『TUMBLEWEED』と出演作が続く。