
岡本和真は歴史的快挙を成し遂げられるだろうか。MLBオールスターゲームの先発野手を決める最終投票で、岡本はア・リーグ三塁手部門2位に後退した。それでも、今季の成績を見れば選出に値するだけの実績は十分に残している。仮に選出されれば、日本人内野手では史上初、さらにアジア人内野手としても初の快挙となる。データをもとに、その可能性を探っていく。(文:ニコ・トスカーニ)
[caption id="attachment_271360" align="aligncenter" width="1200"] トロント・ブルージェイズの岡本和真(写真:Getty Images)[/caption]
MLB機構は日本時間7月1日、2026年オールスターゲームの先発野手を決める最終投票の中間結果を発表し、一次投票でア・リーグ三塁手の1位だった岡本和真(ブルージェイズ)は2位に後退した。
暫定1位のジュニオール・カミネロは6月末に1試合3本塁打を記録するなど大爆発しており、その結果が影響したものと思われる。大爆発もあって1次投票時点ではそれほど大きくなかった成績面でも岡本は差をつけられた形になる。
最終投票は日本時間7月3日に締め切られる。
ア・リーグの三塁手で十分な貢献度
[caption id="attachment_272260" align="aligncenter" width="1200"] トロント・ブルージェイズの岡本和真【写真:Getty Images】[/caption]
中間発表時点でのカミネロの得票率67%に対し、岡本は33%で、岡本にはカナダと日本の野球ファンがバックについているとはいえ状況は少しばかり厳しい。
カミネロは打率.292(リーグ5位)、22本塁打(リーグ3位)、OPS.932(リーグ3位)を記録しており、前半戦時点ではア・リーグ最上位クラスの強打者である。
守備と走塁の貢献度は最低レベルだが、オールスターに相応しいかと問われれば意義を唱える野球ファンはほぼ存在しないだろう。
現時点での結果を見ても、このままカミネロがファン投票トップを獲得しオールスターの先発メンバーに名前を連ねる可能性は高いだろう。
では、岡本には全くオールスターの資格は無いのだろうか?
今季、ア・リーグの三塁手は低調な選手が多い。特に、ホセ・ラミレス(ガーディアンズ)の低調ぶりが目立つ。ラミレスは2年連続で30本塁打40盗塁、OPS.850以上を残しているパワーとスピードを兼ね備えた選手だが、今季ここまで72試合で10本塁打OPS.757に留まっている。
24盗塁(失敗2)は流石だが、全体的には低調な印象が否めない。ラミレスは最終投票に残ることもできず、加えて負傷者リスト入りしてしまったため5年連続で選出されていたオールスターは絶望的だろう。
それでも、チームへの貢献度は高く、総合貢献度を示すWARはア・リーグの野手16位で、三塁をメインにする選手ではカミネロ、ミゲル・バルガス(ホワイトソックス)に次ぐ数値である。
ライバル比較で見える岡本の現在地
[caption id="attachment_269196" align="aligncenter" width="1200"] ブルージェイズの岡本和真【写真:Getty Images】[/caption]
肝心の岡本だが、ア・リーグの三塁手を見ていくと競う相手は思いのほか少ない。岡本のWARはア・リーグの野手で32位だが、三塁がメインの選手で岡本よりWARの高い選手はカミネロ、バルガス、ジョシュア・ヤング(レンジャーズ)の3人のみである。
岡本、バルガス、ヤングの3人は成績面で大きな差が無く、仮にこのままカミネロが独走し、控え三塁手を一人選ぶとしたらこの3人のうちの誰かになるだろう。
ヤングは打率は高いが、今季8本塁打でパワーが物足りなく、バルガスは岡本と似たタイプで率は高くないが岡本と同数の19本塁打を記録している。
今季、守備・走塁でも平均以上の貢献をしているバルガスはカミネロを超えるWARを記録しており単純に成績面ならバルガスが1番手だが複数ポジションで出場しているバルガスはユーティリティ扱い(投票では三塁手ノミネートで1次投票は3位だったが一塁、二塁、左翼でも出場経験あり)での選出の可能性もある。
その場合、控え三塁手はコンタクトヒッタータイプのヤングとリーグ7位タイの19本塁打を打っているパワーヒッターの岡本の勝負になるだろう。
投票で選出されなかった場合、選手間投票とメジャーリーグ機構による推薦で出場選手が決定するが、岡本は選ばれてもおかしくないだけの成績を残していると思う。
ファン投票結果発表後の判断は我々ファンでは関与することは不可能だが、日本人の内野手がここまではっきりオールスター選出に近づいたことそのものが快挙であり、岡本がこの位置まできた意義は深いと思う。
仮に選ばれたら日本人内野手で初どころか、アジア人内野手でも初である。
MLBオールスターゲームの全出場選手は日本時間7月5日に発表される。
【著者プロフィール】
ニコ・トスカーニ
大学卒業後、IT技術者をしながら「ニコ・トスカーニ」のペンネームでカルチャー系の兼業ライターとして活動。また共同制作者、脚本家として神谷正倫名義で『11月19日』(2019)、『階段下は××する場所である』(2021)、『正しいアイコラの作り方』(2024)の3本の劇場公開作がある。FanGraphsのデータを確認するのが趣味で、好きが高じて野球の原稿も時折手掛けている。
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