
indigo la Endがメジャー通算9作目となるフルアルバム『満ちた紫』を発表した。
結成15周年イヤーを日本武道館2daysで締めくくり、長年在籍したワーナーを離れ、ソニーミュージックに移籍をして、自主レーベル「Daphnis records」を設立。そんな区切りを経て完成したアルバムは、これまでもインディゴが内包していた「朱=攻撃的なオルタナティブロック」と「蒼=物悲しくも美しいポップス」を混ぜ合わせ、「紫」という新たなアイデンティティを提示する作品に。しかも、かつて憧れた1990年代後半から2000年代の音楽シーンをリファレンスとすることで、懐かしくも新しい、現在のインディゴならではの2020年代的なポップミュージックへと結実している。the cabsやplentyといった同時代の盟友たちが再始動する時代の空気も感じながら、バンドを転がし続けてきたからこそ作ることのできた、自然体の傑作だと言っていいだろう。新たなフェイズに入ったインディゴの現在地について、メンバー4人に語ってもらった。
「2000年代初頭の感じ」を今やったらどうなるか
ーワーナーからソニーに移っての最初のアルバムが完成しました。前に絵音くんとは礼賛のインタビューでも移籍について話をしていて、インディゴというよりも、むしろ礼賛にとってよりいい環境を模索する中で、結果的にソニーに移ったと聞いてはいるんですけど、改めて、インディゴにとっての今回のソニーへの移籍はどう捉えていますか?
川谷:ワーナーでもう11年やってたから、新しい環境に行きたいな、みたいなのはあったんですけど、新しい環境に行ったところですぐに何かが変わるバンドでもないし、ずっと右肩上がりではあったので、このままでも別にいいか、みたいな気持ちもあって。ただワーナーでずっとお世話になっていた人が会社を辞めたり、いろんなことを踏まえての移籍という感じですね。最初からソニーに決めていたわけではなく、色々な人と話をして、ソニーが一番変化の可能性があるかなって。
佐藤:リーダーも言ったように、移籍したからといって、すぐにカラーが変わるようなバンドでもないじゃないですか。今回のアルバムに関しても、移籍が決まる前からレコーディングを進めてた曲が何個かあるんですよ。だから正直「ここでガラッと何かを変えます」みたいなことは全然なくて、逆にそれが僕らのカラーとも言えるのかなって。変わったのは、街でHANAさんの広告を見たときに、「あ、一緒なんだな」とか思うぐらい(笑)。
ーアルバムを聴かせてもらって、とてもインディゴらしいアルバムになったと感じました。もちろんいろんな挑戦もあるし、遊び心もあるんだけど、オルタナティブな部分がちゃんとありつつ、最終的にはポップスとして着地する、そういう本質的な意味で非常にインディゴらしいアルバムになったなと、個人的には感じていて。もともとアルバムに対する青写真はどの程度ありましたか?
川谷:今回はソニーへの移籍が決まる前から作り始めてるから、最初は自分たちの会社でお金を出して録ってたんですよ。レコーディングスタジオも(休日)課長が予約して、レコーディングスタジオは予約すると「ソニーミュージック」とか予約した人の名前が書いてあるんですけど、今回はそこに「和田」って書いてある、みたいな。
ー休日課長の本名ね(笑)。
川谷:だから、最初はどこから出すかも決まってなかったし、わりかし自由だったから、「今までやってないことをやろうか」ぐらいの感じ。「カグラ」を作ってるあたりでソニーが決まったので、その頃から方向性も見えてきたんですけど、それ以外は割と自由に作った感じですね。ただ結果的には全体としてすごく聴きやすいアルバムになったと思います。音楽好きな人も、そこまでの人も聴けるアルバムというか、やっぱりそこが一番の狙い目ではあったので。前まではちょっとやりすぎてる部分があったりもしたけど、いい具合に肩の力が抜けたかなって。

Photo by Hirohisa Nakano
ーアルバムを作るときはいつもある種の反作用がある気がしていて。前作『MOLTING AND DANCING』では「Molting」=「脱皮」という言葉を使って、外に開いてたから、今回は反作用で、もう一回自分たちを見つめ直す、みたいなところもあったりしたのかなと。
川谷:そこまでは考えてなかったです。結構変な時期だったというか、ふわっとした時期で、発売日も特に決まってない中で作り出したので、「とりあえず、新曲作るか」みたいな、バンドを始めた初期に近い感じでしたね。
佐藤:前のアルバムから反作用的なものが少しあるとしたら、個人的には完璧主義が薄れて、すごく楽になりました。自分で自分に「真面目じゃないといけない」みたいなことを思ってたけど、もっとナチュラルになろうと思って。それがどう作品に反映されてるかはわからないし、聴く人にとっては関係ないことかもしれないですけど、アルバムを聴き返したときに、自分的には「完璧主義を脱したな」みたいな感覚があって、いいなと思いました。
長田:自分たちでスタジオを予約してたときは、僕は買い出しの担当で、ペットボトルを10本ぐらい抱えてきたりして(笑)。そういうラフな雰囲気があったからかはわからないですけど、僕も結構力が抜けた感じで録れてたかもしれない。今まではやりすぎちゃう節があって、例えば、一曲に対して何パターンもアレンジを考えてたけど、割とザッとやって、いい形でできた感じはありますね。
後鳥:意識として特別変わったことはないんですけど、作ってる途中にちょっとだけ思ったのは、スピッツと対バン(昨年9月25日の「豊洲サンセット」)して、田村(明浩)さんにひさしぶりに会って、田村さんはすごい俺のこと好きって言ってくれて、「メロディアスだよね」みたいなことを言ってくれたんです。なので、そこで思い立ってメロディを意識したベースを弾いたり、そういうことは考えながら録ってましたね。
ー個人的には、まさに今回スピッツを改めてもう一度見つめ直したような側面の強いアルバムだと感じていて。もちろん、スピッツが理想とする存在の一つというのはずっとそうだったと思うけど、対バンしたときに「ホタル」をカバーしてたり、「空の飛び方」という歌詞が出てきたり、「紫」というワードから「紫の夜を越えて」を連想したりもして。もう一度自分たちを見つめ直して、オルタナとポップスのバランスを考えたときに、やっぱりスピッツは一つの理想としてあって、それを自分たちらしくもう一回やってみよう、みたいな意識もちょっとあったのかなって。
川谷:明確に背景にあったかどうかはわからないですけど、「良質なポップスを作る」みたいな感じはあったというか。僕らが昔聴いてた2000年代初頭の音楽、まだ僕らがフェスとかに出てないときで、フェスに出てるバンドが今とは全然違って、もうちょっとオルタナティブなバンドが多かった時期に憧れていたので、その頃の感じを今やったらどうなるか、みたいな感じはありました。今回は弦とかオケも全然入れてなくて、バンドサウンドで作るシンプルなものをイメージしていて、スピッツはその時期に憧れていたバンドの一つとしてもちろんありました。
ー他にはどんなバンドをイメージしていましたか?
川谷:GRAPEVINE、くるり、クラムボンとかがまだロッキン系のフェスに出てた時代というか、100sとかがメインステージに立ってた頃というか。
ー管弦は使われてないけど、ピアノは結構入ってたり、その感じもポップスらしさにつながってるし、長田くんのギターにしても、クリーントーンは今までもずっと使ってるけど、アルペジオの感じはポストロックというよりも、もうちょっとメロディアスで、ポップス的、スピッツ的だと感じたりもしました。
長田:あまりポストロックに行き過ぎないようにっていうのは意識して作ってますね。僕のフレーズの作り方として、アルペジオの中にメロディを落とすのが好きなんですけど、うまくやらないとポストロックになっちゃうんですよ。その塩梅が難しい。それはかなり意識して作ってはいます。
ーオルタナとポップスのバランスについて、特別メンバーの中で言語化してるわけではない?
佐藤:曲作りのために集まって、最初の段階でみんなもう読んじゃってるというか、想像してるから、話さなくても済むのかもしれないです。そこでちゃんと話しちゃうと、さっき言った完璧主義の方に入っていっちゃうのかも。今回のアルバムのナチュラルさは、最初にリファレンスをこれにしようとか、こういうテーマ、このBPM、この和声でってなったときに、各々がそのイメージを読んで、寄せ合った結果かもしれないです。
後鳥:初めはシンプルな感じで作ってたんですけど、作ってたらやっぱり別のタイプのものを作りたくなったり、派生していくので、そこで「もっとこうしてみよう」「この楽器を使ってみよう」とか、いろいろバリエーションを増やしていった感じでした。
朱と蒼が混ざり合った「紫」
ー『満ちた紫』というタイトルに関しては、どのタイミングで決まったんですか?
川谷:レコーディングが始まった時点ではまだ決まってなかったので、たぶん作ってる真ん中ぐらいかな。最初から「紫」を入れようとはしてたんですけど、いろいろ案があって、ソニーと話し始めてから最終的にこれに決めた感じですね。アルバムを作る前に、漠然と色は決めておこうかなと思って、蒼でも朱でもない色、紫が漠然と浮かんだから、それはイメージとしてずっとあって、曲は紫のイメージで作ってました。
ー去年が15周年で、全国ツアー「藍のすべて」があり、武道館のタイトルも「雨の藍」と「夜の藍」だったから、「藍から紫」みたいなイメージがあった?
川谷:というよりも、蒼と朱を混ぜたら紫だなって。僕らは昔から蒼っぽいイメージですけど、朱の曲というか、激しい曲もあって、よくわからないバンドだったと思うんです。でも今ならもっといい感じに混ぜれるなと思って、それで紫になったというか。昔は両極端な曲が多くて、混ぜてる曲もあったんですけど、それがうまく伝わってなくて、僕らがあんまり売れてない理由もそこにあると思う。でもそれが良さでもあるので、それを今一度やったのがこのアルバム、みたいな感じですかね。
後鳥:「朱と蒼」でライブをしたこともあるし(2020年1月30日・31日の中野サンプラザ、初日が「朱に染まった激しさと愛おしさ」をコンセプトとした「朱の音」、2日目が「蒼き静けさと美しさ」をコンセプトとした「蒼の音」)、ベストアルバム(2023年リリースの『蒼の音』『朱の音』)も出てますし、やっぱりイメージとしては「朱と蒼が混ざっての紫」でしたね。
ー武道館のアンコールで初披露された「カグラ」が2月にリリースされました。「カグラ」を作ってる頃には、さっき話してくれた2000年代のバンドのイメージがあった?
川谷:MOON CHILDって日本のバンドがいたじゃないですか。海外の方じゃなくて。
ー「ESCAPE」の方ね。
川谷:そう、「カグラ」は最初「ESCAPE」みたいな曲を作りたいって言って作り始めて、仮タイトルも「ESCAPE」だったんですよ。結果的には、全然違うものになってるんですけど。
ー「ESCAPE」は2000年代でもなくて、1990年代の曲だよね(1997年リリース)。
川谷:GRAPEVINEもくるりも1990年代後半から活動しているじゃないですか。なので、1990年代後半から2000年代が頭の中にありました。
ー4月にthe cabsとの対バンがあったり、最近はkurayamisakaの人気が出たり、1990年代後半から2000年代のオルタナを影響源とするバンドが盛り上がっている中で、インディゴもオルタナの要素を、「朱」の要素を間違いなく持ってるんだけど、でもやっぱりそれだけじゃない、「蒼」的なポップスの要素も持ってるんだっていう、そこはやっぱり重要な気がしますね。
川谷:そうかもしれないですね。
ー怪しさという意味では、確かに「カグラ」は「ESCAPE」に通じる部分もありますが、それぞれどうアプローチしましたか?
長田:正直そこまで「ESCAPE」は意識してなかったんですけど、でもやっぱりちょっと怪しさは出さなきゃいけないかなっていうのがあるから、9thっぽいコード、不協和音になっちゃうコードを結構使ってみたり、そういうのは意識してやってますね。このバンドにおいて、曲の雰囲気を一番作るのは自分なんじゃないかと思ってるので、そこはある程度意識して作ってます。
後鳥:「カグラ」はまさに田村さんに会った直後ぐらいに作った曲で。だからイントロみたいなところで長田くんもメロを弾いてるけど、ベースでもメロっぽいのを弾いてみたり。しかも田村さんにもらった5弦でやったので……田村さんに捧げる曲です(笑)。
佐藤:さっき最初にリファレンスを読み合ってるって話をしましたけど、「カグラ」に関しては、僕は読み間違えたかもしれないです(笑)。「ESCAPE」ももちろんあったんですけど、僕は和声とかBPMを考えたときに、アークティック・モンキーズの1stとか2ndをイメージしていて、「ESCAPE」にしてはドラムにガッツがありすぎるなって。まあでもそれが良さになってるとは思うんですけど。
ーですね。まんま「ESCAPE」になっちゃってもしょうがないし。それこそ2000年代後半にはアークティック・モンキーズとか、いわゆるロックンロール・リバイバルに影響を受けた日本のバンドもいっぱいいましたよね。
川谷:渋谷のライブハウスはほとんどそれだった時期がある。その中からThe Mirrazが出てきて、みたいな。
ー懐かしいですね。Veni Vidi Viciousとかね。
川谷:そこからCzecho No Republicになりましたよね。
ー先行で配信された「ワールプール」もアルバムを象徴する一曲だと思うんですけど、この曲のサビのリズムから「紫の夜を越えて」を連想した部分もあったりして。
川谷:「ワールプール」は最後の方に作った曲で、歌い出しがサビじゃない曲を作りたかったんですけど、UKドリルっぽいリズムがあったりして、仮タイトルが「ドリル」だったんです。ドリルとは全く関係なさそうな曲ではあるんですけど、実は入れてて。
ー確かに、Bメロとアウトロはその感じですね。
佐藤:リーダーから「ドリルとかいいんじゃないか」みたいな提案があって、僕も好きなのでやってみようって感じで。結局ドリルの流行ったパターンじゃないんですけど、そのノリは踏襲していて、ライブでやると僕の動き的にもそこがめっちゃフックになってていいなって。あとはサビの頭打ちですよね。J-ROCK伝家の宝刀というか、(RADWIMPSの)「有心論」もそうですし、僕はあれが超好きで、「ついにやれるんだ」ぐらいの感じで。
ーインディゴの過去曲ではやってない?
佐藤:このBPMの頭打ちはないかな。
川谷:ちょっと避けてきたというか。
佐藤:あまりにも伝家の宝刀すぎる。「名前は片想い」の頭打ちは60年代とか70年代のポップスのイメージだったんですけど、今回のこのBPMでっていうのは、これまで避けてたのをついにやってもいいんじゃないかなっていう感じがありました。
後鳥:サビはまさに王道だったので、そこはシンプルに土台を支える感じだけど、Bメロはちょっと不穏な感じでやってみたり、ドラムパターンが変わるにつれて、そこに寄り添って、ベースでもいろんなことができた感じがします。
ーUKドリルのリファレンスはどんな名前が挙がりますか?
佐藤:ポップ・スモークの「AP」とか、日本だとralphさんですかね。声が低いラッパーのドリルって、帯域的に声が下にあるから、ハイハットがすごい踊ってるように聴こえて、フェティシズムというか、生理的快楽を感じるんです。こんなにリズムのうわものが踊るようなことある?みたいな。カトパコ(CA7RIEL & Paco Amoroso)とKing Gnuのお二人の映像もまさにそうだったと思うんですけど。
佐藤:ドリル自体はもともとあったし、今は定番化したビートで、セントラル・シーもめっちゃ好きで。ただそれがポップスの方でも使える時期になってきたのかなと思ってて、そういうときはみんな横並びになるんでしょうね、打ち合わせせずに、ムーブメントが起こってる感じがして、自分的にはめっちゃいいなと思います。ファッション業界みたいに「この色を流行らせましょう」と言ってるわけじゃなくて、でも同時代性が出てくるって、やっぱりすごく楽しいじゃないですか。
ー長田くんのギターのアプローチはどうですか?
長田:それこそスピッツの意識はあって、例えば、サビの4小節目とか、たぶん聴いてもらえるとわかるんですけど、スピッツがよくやるようなアプローチをしてみたり。大サビのアルペジオも、こういうストレートな感じはあんまりやってないなと思ったから、そういうのも意識して取り入れました。
今の自分をいかに肯定していくか
ーアルバム全体の歌詞でいうと、一時期までのインディゴは女性目線の歌詞が多くて、恋愛のことをメインで歌ってる時期があり、そこから徐々にグラデーションで変わってきた中で、今回は一人称で、自分を見つめている曲が多い印象がありました。
川谷:もうこの年齢になってきたので、自分の人生が長くなっていくほど書くことが増えていくというか、今まで書いてなかったことも書いたのはあります。僕らはテーマを与えられないバンドなので、自分たちでどうにかひねり出すしかないから、そうなると結局自分のことになってくる感じですかね。
ー「私の癖を許して」の歌詞は触れずにはいられないというか、それこそ「空の飛び方」も入ってるし、やっぱり〈どんな運命だとして ヒッキーの歌詞だって きっとあなたに味方するはずよ 私以外私じゃない エノンの歌詞はさ たぶん私に味方するはず〉はニヤリとさせられました。
川谷:書いてたらこうなったっていう感じだったんですよね。このメロディで歌ってたら「ヒッキー」が出てきちゃって、どうしようってなって、その対で自分の歌詞にした感じなので。
ー〈どんな運命だとして〉は「光」の歌詞をイメージしてるんですか?
川谷:いや、特にどの歌詞っていうのはないんですけど、宇多田ヒカルさんの歌詞はシンプルなのに深いというか、いろんな取り方ができるけど、シンプルでダサくないじゃないですか。リズムが変だったりもするけど、言葉がすごく入ってきて、そういう歌詞にずっと憧れがあるんです。スピッツとかサカナクションの歌詞もめっちゃ短いんですよ。僕は1曲の歌詞がすごく長い方なので、なかなかそういうのは書けないんですけど、でも自分のことも肯定したいっていう意味で、この歌詞になりました。
ー「今の自分をいかに肯定していくか」は一つのテーマになっていると感じました。「夏目」の〈僕は普通ですから〉とか、「呪いはいつまで」の〈呪いをかけたのは自分で 他の誰のせいでもない〉とか、作り手としての葛藤と、それをいかにして乗り越えていくのかという想いが、歌詞の節々から伝わってくるように感じて。
川谷:これだけ長く音楽をやってると、否が応にもそれが生活におさまらないものになるというか、自分の度を超えるものがあるけど、でもずっと作り続けないといけない。そういう意味での葛藤は常に考えてることだったので、「夏目」もそういうところがあるし、「呪いはいつまで」はまさにそういう曲にしようと思って作ってるし、そんな曲が増えたなと自分でも思います。恋愛の歌詞だけのイメージを持って欲しくないのもあるにはあるけど、コアにあるのは自分に対しての言葉だった気がします。

川谷絵音(Photo by Hirohisa Nakano)
楽曲に込めたこだわりとギミック
ーまだここまで話に出てきていない曲について、プレイヤー目線での解説をお願いします。
佐藤:さっき朱と蒼の話がありましたけど、例えば、今年the cabsさんやART-SCHOOLさんがライブに呼んでくれたときに、僕らは朱の曲もたくさんあって、そこのお客さんもびっくりさせられるのがいいなと思うので、「知らない海」みたいなオルタナティブな曲は気合いが入ります。それこそガレージロックリバイバルのときは、ホワイト・ストライプスみたいにコンプがバキッとかかったバンドもいれば、奥行きがあって、スカッとしてるバンドもいたじゃないですか。僕はTwo Gallantsがめちゃくちゃ好きなんですけど、あのバンドはカントリーがリファレンスにあるから、常にスカッとしてて、あれがすごく好きで。オルタナティブな曲なんだけど、ドラムやリズムギターがガッと前にあるんじゃなくて、そこにいくばくかの寂しさがあり、それが焦燥感につながる、みたいになればいいかなと思って。「知らない海」のドラムサウンドのリファレンスはthe Graveltones「Forget About The Trouble」で、フレーズ的には古き良きボンゾ(ジョン・ボーナム)っぽい感じを頑張ったんですが、いわゆる「オルタナ曲」っていう中でも、「こういうのもやれるな」みたいな感じがありましたね。

佐藤栄太郎(Photo by Hirohisa Nakano)
ー長田くんはどうですか?
長田:「できやしない」のイントロとかメロはくるりの「ハイウェイ」のつもりで弾いてて、サビは「ばらの花」の印象的なピアノをギターでどうにかできねえかな、みたいな感じで作ったフレーズですね。このイメージは割とみんな思ってそうなので、別にそんなに会話してないですけど、共通認識ができてたので、まとまりのある感じになって嬉しいですね。
ー絵音くんもくるりのイメージがあった?
川谷:「ハイウェイ」のイメージはありました。くるりっぽい、淡々とした曲をやろうっていうので、最初のリフを部屋で作ってて、全部これでいいやと思って、コードも変えずに、こういうずっと淡々とやる曲は今までなかったなと。最近はコードを細かく変えてたけど、今回は複雑なことをやめようと思って、「夏目」とかもサビのコード3つしかないし、でもそういう感じが今は逆に新鮮なのではって。

長田カーティス(Photo by Hirohisa Nakano)
ーコードの数が増えたのも2010年代以降の特徴で、それは絵音くんの色でもあり、ボカロ以降のシーンとも大きく関連するわけですけど、そこをシンプルにしたのも1990年代〜2000年代回帰の意味では大きいですよね。後鳥さんはどうでしょうか?
後鳥:今回結構セッションっぽい要素が多いなと思うんですけど。
ー「ジグザグタカタカニー」とか。
後鳥:「恋の底」のアウトロもそうだし。「ジグザグタカタカニー」のベースは基本同じフレーズなんですけど、微妙に長さが違ったりして、ちょっと大変だったんですけど、そういうのもちょっとしたギミックになってるかなって。
ー「ジグザグタカタカニー」はベース曲だなと思います。
後鳥:ハーマン・ジョーンズの「Gimme Your Love」がリファレンスの曲としてあって、それも結構シンプルなんですけど、ヨレみたいなのが、癖みたいなのがあって、それを川谷くんと話しながら、数学的な譜割りで変えてるので、そういうところも気付く人がいたらいいな、ぐらいです。

後鳥亮介(Photo by Hirohisa Nakano)
ー「恋の底」の前にインタールード風の「Flâner la nuit」を入れたのはなぜですか?
川谷:何かないと「恋の底」がちょっと浮いちゃうかなって。「知らない海」とか「ジグザグタカタカニー」からすぐには繋がらないから、その前にインタールードをつけたかったんです。あとは俺が海外に行って、いろんな波の音を録音してて、それをこのアルバムで使いたいなと思ってたから、インタールードで使おうかなって。
ータイトルは「夜の散歩」という意味で、まさに夜に散歩をして、波の音を録ってるわけですね。そこから「恋の底」への流れもいいし、アウトロの長田くんのギターもすごくいいですね。
長田:別のインタビューでも「アウトロがいい」って言われて、「なんだっけ?」と思ってて、聴き直したら、ギターソロの後がめっちゃ良くて、「これのこと言ってたんだ」と思って(笑)。
ーギターソロも含めてじゃないですか(笑)。
川谷:あれは髙山さん(エンジニアの髙山徹)がやったアレンジだもんね。ドラムを消して、シンセだけにして。
ーあの余韻がある終わり方もいいですよね。15周年を経て、レーベルも変わって、朱と蒼を混ぜながら、もともとのルーツにある1990年代後半〜2000年代の雰囲気をもう一度鳴らす、非常にインディゴらしいアルバムになったと思うので、これが今の時代にどう響くのか、とても楽しみです。最後に、ツアーに向けて一言もらえますか?
川谷:リリースがちょっと延期になっちゃって、ツアーのスタート時点ではまだアルバムが出てないので、セットリストを変えながらやろうと思ってるんですけど、「ジグザグタカタカニー」とかがどんな感じで受け入れられるのかはちょっとわからないですね。これは完全にライブ曲ではあると思うんですよ。お客さんが歌ってくれたらいいなって。インディゴでそういう曲はあんまりなかったから。
ーちなみに「ジグザグタカタカニー」は意味があるんですか?
川谷:スペイン語圏のミームで、理解できない言葉に対して「タカタカ」が使われてて。「ニー」も若者が使うスラングで、クールみたいな意味だから、それを合わせて「わけわかんないぐらいクール」っていう。歌メロを作ってるときに、よくわからず「ジグザグタカタカニー」と歌ってたんですけど、調べたら意味がこじつけられたから、「これでいいじゃん」ってなったんですよね。
「通り恋」(indigo la End 15th Anniversary Special Series # Final 武道館公演「夜の藍」)
indigo la End
『満ちた紫』
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④通常盤(CD)
¥3,850(税込)

indigo la End ONEMAN TOUR 2026 『紫にて』
2026年6月28日(日)静岡県 静岡市清水文化会館(マリナート)大ホール
2026年7月5日(日)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
2026年7月11日(土)広島県 上野学園ホール
2026年7月17日(金)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2026年9月25日(金)千葉県 市川市文化会館 大ホール
2026年9月27日(日)京都府 ロームシアター京都 メインホール
2026年10月3日(土)新潟県 新潟テルサ
2026年10月17日(土)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
2026年10月23日(金)岡山県 倉敷市芸文館
2026年10月24日(土)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
2026年11月1日(日)群馬県 高崎芸術劇場 大劇場
2026年11月3日(火・祝)大阪府 フェスティバルホール
2026年11月29日(日)香川県 サンポートホール高松 大ホール
2026年12月3日(木)東京都 東京国際フォーラム ホールA
2026年12月6日(日)宮城県 仙台サンプラザホール