「ものを減らす暮らし」と聞くと、どんなイメージがありますか?

部屋に何もない生活、ストイックな節約、我慢ばかりの暮らし…。そんな印象を持つ人もいるかもしれません。

私、Fujinaoは整理収納アドバイザーとして活動しながら、ミニマルライフを10年ほど続けています。でも実際にミニマルライフを経験してみて感じるのは、「ものを減らすこと」そのものが目的ではない、ということです。ものを減らした先にあったのは、掃除や片づけがラクになること、時間や気持ちに余裕ができること、そして「自分や家族が心地よく暮らせる環境」でした。

今回は、ものが少ない暮らしを10年続けて感じたリアルなメリット・デメリットについてお話しします。

ミニマルライフのメリット

まず大きなメリットは、「掃除と片づけが劇的にラクになったこと」です。

ものが少ないと、掃除の時に「ものをどかす作業」がほとんどありません。床もテーブルもカウンターもサッと一拭きで掃除が終わるので、驚くほど簡単に家事を終えられるようになりました。

わが家では、床掃除はもう何年も前からロボット掃除機がメインです。家が片づいていれば、人の手を使わなくても、ある程度きれいな状態を維持できるのです。

さらに、収納の中にも余白があるので、すべてのものの定位置が簡単に決まります。ギュウギュウに詰め込まれていない収納は出し入れもしやすく、「元の場所に戻す」という行為が苦になりません。

結果として、片づけに時間がかからなくなり、家族も無理なく片づけられるようになりました。以前の私は、「頑張る片づけ」をしていました。でも今は、「頑張らなくても続く片づけ」ができるようになったと感じています。

次に感じるのは、「お金の無駄が減ったこと」です。

ものが多かった頃は、自分が何を持っているのか把握できず、同じようなものを何度も買っていました。さらに、「セール」「激安」「限定」という言葉にも弱く、「安いから」という理由で余計なものまで購入してしまうことも。

でも、ミニマルライフで、ものを厳選して持つ習慣ができてからは、「本当に気に入ったものだけを持つ」という感覚が身につき、衝動買いはかなり減りました。例えば洋服は、ハンガーに掛かる分だけ、と決めています。食器も、収納に収まる分だけ。

新しくものを買う時には、できるだけ入れ替え制にしているので、「今持っているものを手放してでも欲しいか?」を自然と考えるようになりました。量の基準があると、無駄な買い物は減っていきます。

また、ものが減ると「視界のノイズ」が減るのも大きな変化でした。

家の中に情報量が多いと、人は無意識に疲れます。以前は、出しっぱなしのものや使っていないものが視界に入るたびに、「片づけなきゃ」「あれどうしよう」と頭の中が忙しくなっていました。でも、ものが少なくなると、頭の中まで整理される感覚があります。

視界に入る情報が減ることで、「今やるべきこと」に集中しやすくなったのです。

さらに、時間のゆとりができたのも大きなメリットでした。

掃除、片づけ、探しもの、買い物…。ものが多いと、それだけ管理にも時間がかかります。でも、持つ量が減ると、日々の家事や管理がシンプルになります。すると、その分の時間を、自分が本当にやりたいことに使えるようになるのです。

また、私はミニマルライフを始めてから、以前より日々をご機嫌に過ごせるようになりました。お気に入りだけを持つようになると、家の中で目に入るものが「好きなもの」中心になります。お気に入りのインテリア、お気に入りの食器、お気に入りのバッグ。

一つひとつは小さなことですが、気分が上がるものに囲まれて暮らすことで、毎日の満足度は大きく変わりました。

さらに、自炊が増えたり、睡眠をしっかり取れるようになったりと、健康面にも良い変化がありました。部屋が散らかっていると、それだけでストレスになります。逆に、整った空間は、人を休ませてくれるのだと感じています。

ミニマルライフのデメリット

一方で、もちろんデメリットもあります。

まず、「手放して後悔すること」がゼロではありません。勢いで処分してしまい、「やっぱり残しておけばよかった」と思った経験もあります。

ですが、未来を100%予測するのは難しいものです。だから今は、「その時の自分が考えて出した答えだった」と受け止めるようにしています。後悔をゼロにすることより、「今の自分に合った選択をすること」の方が大切だと感じています。

また、自分はスッキリ暮らしたくても、家族と歩調が合わないこともあります。自分は減らしたい。でも家族はそうではない。これは、ミニマルライフでよくある悩みだと思います。

そんな時に大切なのが、「家の中のエリアをしっかり分けること」です。家の中には、家族共有スペースと個人スペースがあります。共有エリアは整えつつ、個人エリアには必要以上に口を出さない。私はこの「ゾーニング」を意識することで、家族とのストレスをかなり減らすことができました。

そして最後に感じるのは、「減らすこと」に固執しすぎると苦しくなる、ということです。

ものを減らすこと自体が目的になってしまうと、「まだ減らせる」「もっと減らさなきゃ」と、自分を追い込んでしまいます。でも、本来の目的は「ものを減らすこと」ではありません。自分や家族が、心地よい物量で気持ちよく暮らせる空間をつくることです。だから私は今、「少ないこと」より、「自分や家族に合っていること」を大切にしています。 ミニマルライフは、我慢の暮らしではありません。自分にとって本当に大切なものを選び取り、日々をご機嫌に過ごすための「環境づくり」なのだと思っています。