法人向けSaaS比較サイト「アスピック」を運営する日本クラウド産業協会は2026年6月15日、現場作業中の熱中症対策に関するアンケート調査結果を発表した。本調査は2026年6月、全国の現場作業に関わる20歳以上60歳未満の男女240人を対象に、インターネットリサーチによって実施されたもの。

夏場の気温上昇と義務化の背景

夏場の気温上昇や猛暑日の増加を背景に、2025年6月より、一定の暑熱環境下で行われる作業について事業者に熱中症対策が一部義務付けられた。企業には注意喚起や個人の自己管理にとどまらず、早期に異変を見つけ、報告し、迅速に対応できる仕組みづくりが求められている。本調査は「現場でどの程度熱中症の危険を感じているのか」「企業側の熱中症対策や体調把握の仕組みがどこまで整っているのか」を可視化することを目的としている。

  • 現場作業中の熱中症対策に関するアンケート調査サマリー

    現場作業中の熱中症対策に関するアンケート調査サマリー

現場作業者の半数以上が熱中症の危険を経験

現場作業中に「熱中症の危険」を感じたことがあるか尋ねたところ、「何度もある」は15.4%、「数回ある」が37.9%、「あまりない」は25.4%、「まったくない」も21.3%となった。

どのような場面で熱中症の危険を感じたかという複数回答の設問では、「屋外で長時間作業しているとき」が61.9%で最多となった。次いで「水分補給が十分にできなかったとき」は42.9%、「空調が効かない屋内で作業しているとき」が36.5%、「休憩時間が十分に取れなかったとき」は31.7%、「重い機材や荷物を運搬しているとき」が21.7%、「作業服・防護服が暑かったとき」は21.2%、「人手不足で休憩を取りづらかったとき」が14.8%、「その他」も1.1%と続いている。

勤務先の熱中症対策を十分と感じる割合はわずか13.3%

勤務先で熱中症対策が十分に行われていると感じるかという問いには、「十分に行われている」が13.3%にとどまった。「ある程度行われている」は50.4%、「あまり行われていない」が22.1%、「ほとんど行われていない」も14.2%となっている。

現場での作業員の体調や熱中症リスクの把握方法については、「管理者による声かけ」が38.3%、「作業員本人からの申告」が37.1%、「特に仕組みはない」が36.7%、「WBGT(暑さ指数)計による管理」は14.2%、「2人1組などのバディ制」が12.9%、「ウェアラブルデバイス(IoTリストバンドなど)」は9.6%であった。

会社が熱中症対策を行う上での課題

会社が熱中症対策を行う上で課題になっていると思うものを尋ねたところ、「ファン付き作業着や機材の購入費用が高い」が34.2%、「人手不足・人員確保が難しい」は30.4%、「休憩時間など就業規則を改善する必要がある」が29.2%、「熱中症対策に関する教育・周知が足りない」は25.4%、「熱中症対策にかかる費用が個人負担(会社が負担してくれない)」が20.8%、「上長や上司の安全意識が低い」は15.0%、「その他」も6.3%となった。

また、熱中症の危険を感じたことが「何度もある」と回答した人では、課題に「熱中症対策に関する教育・周知が足りない」を挙げた割合が48.6%にのぼり、全体の25.4%を大きく上回った。実際に危険を繰り返し感じている層ほど、熱中症対策の内容が現場に十分伝わっていないことを危惧していると伺える。

  • 熱中症対策に関する教育・周知不足を課題に挙げた割合

    熱中症対策に関する教育・周知不足を課題に挙げた割合

現場任せにしない組織的な仕組みづくりが重要

調査結果からは、2025年に熱中症対策が義務化されたものの、現場レベルでは明確な基準や運用ルールが未だ浸透しておらず、できる範囲で対応するという努力目標的な位置づけになっているのではないかと考えられている。熱中症対策をより実効性のあるものにするには、現場任せ・個人任せにせず、ウェアラブルデバイスやWBGT(暑さ指数)計、アラート通知などを組み合わせた組織的な仕組みづくりが重要になりそうだ。

アスピックでは、従業員の安全管理や現場の状況把握、勤怠・労務管理、安否確認などに役立つ各種クラウドサービスを紹介している。