中国地方の海運組合などで構成される中国地区内航船員対策協議会(中国船対協)は、日本内航海運組合総連合会(内航総連)が発刊する「OENノート」(応援ノート)を、鳥取県・境港市内にある小学校6校の児童に寄附。6月1日、同協議会の会長である岡本信也氏が境港市役所を訪問し、「OENノート」寄贈式が執り行われた。

境港とその近隣はは、水産・海洋系高校が集まるエリアだ。船員不足を背景に、職業認知度の向上を目的とする取り組みなどでの両者の連携が確認された。

境港市役所で「OENノート」寄贈式を実施

国内海上貨物輸送(内航海運)の仕事内容や船について、学習ノートとして日常的に使用しながらQ&Aなどで学べる「OENノート」。内航海運を担う事業者が加入する組合の全国組織「内航総連」の広報ツールとして、2020年3月に発刊・活用されている。

中国船対協はこの「OENノート」を3年前から広島県・福山市と鳥取県・境港市へ寄附。地域の子どもや保護者が海上物流や海事産業の社会的な役割を知る学びの機会づくりを目的に、市内の小・中学校の生徒たちに配布している。

6月1日には寄贈式が行われ、境港市役所を訪問した同協議会会長の岡本信也氏が、境港市市長の伊達憲太郎氏に目録を贈呈。記念撮影後、しばし市長との懇談の時間が設けられた。

岡本氏は「残念ながら私が会長職に就いてからの8年間、子どもたちが将来なりたい人気職業のランキングで、「船員」という仕事が100位以内に入ったことは一度もありません」と、「13歳のハローワーク公式サイト」の人気職業ランキングを紹介。

「ただ、私は子どもたちに知られていないだけと前向きに考えています。『船員になったら30歳までに家が建つ』と私はよく言っているんですが、そう言うと保護者の方々の目の色が変わる(笑)。船員という職業を目指す子どもたちが増える伸び代は、十分にあると思っています」と、見解を語った。

境港では、市内に境港総合技術高等学校が拠点を構えており、隣の島根県には隠岐水産高等学校や浜田水産高等学校が立地していることなどから、毎年夏に「内航船員就職セミナー」が開催されている。中国地方で海技教育を受ける高校生と、中国地方に本社を置く内航事業者が参加する企業説明会である同セミナーだが、その実績として昨年の第3回までの3年間で21名が採用されていることも報告された。

「バスやトラックなどと違い、船員が働く職場は海の上の船なので、多くの人にとっては馴染みが薄く、イメージがしにくい仕事です。『内航船員就職セミナー』には高校生の職業選択や進路決定に大きな影響を与える保護者や進路指導の先生にも直接足を運んでもらっていますが、保護者の方々などからも積極的な質問が多い。最初は船員と聞くと漁船に乗る漁師のイメージも強いんですが、『OENノート』などをしっかり活用しながら、内航海運の仕事の魅力を少しでも子どもたちに伝えていきたいと思っています」(岡本氏)

まんが冊子130冊も小・中学校に配布

人口約3万2,000人の境港市には現在、小学校6校と中学校3校が存在し、昨年に続き今年は1,600冊の「OENノート」が、市内の小学生(1年生〜6年生)に配られることになった。また、内航総連が2024年7月に発刊した啓発用まんが冊子『地球にやさしく 産業と暮らしを支える 船の仕事ってなに?』130冊も寄付され、こちらは境港市内の小・中学校に配布されるという。

中国船対協では境港市と同様に、広島県・福山市でも3年連続で「OENノート」の寄付を実施。市内公立中学校新2年生を対象に4,000冊が寄附されており、キャリア教育の学習活動などで有効活用されているという。

こうした話を受けて境港市の伊達市長は、「職業選択のひとつのきっかけづくりとして職場体験などもある中学校2年生は、『職業観』を育む上でとても大事な時期。まんがパンフレットは中学校の各学級にも1冊ずつ配り、総合学習の時間などに触れていただきたいと思っています」とコメント。

「漁業が盛んな境港市の小・中学生にとって、船や海で働く職業は身近な存在でもある。今回の『OENノート』は小学生にお渡しさせていただくかたちですが、来年度は境港市でも中学校の生徒にも『OENノート』をお配りできると良いかもしれませんね」と、同協議会への期待を語った。

中国地方の小中高生や一般向けに「海運や船員の仕事」について学ぶ出前講座・イベントを展開している中国船対協。境港市の小・中学生を対象とした出前授業などにも意欲を見せ、両者は互いの協力関係を確認したようだ。

なお、今年で4回目を迎える「内航船員就職セミナー」は、境港市民交流センター(みなとテラス)を会場に7月11日に開催予定。30社以上の内航海運事業者が参加する見込みだという。