村上春樹「ジョニー」の名前が入った曲が多い理由は? 自身のラジオ番組『村上RADIO』で考察
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。

5月31日(日)の放送は「村上RADIO~霧の中のジョニー~」をオンエア。今回は村上さんのレコードコレクションの中から「ジョニー」という名前がタイトルについた曲を集めてお届けしました。

英米では、男性にいちばん多い名前と言われる「ジョニー」。今回の特集では、多彩で個性的な“ジョニー”くんたちが登場。ロックの象徴としてのジョニー、内気なジョニー、死者の声を聴くジョニー……さまざまな「ジョニー」にまつわる音楽と、それぞれの物語をお楽しみください。

この記事では、オープニングトークと前半1曲について語ったパートを紹介します。

「村上RADIO」

こんばんは。村上春樹です。

村上RADIO、今夜は「霧の中のジョニー」というタイトルで番組をお送りします。「霧の中のジョニー」っていったい何なんだ? と首をひねられる方もきっと多いことでしょう。その説明はあとにして、とにかくジョニーという名前がタイトルについた曲を、うちのレコード棚からざっくり集めてみました。これがまたけっこうたくさんあるんですよね。そういう「ジョニー・ソング」をおかけしながら、皆さんから番組あてに送られてきたメールを紹介したりします。お楽しみに。

<オープニング曲>

Donald Fagen「Madison Time」

なぜジョニーという名前がタイトルについた曲が世の中に多いのか? まあ、それが男性にいちばん多い名前だからでしょうね。そしてなんとなく庶民的で親しみやすいということもあると思います。そのへんの普通の男の子……みたいな感じで。

ジョニーはもちろんジョンの愛称ですが、すべてのジョンさんがジョニーと呼ばれるわけではありません。たとえばジョン・F・ケネディのことをジョニーと呼ぶ人はいませんよね。彼は親しい人々には「ジャック」と呼ばれていました。ジャックもジョンの愛称のひとつです。この辺の呼び名の使い分け・棲み分けはなかなか微妙というか、面白いです。

さて、今日はどんなジョニーくんたちが登場するんでしょうね。

◆John Leyton「Johnny Remember Me」

さて、最初は問題の「霧の中のジョニー」から行きます。英国人の歌手、ジョン・レイトンが歌います。1961年にリリースされたのですが、これは日本でもずいぶんヒットしました。

死んだガールフレンドの声が霧の中から聞こえてくる、という内容の歌です。彼女は「ジョニー、私のことを忘れないでね(Johnny remember me)」と遠くから彼に呼びかけてきます。うーん、ちょっと不気味かもね。それに対して彼はこう答えます。

「僕はそのうちにたぶん、君の代わりの女の子を見つけるだろう。しかしそれでも死ぬまで僕は君の声を、吹く風の中に聞き続けることだろうね」

この歌が流行った頃、僕はまだ12才だったので、そのへんの喪失感というか、心の機微(きび)まではよくわかりませんでしたが……。とにかく聴いてみてください。ジョン・レイトンの「Johnny Remember Me(霧の中のジョニー)」。ジョニーくんはまだ今でも彼女のことを覚えているのかな?

<収録中のつぶやき>

霧の中でこんな声が聞こえてきたらこわいよね。

<番組概要>

番組名:村上RADIO~霧の中のジョニー~

放送日時:5月31日(日)19:00~19:55

パーソナリティ:村上春樹

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/