なきごと、新体制初ツアーZepp Shinjukuで完走「私はなきごとでいるし、私は私でいる」

なきごとが2026年5月30日(土)、「ビタースイートベイビーツアー2026」のツアーファイナルをZepp Shinjukuで行い、二度にわたるアンコールに応える熱演でツアーを締めくくった。

【画像】なきごと、Zepp Shinjuku公演(全16枚)

2026年より、水上えみり(Vo,Gt)によるソロ体制となったロックバンド・なきごと。新体制として初となる全国ツアーは、3月14日(土)のF.A.D YOKOHAMAを皮切りに全国13カ所を巡り、この日までの12会場はゲストバンドを迎えた対バン形式として実施。ファイナルとなるZepp Shinjukuではワンマンライブとして行われるとあって、大きな期待感が熱気となって場内を覆っていた。

開演時間を迎え、白シャツ姿のサポートメンバーたち(竹内サティフォ(Gt / ONIGAWARA)、山崎英明(Ba / siraph)、奥村大爆発(Dr)、高田真路(Key / chefs))がステージに上がり会場が暗転。ピアノの演奏が静かに始まると、眩い光が客席を照らして、ギターのカッティング、ドラムのキック、ベースラインが加わり、手拍子が沸き起こると、水上がステージに登場。お立ち台に上がりタオルを掲げると大歓声で迎えられた。水上がテレキャスを抱えるとバンドの演奏がブレイクして、スポットライトの下、ギターを刻みながら歌い出したのは、「あいかわらず」。1コーラスを歌うと、「なきごと、始めます」と宣言。暗がりで独り言のように歌う「癖」へと続くと、サビで明るくなったステージで音に包まれて没頭する水上とバンドの4人の姿を、観客はジッと静かに見つめて聴き入っている。「ツアーファイナル、どうぞよろしく!」とのひと言を合図に、「忘却炉」へ。水上がお立ち台でかき鳴らす絶妙に歪んだ硬質なギターサウンドが、まっすぐ客席の後方まで伸びていく。サーチライトが飛び交い、客席からはコブシが振り上げられて、一気に興奮が高まった。「ユーモラル討論会」では、竹内が弾くトリッキーなギターリフがサイケデリックにステージを彩る。オープニングから、曲ごとの照明の演出が激しい演奏と歌に呼応して、興奮を煽っていった。

「こんばんは! なきごとです。なんと2026年初めてのワンマンライブです。ツアーが横浜から始まって13本目、Zepp Shinjukuも2年ぶりのワンマンということで、帰ってきました! ただいまZepp Shinjuku。ツアーを今日で終わらせたくないぐらい、めちゃくちゃ仕上がってます! 楽しむ準備できてますか!? どこよりも最高の日を、ここZepp Shinjukuで作りましょう!」と、テンション高く呼びかける水上。歌を観客と一緒に練習してから始まった「甘々吟味」では、クラップで会場が一体となり、キャッチーな旋律を隅々まで響かせて楽しませた。ステージ前に身を乗り出して歌った「0.2」から、メンバー紹介のソロ回しから観客と一緒にジャンプして盛り上げて「Summer麺」へ。途中、三拍子に変化する等、直線的なギターロックなようでいて、癖のある展開を聴かせるアレンジが耳を惹く。

「このツアーを回り始めて2カ月半、本当にいろいろなことがあったんですけど、ただただ思うことは一つだけ。”ライブ好きだな”です。普段生活をしているとなかなか吐き出せないことだったり、ふと飲み込んでしまうことを、なきごとのライブを見ている間、聴いている間は、あなたがこの場所にいていいんだって自信を持っていてほしいなと思います。次の曲をあなたに」。歌われた曲は、「短夜」。つぶやくように丁寧に言葉を届ける水上の声を、バンドが抑揚のある演奏で寄り添い、深く心に運んでくる。曲が終わるとパーッと場内が明るくなり、「たぶん、愛」へ。ハンドマイクで身振り手振りを交えて歌い上げる。

「なきごとには「泣き言を言うな」っていう曲はなくて、ずっとそばにいるよっていう曲が多いけど、その中でも誰かを大切に思う気持ち、そんな曲もたくさんあります。最近リリースした最新曲は、そういった気持ちを込めて書きました。ずっとあなたが私のそばにいてほしいと思ってるし、音楽を受け取ってほしいと思ってるから。だからこそ、その気持ちを込めて次の曲をあなたに歌います」

そんな紹介から披露された「204号室」は、繊細なMCとは裏腹に、豪快無比な音の塊と共に放たれた。サウンドの豪胆さと親しみやすいメロディの組み合わせは、確かな歌唱力があってこそ。間奏では竹内が幻想的なソロで魅了した。

ファンキーな1曲「マリッジブルー」では竹内、山崎がステージを行き来して、水上はステージ前に座り込んで歌う自由なステージングを見せる。山崎のベースが牽引するキレの良いバンドアンサンブルで疾走する「知らない惑星」が飛び出すと、クラップで応えステージに向けてコブシを突き上げるオーディエンス。水上は、「楽しんでくれてますか? めっちゃ伝わってきてる! 超楽しいです、ありがとう!」と笑顔で呼び掛けると、「メトロポリタン」へ。ギターリフから導かれるダンスロックチューンにミラーボールが回り、会場大沸騰となった。

真っ赤な照明の中で始まった「ハレモノ」は、ノイジーな演奏でアンダーグラウンド的なムードを醸し出しながら、〈どうしようもない事ばっか唱えてる 静寂の喧騒の中〉と、心の内面を描き出す歌声が、凄まじくラウドな演奏と共に迫って来る。その迫力はミディアムテンポのシューゲイザー曲「ドリー」へと続き、混沌とした音の渦の中でシャウトする水上の心象風景、なきごとの世界がむき出しとなった。

ライブは終盤へ。水上が、ひと際長く真摯に言葉を紡いだ。「ここ半年ぐらいは、自分が死にたかったあの頃を受け入れられてるなと思っていて。あのとき、死なないことを選んでくれてよかったって言われてハッとしました。生きてると、生きてることと同じぐらい死ぬことっていうことが隣り合わせにあって、死ぬことと同じぐらい生きることも怖くて。家から出られなくて、ベッドから起き上がることができなくて。ガヤガヤした街の喧騒が鉛のように重たく体にのしかかってきて、人の笑い声が針みたいに自分を貫くような感覚になったときがあったけど、でもそのときに私は選択をしたんだなって気づきました。この先もずっと音楽があれば大丈夫。なきごとがあれば大丈夫。あなたがいてくれれば大丈夫って心から信じています。このツアー中、新しい曲ができました。たくさんの愛を受け取って、今だから歌いたい曲。今だからあなたに届けたい曲。聴いてくれますか?」

そんな言葉を受けて披露された新曲「ひといき」は、ピアノの伴奏に合わせて、ブレスも聴こえてくる生々しい歌声が空気を震わせる。〈ひといきに死にたいって言うには 僕は生きすぎてしまった〉と、赤裸々な歌詞が痛切に耳にひっかかる。

やがてバンド全員が加わり、「生活」でギターを置いた水上は、ハンドマイクで観客1人1人に歌う、というよりは語り掛けて、「またライブハウスでお会いしましょう」と、ステージを降りた。

アンコールに応えた水上は、「なきごとは終わらないし、これからも私のこの覚悟がちゃんと続く、そんな活動をしていきたいと思ってるから。だから安心してください。私はなきごとでいるし、私は私でいるし。だからあなたもあなたでいてほしい。そして、これからもたくさん楽しいこと、心の底から素直に叫びたいこと、一緒にあなたとなきごとを作っていきたいです!」と力強い宣言で喝采を受けると、爽快に突っ走る新曲のロックチューン「ミッドナイトシンドローム」から、「あなたの声も聴かせてほしい! 一緒に歌ってもらえますか!?」と呼び掛けて「憧れとレモンサワー」へ。ギターをかき鳴らすと会場中が大合唱となり、水上はイヤモニを外してその声を聴きながら、生声で歌いさらなる大合唱を呼び込んで、観客全員が主役になってエンディングを迎えた。

メンバーが去り無人のステージに、アンコールの声が鳴りやまず。その声に応えた水上は、「ちょっとちょっと、欲しがりなんじゃないの~!?」とフロアを見渡しながら再びステージへ。「この曲、いつも一緒に歌う曲じゃないんだけど、一緒に歌ってください!」と、「ハイボール」でWアンコールへ。再び合唱を求めると、大勢の声がステージに向けられて、その声を受けてステージから歌声を返す水上。音楽が循環して全員が1つになる空間を創り上げて、終演となった。饒舌に言葉と歌で思いを伝えたライブの途中、今後の活動予定として、メジャーデビュー1周年となる7月9日より、「3カ月連続コンセプトワンマンライブ」が開催されることも発表され、大きな期待への余韻を残して「ビタースイートベイビーツアー2026」は終了となった。

Photo by 佐藤広理

Twitter @hilf_ntlo

Instagram @heterover.hiro

なきごと「ビタースイートベイビーツア-2026」

2026年5月30日(土) Zepp Shinjuku

〈セットリスト〉

1. あいかわらず (1コーラスのみ)

2. 癖

3. 忘却炉

4. ユーモラル討論会

5. 甘々吟味

6. 0.2

7.Summer麺

8. グッナイダーリン・イマジナリーベイブ

9. セラミックナイト

10. 短夜

11. たぶん、愛

12. 204号室

13. またたび

14. マリッジブルー

15. 知らない惑星

16. メトロポリタン

17. ハレモノ

18. ドリー

19. ひといき

20. 生活

EN1. ミッドナイトシンドローム

EN2. 憧れとレモンサワー

<ライブ情報>

なきごと「3ヶ月連続 コンセプトワンマンライブ」

7月9日(木)”SIKI ORIORI”

8月7日(金)”Summer祭”

9月4日(金)”ニンゲンs 感謝祭”

3公演共通詳細:

会場:shibuya eggman

開場:18:30 / 開演 19:00

チケット:前売り¥4,000(+1Drink)

※8月7日(金)”Summer祭”のみ学割有¥2,000

なきごと自主企画チケット先行受付はこちらから:https://eplus.jp/nakigoto/