クリープハイプ、3年2カ月ぶり新作EPを考察、ファンに向けて紡がれた私自身の歌

4人組ロックバンド・クリープハイプが、新作EP『仮のまま定着したような愛情で』を5月27日にリリースした。2025年にホール&ライブハウス15公演、アリーナ4会場8公演というキャリア史上最大規模の全国ツアーを実施した彼ら。EPの発売は前作『だからそれは真実』から3年2カ月ぶり、新譜の発売はアルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』から1年半ぶりとなる。そんな今作には、改めてバンドらしいスタイルを追求した、全て新曲となる全5曲を収録。2026年5月より開催されているライブハウスツアー2026「あのころ一番熱いのは君の口の中だった」とともに、改めてバンドとしての姿勢を提示した本作品について考察する。

全5曲、どの曲も、サウンドのギミックや言葉のフックを過度に多用することなく、まっさらに、まっすぐに鳴っている。そうした音楽性は、改めて生のバンドサウンドの可能性を追求した2024年のアルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』の延長線上にあるものと捉えることもできるが、今回の5曲はどれも、あの作品以上に、そしてかつてないほどに、近い距離感で親密に響いているように感じられる。

さらに言えば、「これは、私の歌だ」と心から思わせてくれる力がある。きっと、これまでクリープハイプの作品を愛聴してきたファンの方も同じ実感を得るはず。クリープハイプの4人の歌ではなく、尾崎世界観の歌でもなく、他でもない私自身の歌。そうした実感は、決して気のせいではないはずで、今作の楽曲たち、その中でも特に「私の歌」と「生きてみます」は、明確に、クリープハイプのファンに向けて紡がれている。

振り返ると、2024年11月、Kアリーナ横浜公演で、尾崎は、みんなではなくて、誰かでもなくて、何度も「お前のため」に言ってる、「お前のため」にやってる、と語りかけていた。広大な会場で、まるでたった一人に向けて語りかけているようだった。その時、そのライブの同時期にリリースされたアルバムのタイトル『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』に込められた真意に触れることができたような気がした。

2025年7月の日本武道館公演においても、「お前のため」に歌うという意志が揺るぎなく貫かれていた。多くの人に向けて、ではなく、届けたい人、届くべき人のもとへ。近年、彼らのフォーカスはどんどんシャープになっているように思えるし、一人ひとりの「お前」たるファンへの理解と信頼がより深まっているのだろうと想像する。

今作のリード曲「私の歌」で、尾崎は、ファンへ語りかけるように、または、ファンの気持ちを代弁するように、〈それでも好きならそれだけでいいよ これを好きな私が私は好き 死にたい夜をぶっ殺す声が 恥ずかしいくらいに刺さる今を生きてる〉と歌う。まるでバンドとファンの往復書簡のような同曲を聴いて、〈こんなところに居たのかやっと見つけたよ〉と歌う「天の声」を思い出したファンは多いはず。そして、「生きてみます」では、尾崎は、〈泣きたくなるほど嬉しい日々に一つになれないならせめて二つだけでいよう 夜にしがみついて朝で溶かして溶かして溶かして〉と、これまでリリースしてきたいくつかのアルバムのタイトルを並べつつ、〈そんな時がいつか来たらいいと思って生きてみます でもそんな時はいつも来ないだけど今を生きて生きてみます〉と歌う。

ここで挙げた2曲に通底する「今を生きる」という言葉には、一人ひとりのクリープハイプのファンを、そして、他ならぬクリープハイプの4人自身を、優しく奮い立たせる力が宿っていると思う。かつてないほどストレートに、何より誠実に、ファンへの想いを込めたこの2曲は、間違いなく今後のライブにおける重要なハイライトを担っていくと思う。他にも、全編を通して特筆すべき歌詞はいくつもあるが、特に「口の中」における〈君の口の中はさよならの味がした〉は、尾崎独自の筆致が遺憾無く冴え渡った屈指のパンチラインだと思う。

<リリース情報>

クリープハイプ

EP『仮のまま定着したような愛情で』

2026年5月27日(水)発売

初回限定盤:UMCK-7315 / 通常盤:UMCK-1828

初回限定盤:4950円(税込)4500円(税抜) / 通常盤:2200円(税込) 2000円(税抜)

初回限定盤:CD(8cm CD)+DVD / 初回限定盤特別仕様(じゃばら式紙ジャケット)

通常盤:CD+DVD / ジュエルケース+歌詞ブックレット

=収録内容=

CD 全5曲(初回限定盤・通常盤共通)

1. タヌキネイリ

2. 私の歌

3. 痛々しいラヴ

4. 口の中

5. 生きてみます

DVD

初回限定盤

・くっそ一人旅 25 〜オランダ、ベルギー編〜

・くっそ一人旅 26 〜フィンランド編〜

・はじめての海外フェス 25

通常盤

・「太客倶楽部」会員限定ライブ『ひめはじめ8』メイキング&ライブダイジェスト映像 2026年1月15日(木) 下北沢DaisyBarにて

・レコーディングメイキング映像 2026年1月19日(月) TUPPENCE STUDIOにて

<ライブ情報>

ライブハウスツアー2026 あのころ一番熱いのは君の口の中だった

5月11日(月)KT Zepp Yokohama

5月12日(火)KT Zepp Yokohama

5月18日(月)Zepp Fukuoka

5月19日(火)Zepp Fukuoka

5月22日(金)Zepp Osaka Bayside

5月23日(土)Zepp Osaka Bayside

5月29日(金)Zepp Sapporo

5月31日(日)仙台GIGS

6月3日(水)Zepp Nagoya

6月4日(木)Zepp Nagoya

6月6日(土)Blue Live Hiroshima

6月10日(水)Zepp Haneda

6月11日(木)Zepp Haneda

公式サイト:http://www.creephyp.com/