
先日、読者を対象に実施した“取り上げてほしい記事のテーマ”に関するアンケートで、「大きな木がある場所」という項目がありました。
「大きな木がある場所」は歴史を感じる観光スポットとしても注目されていて、神聖なパワースポットとしても知られています。神奈川県にも多くの「天然記念物」に指定された木がありますよね。
私の地元である茅ヶ崎市にも、県内だけでなく日本全国に誇る「大きな銀杏」があります。それが鶴嶺八幡宮にある「大銀杏」です。
今回は、アンケートのテーマにも合致するということで、この「大銀杏と鶴嶺八幡宮」を紹介します。
平安時代より存在する八幡信仰の本地
鶴嶺八幡宮は八幡神を祀る八幡信仰の本地であり、相模国茅ヶ崎の総社として平安時代よりこの地にあります。源氏が関東進出の際に崇敬した最初期の氏神社とされており、源氏の歴史と密接なつながりがあります。
1030年に源頼義が下総の乱を鎮定するため戦勝祈願をしました。さらに、1051年には源義家が九年の役(安倍一族の反乱)の戦勝祈願をするなど、八幡神は武運の神として源氏を中心に武家から篤い信仰を集めました。
勝負事はもちろん、家庭円満や開運厄除、子孫繁栄等の御利益があるとして古より信仰され、また境内にある「湘南淡嶋神社」は癌封じや病気平癒の御利益が得られるとされています。
国道1号線沿いにある大きな鳥居から約800mの「八丁松並木」(茅ヶ崎市指定史跡・天然記念物)があり、また無形民俗文化財「茅ヶ崎海岸浜降祭」にも参加しています。
県内最大の大銀杏
この鶴嶺八幡宮にある「大銀杏」はなんと樹齢約1000年。1962年に神奈川県の指定天然記念物となり、1984年に「かながわの名木100選」に認定されました。見上げるとその迫力に圧倒されます。
「かながわの名木100選」のデータをみると、2007年の時点で樹齢970年、樹高25m、幹周9.47mとなっています。2026年時点では樹齢1000年近いので、樹高も幹周も増加していると考えられます。
1000年に渡って地域を見守ってきた
この大銀杏は神奈川県に存在する「銀杏」の中で最大です。神奈川には他にも勝福寺(小田原市)、逗子五霊神社(逗子市)などの銀杏が有名ですが、それらを差し置いて最大なのです。
さらに銀杏以外の木を加えても、県内で5番目の大きさというのだから驚きです。湘南地域では「最大級の木」と言っていいでしょう。
宮司の能條さんにお話を聞くと、今まで病気や一部が枯れるなどの被害はなく、肥料などの手入れも特にしていないそうです。世話と言えるのは近所に配慮して伸びた枝を定期的に剪定するくらいだとか。しかし剪定するたびに伸びており、今もなお成長しているようです。
戦時中はアメリカの爆撃機B-29が平塚の軍事工場を空爆しましたが、その際に住民がこの大銀杏のもとに避難したという話があります。というのも銀杏は水分を多く含んでいるため、燃えにくい性質があるのです。この大銀杏は平安時代から育ち、およそ1000年に渡って地域を見守ってきた木なのです。
壮観な紅葉も一見の価値あり
2025年11月撮影
これほどの銀杏ですから、もちろん秋には壮観な紅葉を見せてくれるのは言うまでもないでしょう。黄色に染まった大銀杏は圧巻で、見事以外の言葉が出ません。
なおこの銀杏の木は「オス」なので実は付きませんが、周囲に「メス」の木があるため、そのメスの木が受粉して多くの銀杏(ぎんなん)がなるそうです。
かわらけ投げで厄落とし
鶴嶺八幡宮の大銀杏といえば、根元に向かって皿を投げる「かわらけ投げ」も有名です。小さな瓦に厄や心身の災いを託して投げることで、厄除けや発散を願います。
座敷わらしの「わらこちゃん」
まだまだ見どころがあります。なんとこの鶴嶺八幡宮には座敷わらしがいるのです。名前は「わらこちゃん」と言い、今ではわらこちゃんに会いに来る参拝者も増えたとか。
宮司の能條さんによれば、霊感の強い参拝者から『奥のほうで遊んでいる子供たちは座敷わらしですか?』と聞かれたことがあり、しかもそれが一度や二度ではなかったというのです。
そして実際に心当たりもあった様子。能條さんは鎌倉の鶴岡八幡宮に務めていた経験があり、そこにも座敷わらしがいて巫女さんにいたずらをしていました。
能條さんが茅ヶ崎に移った際に、鎌倉から付いてきたのではないかと感じたそうです。実際に開けていた扉が閉まっていたり、置いてあったお菓子がなくなるなど、座敷わらしのいたずらを感じたことが幾度かあるとか。
そこで境内の裏手に座敷わらしの遊び場として風車を並べ、お菓子を献上するスペースを作ったところ、多くの参拝者が不思議な体験をしました。
実は私も取材当日、座敷わらしの遊び場に行ったところ、ほとんど風もないのに3つある風車のうち真ん中だけが勢いよく回るという不思議な現象がありました。もしかしたら、座敷わらしが遊んでいたのかもしれません。
御朱印にも大銀杏が描かれている
最後に神社といえば御朱印ですよね。鶴嶺八幡宮では大銀杏と茅ヶ崎市のご当地キャラである「えぼし麻呂」、さらに烏帽子岩が描かれた御朱印帳があります。
また、御朱印は定番のものや季節ごとの限定御朱印、そして座敷わらしのわらこちゃんが描かれたものもあり、どれも人気です。
まとめ
神社にある木は「御神木」であり、神が降りてくる目印になると考えられてきました。鶴嶺八幡宮にある大銀杏はその御神木であり、まさにパワースポットと言えるでしょう。
周辺には有名な寒川神社もありますが、鶴嶺八幡宮は歴史的にも貴重で見どころ満載、そして神奈川県を代表する「大銀杏」そして「座敷わらし」はここならではの魅力です。
大銀杏が鮮やかな新緑の季節、そして雄大な紅葉の季節はおすすめなので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。なお、座敷わらしに渡すお菓子を忘れないようにしてくださいね。
鶴嶺八幡宮
授与所開所時間
8:00〜15:00(月~金)
8:00〜16:00(土~日)
アクセス
JR茅ヶ崎駅北口バスターミナル5番線から、茅41・茅45・茅48・茅51・茅52に乗車。「鶴嶺小学校」バス停より徒歩2分
住所:〒253-0086 神奈川県茅ヶ崎市浜之郷462
駐車場:あり








