フジテレビは12日、新たな企業理念を発表した。80年代から同局を象徴してきたスローガン「楽しくなければテレビじゃない」に代わるものではなく、「私たちが自らに掲げる誓いです」としている。
同局では、信頼回復に向けて「楽しくなければテレビじゃない」から脱却し、これからのフジテレビはどうあるべきか、「何のためにコンテンツをお届けしていくのか」という根源的な問いと向き合う必要があったと説明。理念の策定にあたっては、「楽しい」という言葉そのものから完全に離れることも含め、ゼロベースで検討を重ねたという。
議論の末に残ったのは、「多くの人の心を前向きにするエネルギーとしての楽しさ」という概念だった。自分たちの「楽しい」のためではなく、社会の「楽しさ」のために何ができるのかを問い直し、社員一人一人が自らを戒め、問い続けるための拠りどころとして、新しい企業理念を策定したとしている。
新たな企業理念は、「Corporate Question」「Corporate Policy」「Corporate Story」の3つの指針で構成される。1981年に対外的なキャッチフレーズとして掲げた「楽しくなければテレビじゃない」に代わるものではなく、同社が自らに掲げる誓いと位置づけるという。
最上位に置かれた「Corporate Question」は、自らを戒める問いとして定められたもの。その言葉は、「その楽しさは、何のためにある?」。同社は「楽しさ」を多くの人の心を前向きにするエネルギーと捉え、「楽しさで、社会に何を届けられるか」という問いに真摯に向き合い続けるとした。
「Corporate Policy」は、その問いを社員一人一人が毎日の行動に落とし込むための行動規範。経営トップから現場の社員に至るまで、全役職員が自らに問い続けるための言葉として定められた。
そこでは、「楽しさを、はき違えるな」「楽しさに、驕るな」「楽しさを、隠れ蓑にするな」「楽しさで、誰かを傷つけるな」といった言葉とともに、「楽しさに向き合わなければ、フジテレビじゃない」と掲げた。
さらに「Corporate Story」では、同社が目指す未来として「ひとりの好きからはじまる熱を、世界中へあふれさせていく。」を掲げた。コンテンツやIPを通して「楽しさ」を提供し、それが視聴者や関係者の「好き」という感情につながり、人と人との会話やSNSなどでの発信を生み、ポジティブな熱の輪が世界に広がっていく未来への貢献を目指すという。
清水賢治社長は「私たちは、かつて掲げていた『楽しくなければテレビじゃない』という言葉に込められた『皆さまの楽しいを追求する』という意味をいつしか履き違え、皆さまからの信頼を損なう結果を招いてしまいました」と改めて反省を示した。
その上で、ステークホルダーに届けるべきものは、コンテンツに触れる人の心を前向きにし、誰かの「好き」という感情を呼び起こすエネルギーである「楽しさ」だと説明。「好き」で人と人がつながることが、孤独や分断が広がる現代社会を少しでも明るくできると信じているとした。
そして、今回の新理念について「単なるスローガンではなく、私たち自身に向けた厳しい『問い』であり、決して逃げてはならない社会への『約束』」と表現。この理念を日々の判断の軸とし、社会を前向きにする企業として、全社を挙げて歩みを進めるとしている。
