
4月26日(日)の放送は「村上RADIO~掘り出し物ヴォーカル・ナイト~」をオンエア。村上さんが世界中の中古レコードショップのバーゲン・コーナーで100円~200円相当という驚きの価格で購入してきたディスクから見つけ出した、掘り出し物の名曲をジャンルレスでお届けしました。
この記事では、中盤4曲について語ったパートを紹介します。
「村上RADIO」
The Manhattan Transfer「Guided Missiles」
New York Voices「So Long, Frank Lloyd Wright」
コーラスを2曲、続けて聴いてください。マンハッタン・トランスファーとニューヨーク・ヴォイセズです。まずはマンハッタン・トランスファー(略してマントラ)ですが、これは僕らがよく知っている4人のユニットとして彼らが活躍し始める前身、以前のグループで、構成メンバーはリーダー格のティム・ハウザー以外まったく重なっていません。この初期のマントラは1969年に結成され、1枚だけアルバムを出して、1971年に解散しています。メンバーの音楽的方針があわなくて、分裂解消みたいなことになったんです。
その1枚だけのアルバム「ア・タッチ・オブ・クラス」の中からドゥワップ・チューンを聴いてください。「Guided Missiles(誘導ミサイル)」。なんか物騒なタイトルですが、東西冷戦のまっただ中、1956年にカフリンクスがヒットさせた曲です。
そしてニューヨーク・ヴォイセズ、男性2人、女性2人のコーラス・グループです。マントラと同じ構成ですね。名前の通り小洒落た都会的雰囲気を持つユニットで、1998年に発表されたこのアルバム『ポール・サイモン・ソングブック』でも、少しばかり斜に構えて、ポール・サイモンの作った曲の中でも、比較的知られていない渋いものを中心に歌っています。その中から今日は「さよなら、フランク・ロイド・ライト」を聴いてください。これも、そんなに知られていないけど、素敵な曲です。「Guided Missiles」そして「So Long, Frank Lloyd Wright」。
フランク・ロイド・ライトはもちろん有名な建築家ですね。アート・ガーファンクルは大学で建築学を専攻していて、フランク・ロイド・ライトを崇拝していたんです。そしてポールに「フランク・ロイド・ライトに捧げる歌を書いてくれないかな」と頼みました。ポールは「ああ、いいよ」って曲をさらさらっと書き上げたんですが、フランク・ロイド・ライトが誰なのか、ぜんぜん知らなかったんだそうです。
Sarah McLachlan「Adia」
サラ・マクラクラン、カナダ生まれの女性シンガー・ソングライターです。このアルバム『Surfacing』は1997年に発売され、全米で800万枚を売り上げたということです。すごいなあ。その中から「Adia」を聴いてください。
アディア、あたしはあなたをがっかりさせたよね
アディア、あたしはあなたをへこませちゃった
しかし、シンガーソングライターの歌って、なんか私小説風のものが多いですねえ。
Jesse Harris「All That Happened」
次は男性シンガー・ソングライター、ジェシー・ハリスです。この人は1969年、ニューヨーク生まれ。2002年にノラ・ジョーンズに提供した「Don't Know Why」が大ヒットして、グラミー賞をもらいました。彼が2010年に発表したアルバム『Through The Night』から「All That Happened」を聴いてください。昨日起こったこと。こんな歌詞です。これもちょっと私小説っぽいかなあ。
昨日起こったことはみんな
怒らないわけにはいかなかったんだよ
中古CD、レコードのバーゲン漁りのコツのひとつは、やはりゆっくり時間をかけることですね。暇にまかせて……という余裕が大事です。それから、そこそこの商品知識を有していること。これは当然ですね。そして健全な好奇心を持ち、勘をしっかり働かせ、多少の失敗を怖れないこと。今日の失敗は明日の成果に繋がります。
<番組概要>
番組名:村上RADIO~掘り出し物ヴォーカル・ナイト~
放送日時:4月26日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/