4月22日〜24日の3日間、日本最大の国際海事展「Sea Japan 2026」が東京ビッグサイトで開催された。1994年から隔年で開催されている「Sea Japan」。開催初日の22日にはテープカットなどのオープニングセレモニーが執り行われたほか、駐日米国大使のジョージ・グラス氏による基調講演などが実施された。
内外で大きな注目を集める造船と海事産業
今回で16回目の開催となった、海事産業のための国際展示会「Sea Japan」。2年に1度、造船・海運・舶用機器など国内外の海事関係者が一堂に会し、30周年を迎えた前回の2024年開催時は、過去最大規模での開催となった。
「Sea Japan 2026」は次世代海事産業のための国際展示会として、さらに規模・領域を拡大。3日間にわたって約600社が出展し、前回から併催展として開催されているオフショア・港湾技術展「Offshore & Port Tech」に加え、デジタル分野における生産性向上や働き方改革などにフォーカスした「Digital Solution Square」も初開催された。
そんな「Sea Japan」を主催するインフォーマ マーケッツ ジャパンのクリストファー・イブ社長はオープニングセレモニーで、次のように挨拶した。
「『Sea Japan 2026』は前回に引き続き、展示エリアの面積、出展企業数、セミナー・ワークショップの数ともに最大規模となりました。最近ではイラン情勢によって海事産業の重要性が業界内外で改めて広く認識されており、本展示会へ向けられる関心も過去最高レベルとなっています。日本の造船産業・海運産業・海事産業には、さまざまなビジネスチャンスがあります。ぜひこの3日間をフルに活用してください」
近年、人手不足や技能継承といった課題に直面する海事業界では、設計・製造・運航支援など多岐にわたるデジタル技術の活用を通じた生産性向上も重要なテーマ。国土交通省 副大臣の酒井庸行氏は、今回から新たに加わった展示エリア「Digital Solution Square」で、それらの課題解決に向けたデジタル技術が紹介されることなどに期待を寄せた。
「『Sea Japan』は世界の先進的な取り組みを学びながら、我が国の海事産業の最新技術を世界に発信する重要な機会です。政府は造船業を17の戦略分野のひとつに位置付け、昨年12月に造船業再生ロードマップを策定し、2035年の年間建造量を現在の約900万総トンから1800万総トンに倍増させる目標を掲げました。世界的な船舶の需要拡大、ゼロエミッション船や自動運航船といった次世代船舶への期待が高まる中、国土交通省も日本の造船業がさらなる成長を遂げ、世界に貢献できるよう全力で取り組んで参ります」
駐日米国大使が語った造船新時代に向けた協力体制
本展示会の開催を記念したテープカット後には、駐日米国大使のジョージ・グラス氏による基調講演が行われ、日米の造船分野における協力関係の重要性を強調した。
「今年の『Sea Japan』は日米にとって極めて重要な絶好のタイミングでの開催です。造船業は第2次トランプ政権が活性化を決意する分野のひとつであり、大統領はちょうど1年前、米国の海事優位性を回復させる大統領令に署名しました。日米の両国には製造業における誇り高い歴史がありますが、それは造船業に最も顕著に表れています。米国製の船舶は米国の経済力と軍事力の象徴でした。第二次大戦中、米国は世界有数の造船国として何千人もの熟練労働者と高度なノウハウを有し、世界で建造される船舶の約9割、5500隻以上の船舶を建造していました」
しかし、米国では過去80年間で多くの造船所が閉鎖され、人材が移動。現在の状況は全盛期から程遠く、造船業が萎縮した影響は海事防衛部門にも及んでいると語った。
「大統領は米国の経済と国家安全保障における造船業の重要性を理解し、信頼できる同盟国とのパートナーシップが米国の造船業復活の鍵と考えています。何十年も造船業のリーダーであり続けた日本の造船業も、米国の造船業が経験した課題に直面してきたことは承知しています。しかし力を合わせれば、世界中の国々や海運企業に我々の最先端の船舶が選ばれるという未来は、決して夢物語ではありません」
今年2月、トランプ政権は国内造船業の再建と拡大を目指す「海事行動計画」を発表。造船業の強化に向けて、2027会計年度国防予算案において658億ドルという前例のない規模の予算要求がなされた。
「小規模造船所の活性化やインフラ整備、労働力開発プログラムなどに数百万ドルが当てられるとされ、これは日本企業にとっても一世一代の機会となります。我々のメッセージは明確です。米国は今後数十年にわたって船舶を発注・建造します。そして、日本はこの取り組みの重要なパートナーということです」
日米両政府は昨年10月、造船能力の増強に向けた覚書に署名。インフラ投資と人材育成、AIや自律システムによる先進的な建造技術の共同開発などで協力していくことに合意している。
「高市首相はトランプ大統領と同様、両国の造船業の黄金時代への回帰を決意しています。日本は20億ドル以上の資金により、2035年までに船舶建造を倍増させる独自の目標を掲げています。日米両国の資源と専門性を結集すれば、ともに造船業の新時代を築くことができるでしょう」
続いてエルウッドグループ シニアバイスプレジデント 兼 米国造船資材供給協会 ダイレクターのダナ・バイエラー氏は、「信頼は行動を通して育まれる:日米産業協力への規律ある道筋」と題した講演を行った。
「造船は単純なひとつの活動ではなく、原材料の投入や試験を行い、納品していく一連の活動です。この複雑なシステムの各ステップの進捗がアウトプットとして現れます。制限要素に正しく努力が作用すれば、スループット(単位時間あたりに処理/生産できる製品量)・生産性のカーブは急速に大きく変化します。しかし、「ガリバー旅行記」で何百もの細い糸で縛られた巨人の話があるように、戦略はときに多くの小さな前提条件によって制約されることもあります」
日本企業は特定のボトルネックを解消し、信頼性を示すことで米国市場でのビジネスチャンスを確保できると述べた。
「信頼は小さな一貫した行動の積み重ねによって築かれ、時間と共に積み重なっていきます。エンジニアリングの世界では、さまざまなストレスを見据えて荷重に耐え得るシステムを設計し、強固な結合によって構成要素を繋ぎ止めることでシステムを動かします。国際協力も同様に、強い結束によって緊張が生まれて大きな力が発揮されるのです」
次世代内航貨物船「しーかーご2」を見学
「Sea Japan 2026」では併催イベントとして和幸船舶の新船「しーかーご2」の見学も実施された。
最先端技術を搭載し、CO2削減・省人化・安全性向上を実現した次世代の内航貨物船“SIM-SHIP”のコンセプトシップ2隻目となる本船。モーダルシフトを支える499GT型RORO船として、港内での取り回し、航海中の安定性、日常運用での扱いやすさなどを設計に織り込み、ふくおか渡辺造船所で建造されたという。
航海中の安定性と運航判断の精度向上に重点を置き、車両輸送に適した構造と現場での作業性を確保。各機能を限られた空間の中で過不足なく配置し、運用のしやすさや安定輸送の質向上が図られている。
本船はスターリンクによる高速通信で安定した船陸連携を実現しており、この基盤上で運用される陸上サポートシステム「RIKU-SAPO」(株式会社SIM-SHIP)によって、船内の各種機器データを統合。航海・機関・荷役・監視情報を横断的にリアルタイムで可視化し、運航と保守の両面で輸送の信頼性を継続的に高める。
また、フルノ社独自のプランニングステーション/航海計画支援システムを搭載。4K対応の高精細なチャート(ENC)でのシームレスな高速描画とストレスフリーな操作性を実現し、より安全で効率的な航行を支援するという。











