【鎌倉 観光スポットレポ】植木諏訪神社 - 玉縄北条氏の信仰した軍神…

大船フラワーセンターを通り過ぎ、県道402号線(阿久和鎌倉線)を北上すると、トンネルをくぐった先に諏訪神社前の信号が目に入ります。

その先すぐ右手に鎮座しているのが植木諏訪神社(うえき すわじんじゃ)。少し奥まっているので、うっかりすると見逃してしまいそうですね。

今回はこちらの植木諏訪神社を紹介。すぐ近くの龍寶寺と一緒に参拝するのがおすすめです。

植木諏訪神社の歴史

戦国時代の1512年(永正9年)、戦国大名の伊勢宗瑞(いせ そうずい。後の北条早雲)がこの地域に玉縄城を築いた際、軍神として名高い諏訪大明神(すわだいみょうじん)をお祀りしたのが始まりとされています。

一説には、猛将として知られた北条綱成(ほうじょう つなしげ。宗瑞から見て養曽孫)が玉縄城主を務めた時代にお祀りしたとも言われるそうです。

【北条氏略系図】……北条早雲-北条氏綱-北条為昌=北条綱成……※神奈川県立歴史博物館「北条家系図」より。

元は玉縄城内の諏訪壇(すわだん)と呼ばれる中心部に鎮座していましたが、1590年(天正18年)に北条氏が豊臣秀吉に滅ぼされると、玉縄城が放棄されてしまいました。

諏訪壇が荒廃する様子を見るに忍びず、領民たちが現在の場所へ遷座したと言います。

そこにはすでに御霊大明神(ごりょうだいみょうじん)が祀られていたため、合わせて諏訪御霊両大神(すわごりょうりょうおおかみ/たいじん)と呼ぶようになりました。現代でも鳥居や社殿に掲げられている社号は諏訪御霊両大神と記されています。

江戸時代を通じて玉泉寺(ぎょくせんじ。玉縄3丁目)の管理下に置かれていましたが、明治時代の神仏分離令によって独立しました。また、国家神道に基づく社格制度により、村社(そんしゃ。村を代表する神社)に指定されます。

やがて社格制度が廃止されても、人々の信仰が変わることはありません。今日に至るまで、地元の鎮守様として厚く崇敬されています。

植木諏訪神社の御祭神

諏訪大明神

建御名方富命・八坂刀売命の二柱を総称して諏訪大明神と呼びます。信州の諏訪大社(長野県諏訪市・茅野市・下諏訪町)に祀られる夫婦の神様で、様々な神徳をもって崇敬されてきました。

夫の建御名方富命(たけみなかたとみのみこと)は諏訪湖を象徴する龍神または蛇神で、風・水・狩猟・農耕を司ると伝わります。

また軍神としても名高く、武田信玄はじめ多くの戦国大名や武将たちに信仰されました。妻の八坂刀売命(やさかとめのみこと)も諏訪湖を象徴する女神で、水・農耕・温泉を司ると言われます。

彼女の地元である下諏訪町には温泉にまつわる伝説が数多く残っており、美や健康にもご利益があるそうです。

御霊大明神

鎌倉権五郎景政(かまくらの ごんごろうかげまさ)※。景政は平安時代に活躍した実在の武士で、後三年の役(1083~1087年/永保3~寛治元年)における活躍や、凱旋後に大庭御厨(藤沢市・茅ヶ崎市一帯)を開拓したことで知られています。

合戦の最中に右眼を射られても怯むことなく敵を倒したことから、眼病平癒や必勝祈願の神様として人々に祀られてきました。

※元は祟道天皇(すどうてんのう。無実の罪で命を落とした早良親王)の怨霊を鎮めるために起こった御霊信仰ですが、関東地方では坂東平氏の英雄である鎌倉権五郎こと平景政を合祀するようになり、時代が下ると景政のみ祀るケースも出てきました。

境内ギャラリー

山を背負った植木諏訪神社の境内は緑豊かで、森閑とした空気に包まれ、非日常感を味わえます。

普段は見られない本殿

今回は工事の関係で拝殿の戸が開放されていたため、本殿を拝むことができました。

見上げると、社号が「諏訪大明神 五霊(御霊)大明神」となっています。

大船町と玉縄村の合併祈念額

1933年(昭和8年)4月2日、鎌倉郡玉縄村が隣の大船町と合併した記念として、元玉縄村会議員一同が4月1日に奉納したものです。これを社頭に掲げた時、彼らは何を思ったのでしょうか。

その大船町も1948年(昭和23年)6月1日に鎌倉市へ編入され、古代律令時代から連綿と続いた相模国鎌倉郡はその歴史に幕を下ろしたのでした。

日露戦争の武勇伝

同じく社頭に掲げられたこちらの額は、日露戦争(1904~1905年・明治37~38年)に際して地元から出征した人々の名前と武勇伝が記されています。

司馬遼太郎『坂の上の雲』に描かれた激動の時代を戦い、生き抜いた人々の息吹が伝わるようです。

神楽殿

その名のとおり、神様にお楽しみいただくための御神楽(おかぐら)を奉納する場所です。イベントの時はさまざまな芸能が披露されることでしょう。

神様と人間がともに楽しみ、末永く幸(さきわ)うことを願ってやみません。

手水舎

きれいに整備されていますが、現在はコロナ禍の影響で水は張られていません。傍らにはベンチもあるので、参拝ついでに休憩も可能ですね。

御神木

境内には多くの巨木がそびえ立つ中で、ひときわ目をひくのがこちらの御神木。太く広く根を張って山肌をおさえ、幹にできた洞(うろ)が天に向かって吠えているように見えました。

ツツジの花

境内の山にはツツジが咲き誇り、したたる緑に彩りを添えています。花びらを抜き取り、根元から蜜を吸った思い出がよみがえりました。

バリアフリー対策も

参道を進んで行くと、石段とスロープの分かれ道にさしかかります。右手の石段は健脚コース、左手のスロープは車椅子でも押して上がれるでしょう。

ただしその手前に石段があるので、完全バリアフリーではありません。

まとめ

今回は、鎌倉市の植木諏訪神社を紹介しました。境内のそこかしこに、神様と人々が積み重ねてきた信仰の歴史と、地元愛を感じとれます。

緑豊かで清々しく、実に味わい深い神社なので、ぜひ足を運んでみてくださいね。

植木諏訪神社

参拝時間

24時間

照明が不十分なので、夜間の参拝はご注意ください。

社務所

社務所には管理人が常駐していません。連絡やお問い合わせは管理元神社へお願いいたします。

主な祭礼

歳旦祭(さいたんさい) 元旦節分祭(せつぶんさい) 2月3日宵宮祭(よいみやさい) 8月26日例祭(れいさい) 8月27日

アクセス

所在地:神奈川県鎌倉市植木96

大船駅からバス「植木谷戸」下車、徒歩2分(130m)

駐車場:なし(公共交通機関のご利用がおすすめです)

連絡先

管理元神社:岩瀬 五所稲荷神社

電話/FAX:0467-47-4798(9:00~17:00)

メール:iwase5inari@mou.ne.jp

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