【藤沢 観光スポットレポ】皇大神宮 - 烏森に流れる静と動の気配

藤沢の住宅街に、「烏森神社」の愛称で親しまれる神社があります。この神社は、古くからこの地域を見守ってきた場所のひとつ。初詣や地域の行事などでも多くの人に親しまれています。

樹齢約700年のタブの木をはじめとする古木に囲まれたその場所は、思わず深呼吸したくなるような特別な空気に包まれているように感じられます。

歴史と御祭神

創建の詳しい年代はわかっていませんが、832年(天長9年)には社殿造立の記録があり、それ以前から地域の守り神として人々の信仰を集めてきたと考えられています。

平安時代以降、何度も社殿が建て替えられ、そのたびに地域の人たちの祈りや想いが込められてきました。藤沢や鵠沼、辻堂一帯をまとめる「相模國土甘郷」の総社としても知られていました。

また、源平合戦で知られる那須与一は、扇の的を射抜いた矢を奉納したとも伝えられています。そうした歴史の一端からも、この神社が当時の武士たちにとっても特別な存在であったことがうかがえます。

主祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)です。合祀神として、以下の神々が祀られています。

天手力男命(あめのたぢからおのみこと)強い腕力や力を象徴する神様で、天岩戸神話にも登場します。天太玉命(あめのふとだまのみこと)占いや神事の神様とされ、忌部氏の祖神です。天児屋根命(あめのこやねのみこと)藤原氏の氏神であり、祝詞を司る神様として出世の守護神ともされています。天宇受売命(あめのうずめのみこと)天岩戸の前で舞を披露した女神で、芸能や技芸の守護神です。石凝刀売命(いしこりどめのみこと)八咫鏡を作った神様で、鋳物や金属加工の守護神として信仰されています。

合祀神とは、もともと別の神社や地域で信仰されていた神様を一緒に祀ることで、その土地の歴史や文化を大切に受け継ぐ意味があります。

それぞれが、力・知恵・芸能・工芸などを象徴する神様で、暮らしや文化の幅広い分野を見守っています。

大迫力の鳥居

皇大神宮の参道には三本の鳥居が立っています。奥から一ノ鳥居、二ノ鳥居です。

中でもお社に一番近い三ノ鳥居は、藤沢市でも最大級のスケールを誇ります。

鳥居は石造りのため白い色をしており、その存在感は一層神聖な雰囲気を味わうことができます。

見上げるほどに大きな白い鳥居をくぐると、不思議とまわりの音がやわらいでいくような感覚に。さっきまでの慌ただしさが少し遠くにいったように感じられます。

この独特の雰囲気も神社の魅力のひとつで、参拝後には敷地内のベンチに腰掛けてつい空を眺めてしまいます。

境内案内

画像出典:皇大神宮ホームページ

境内は3,300坪の広さがあり、その昔この森に烏が群棲していたことから「烏森」と呼ばれるようになったとのことです。

境内を囲むように鬱蒼(うっそう)と生える背の高い木々には今でも烏の姿がよく見られます。

三ノ鳥居を過ぎるとすぐ左手に手水舎があります。その左奥、少し入ったところには水神が祀られています。

手水舎の裏にそびえる大木の根元にひっそりと佇む祠。この景色は昔から何も変わっていない気がして、どこか特別な空間に入り込んだかのような、心が静かに整っていくような感覚になります。

階段を上ると右手には社務所があります。ここでは御朱印やお守りの授与を受けることができます。おみくじも数種類用意されており、訪れるたびに違った楽しみ方ができるのも魅力のひとつです。

また、印象的なのは境内に点在しているいくつかのお社です。厳島神社や稲荷神社など、さまざまな神様が祀られていて、ひとつひとつに手を合わせながら歩く時間もこの場所ならではです。

それぞれのお社は控えめに佇みながらも、どこかこの場所全体をやわらかく支えているような空気を感じられます。いろいろな信仰を持つ人が立ち寄れる環境があることも、この神社が愛されている秘訣ではないでしょうか。

例大祭

毎年8月17日に例大祭が開催されています。県下でも有名なお祭りで、登場する「人形山車」は藤沢市重要有形民俗文化財に指定されています。

画像出典:皇大神宮ホームページ

画像出典:皇大神宮ホームページ

人形山車とは、歴史上の人物や物語の登場人物をかたどった大きな人形を乗せた山車のことです。

各山車は明治中期に氏子町内が制作したもの。「源義経」「日本武尊」「浦島太郎」など歴史や伝承にちなんだ高さ8mにもなる人形山車9基が街を練り歩きます。大きくて迫力のある人形の細かい装飾や衣装は、一般的なお神輿とはまた違う華やかさが特徴です。

また、人形山車そのものの迫力だけではなく、それを支えている地域の人たちの熱量も印象的です。それぞれが異なる法被に身を包み、声を掛け合いながら街を練り歩きます。色やデザインの違いには、その土地ごとの歴史や誇りがにじみ出ていて、見ているだけでも思わず目を奪われます。

その一体感や活気は、ただの行事ではなく、地域に根付いた文化そのもの。世代を超えて受け継がれてきた山車を引く姿は圧巻です!

画像出典:皇大神宮ホームページ

画像出典:皇大神宮ホームページ

例大祭では華やかな山車巡行だけでなく、拝殿で「湯立神楽」が奉奏されるのも見どころのひとつです。熱湯を使い、湯玉の立ち方によってその年の吉凶を占います。災い除け・無病息災を願う古来の神事は、観る者の心にも清らかな余韻を残します。

神様に水を差し上げながら、参列者にも福を分かち与える意味があると考えられています。現在、藤沢市重要無形民俗文化財や湘南遺産にも指定されている貴重な舞です。

静けさと歴史、そして地域の熱気が同居するこの場所は、ただの神社というよりも時間そのものが積み重なった空間のように感じられます。まるで神様が今もすぐそばでこの地域を見守っているような、そんな感覚を残してくれる場所です。

皇大神宮

参拝時間

24時間いつでも参拝可能

アクセス

住所:神奈川県藤沢市鵠沼神明2-11-5

JR 藤沢駅より徒歩、約20分JR 藤沢駅よりバスの場合

藤沢01系統 神明町経由高山車庫行き「神明町」下車藤沢02系統    上村経由高山車庫行き「烏森公園前」下車藤沢03系統 上村経由辻堂駅北口行き「烏森公園前」下車

駐車場:あり

連絡先

皇大神宮社務所 0466-24-5590  (9:00~16:00)