“ハンディって何だろう”――。12日に放送されたMBS・TBS系ドキュメンタリー番組『情熱大陸』(毎週日曜23:00~)では、ろう難聴児の放課後等デイサービス「デフアカデミー」を取り上げた。SNSでは「見ていて応援したくなった」「耳が聞こえないという概念を世間に広めるのは今も難しい」といった声が上がった。

  • 『情熱大陸』(C)MBS

    『情熱大陸』(C)MBS

「デフアカデミー」は、大阪の雑居ビルの一室にある、ろう・難聴児に特化した放課後等デイサービス。チームワークを育むプログラムやキャンプやクリスマス会など活動は幅広く、目指しているのは、自分の好きなことを好きにできる「居場所」づくりだという。

教室を運営する認定NPO法人代表の尾中友哉さんは「耳が聞こえない両親のもとで育った聴者(コーダ)」だ。勉強が好きで教師を夢見ていた尾中さんの父は、ろう者であることを理由に自らその道を断念した。「これは社会にとって損失ではないか」その思いが、教育支援を志す出発点だと話す。

なかでも印象的だったのは、そこへ通う12歳の御琴さん。賑やかな教室で、ひとり絵を描くことに夢中になっており、実は大作漫画を作成中だった。だが誰にも見せたことがないという御琴さんのために、尾中さんとスタッフが「単行本にしてみないか」と持ちかける。御琴さんにとっての大きな挑戦が始まり、そしてその単行本は多くの人の目に止まった。

このように「デフアカデミー」へ通う子どもたちは、それぞれがさまざまな個性を持っている。その個性が、スタッフたちによって伸ばされ、生き生きと活動している姿が広く映し出された。ハンディキャップは本人やその周囲にとって、大変な困難を伴うが、その現実が子どもたちの「個性」と混ざり合い、何かの才能につながっていく姿からは、「ハンディって何だろう」「個性と何が違うのだろう」という想いを抱かされた。

だが当事者にとって、それは大変なことには変わりなく、その「現実」も画面から伝わる、単なる「感動もの」ではなかったことが、さすが『情熱大陸』だと思わせた。X(Twitter)では、「私もコーダです。尾中さんのようにコーダの方が頑張っている姿を見ると、ただただ泣け、私も頑張らなければならないと思った」といった当事者の声や、「これは見入っちゃう」との声。同時に「どうして様々な障がいは人にわかってもらえないのか」「当事者の生きづらさはなかなか理解してもらえないものだ」と、問題提起する声も見られた。

実は筆者の親族も別の障がいを抱え、デイサービスを利用している。本人は明るく振る舞うが、時折、涙を見せることもある。それをどうサポートすればいいのか。そのヒントがいくつか詰まった回だと感じられた。

この番組は、TVerで見逃し配信されている。