なぜタイトルは『ジョン万』なのか――。制作統括の家冨未央氏が明かしたのは、主人公・中濱万次郎が生き抜いた“二つの世界”を象徴するタイトルの由来。「ジョン」という英語名と、日本名である「万次郎」の「万」を掛け合わせたその名に込められた思いとは。

  • 制作統括・家富未央氏

    制作統括・家冨未央氏

2028年に放送されるNHKの大河ドラマ『ジョン万』の制作・主演発表会見が行われ、主演の山崎賢人、脚本の藤本有紀氏、制作統括の家冨未央氏が出席。

大河ドラマ第67作目となる『ジョン万』は、土佐の貧しい漁師から、10年にわたる米国生活を経て、激動の幕末を「知と技」で己の人生を切りひらいた「ジョン万次郎」こと中濱万次郎を主人公にした物語。同作では、名もなき庶民がいかにして絶望的な状況を生き抜き、日米の架け橋となったのかを描く。

家冨氏は、ジョン万次郎について「『名前がちょっと不思議だな』とか、『英語が堪能だった方』、あるいは『幕末の知識人』というイメージを持たれる方も多いかと思いますが、実は彼は船乗りです」と解説。続けて、「今から200年ほど前に、今の高知の土佐の国で生まれた貧しい漁師でした。彼は14歳で初めて漁に出て、そこで嵐に遭って漂流してしまい、そして偶然にもアメリカの捕鯨船に救われて命を長らえました。それを機にアメリカに渡り、アメリカの東部で10年ほど生活をして、その中で航海術を学んでいった人です」と、その稀有な来歴を紹介した。

インパクトのある同作のタイトルについては、「『ジョン』という英語と、万次郎の『万』という日本語、この二つを組み合わせました。万次郎さんが生き抜いた、二つの土地(日・米)の名前を込めています」と、その人生の荒波そのものを表したものであると説明した。

家冨氏は、現代にこの物語を届ける意義について、「(当時の万次郎は)英語やアメリカで初めて目にする技術と出会い、恐怖や緊張もあったはず。それでも、自分の力で考え、前を向いて進んでいった」と分析。さらに、「今、それはすごく必要な力なのではないかなと思っています。万次郎さんのサバイバル能力と、ロマンを抱く力を、未来を決める10代から困難に直面している大人まで、全世代の方に届けたい」と、作品に込める願いを熱く語った。

また、主演に山崎を起用した理由については、「今、日本で最も“冒険”という言葉が似合う男」と山崎を表現しつつ、「山崎賢人さんに立っていただき、この企画でぜひ船出したいという夢を抱きました」と明かしていた。

家冨氏は、山崎と共にアメリカ・フェアヘーブンへ視察に赴いたそうで、「山崎さんはもう、現地の空気にそのまま溶け込んでいてぴったりだなと思いました。船の上に立って風を受けている時に『このまま撮りたい』と思わせる姿を見せてくれましたし、目の前の船や景色にビビッドに驚き感動している姿を見て、『本当にこの人で正解だった、良かった』と心から思いました」と、エピソードを披露。山崎が万次郎役として唯一無二の存在であることを改めて強調した。