8日、春ドラマ『LOVED ONE』(フジテレビ系、毎週水曜22:00~)がスタートする。同作はディーン・フジオカ演じる変わり者の天才法医学者が遺体の痕跡をたどりながら難事件に挑む法医学ヒューマンミステリー。

「ディーン・フジオカが変わり者の天才主人公を演じる」と聞いたらドラマ好きなら2019年放送の月9ドラマ『シャーロック』(フジ系、FODで配信中)を思い浮かべるのではないか。

あらためて『シャーロック』とはどんな作品だったのか。ディーン・フジオカという俳優の本質とともにドラマ解説者・木村隆志が掘り下げていく。

  • 『シャーロック』(C)フジテレビ

    『シャーロック』(C)フジテレビ

海外小説の主役にハマる稀有な俳優

「シャーロック」と言えばコナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズを思い浮かべる人が多いだろう。

月9ドラマの『シャーロック』は同作を原案としつつ舞台を現代の東京に移した連ドラであり、同じ10年代にイギリスで放送された『SHERLOCK』(BBC)とはまったくの別作品。放送当時は「どの作品のリメイクなのか」という混乱の声もあるなど、名作だからこそ視聴者に構えられてしまうようなところもあった。

だからこそディーン・フジオカの異質な存在感が『シャーロック・ホームズ』や『SHERLOCK』との差別化としての効果を発揮。ディーン・フジオカが物語の中心にいるだけで「新たなミステリー作品」という印象が先行し、その後「あの『シャーロック・ホームズ』がモチーフだった」と気付かされる視聴者もいた。

ディーン・フジオカは当作の前に、連ドラ単独初主演作『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-』(18年、フジ系)、井浦新とダブル主演を務めたスペシャルドラマ『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』(19年、フジ系)に出演。前者はアレクサンドル・デュマ・ペール、後者はヴィクトル・ユゴーによる19世紀の海外小説を現代日本に置き換えた作品であり、「いかにディーン・フジオカが異国の名作にハマるか」がわかるのではないか。

歴史的な名作と現代の日本をつなげる突出した存在感。日本人でありながら、どこか日本人ではないような佇まい。これらの点でディーン・フジオカに勝る俳優は見当たらず、『シャーロック』は『モンテ・クリスト伯』『レ・ミゼラブル』に続く三部作の完結編のような位置付けの作品だった。

シャーロック・ホームズがモデルの主人公・誉獅子雄(ディーン・フジオカ)はフリーの犯罪捜査コンサルタント。これまで不可解な事件や事象の謎を解いてきた天才だが、自由気ままな言動の中に「一歩間違えば犯罪者になりかねない」という危うさを漂わせていた。

「推理を進める際に必ずバイオリンを弾く」というコントと紙一重のような演出があったが、このシーンにこそディーン・フジオカの本質がある。彼が演じることで「これこそが令和のシャーロック・ホームズ」というすさまじい説得力を感じさせられた。