浦賀沖でペリー艦隊の来航を目にした人々も、こんな気持ちだったのだろうか。

……というのはさすがに大袈裟かもしれない。けど、相当なインパクトであることは間違いない。昨年11月、「スーパーマーケットバロー」の横浜下永谷店がオープンし、大きな話題を呼んでいる。バローは主に東海地方を中心に出店する食品スーパーで、これが関東初進出だという。

  • スーパーマーケットバロー 下永谷店

    スーパーマーケットバロー 下永谷店

しかし一体、どこにそんなバズる要素があるのか。興味本位で現地に赴いてみたところ……なるほど、納得。スゴい。この辺にはないスーパーだわ。以下にて、その活況をご覧あれ。

スーパー激戦区で通用するの? なんて思っていたけど……

関東スーパー業界の勢力図が書き変わるかもしれない。結構マジメにそう思う。

最初は正直、「大丈夫かな?」と心配しながら成り行きを眺めていた。神奈川には藤沢にルーツを持つ「ロピア」があるし、圧倒的顧客満足度を誇る「オーケー」もある。特に横浜エリアはスーパーの激戦区。そう簡単に割って入れるほど、甘い世界ではない。

……とか思っていた自分が恥ずかしいのだが、それはさておき、まずは論より証拠。店内を覗いてみよう。

店内の充実すぎる"陳列"を紹介

出会い頭の圧倒的ビジュアル! 「フルーツ・ケーキコーナー」

  • 「フルーツ・ケーキコーナー」の陳列

    「フルーツ・ケーキコーナー」の陳列

店内に入ってまず目を奪われるのが、フルーツとスイーツのコーナー。色彩の密度が明らかに他の店とは違う。とりわけ印象的なのがフルーツデザートだ。

フルーツプリンやスクエアケーキ、ロールケーキ、さらにはフルーツを豪快に挟んだコッペパンなど、どれも豪快に具材が詰め込まれていて贅沢感がハンパじゃない。ビジュアルもいい。内容に対して価格もお手頃感がある。

例えばフルーツプリンは某コーヒーチェーンのトールサイズのカップにプリンとフルーツがぎゅうぎゅうに詰め込まれて589円。4つセットならひとつあたり500円。うん。安い。

  • フルーツプリン、スクエアケーキ

    フルーツプリン、スクエアケーキ

バロー担当者に曰く、「フルーツデザートには2年くらい前から力を入れ始めました。魚ならお寿司、お肉ならローストビーフというように、素材からの派生加工のひとつとしてこういう形にしているんです」。

つまり、よくあるカットフルーツのように果物を"素材"として売るだけでなく、オリジナル商品として再編集しているわけだ。しかも、こんなにもバラエティ豊富に。

ちなみに、コッペパンのフルーツサンドやロールケーキなどは、横浜下永谷店のオープン時に開発した商品だという。……よし、とりあえずコッペパンは買い物かごに入れておこう。

  • コッペパン、ロールケーキ

    コッペパン、ロールケーキ

"市場感"漂う「鮮魚売り場」

続く鮮魚コーナーは、また空気がガラッと一変。もはや市場に近い。たちうお、真鯛、くろそい、キンメダイ、きはた、ヒラメなどなど、丸ごとの鮮魚が所狭しと並ぶ。これだけの種類を揃えたスーパー、他に見たことある? なくない?

  • まるで"市場"な鮮魚コーナー

    まるで"市場"な鮮魚コーナー

だって、貝の売り場だけでも……

  • 貝売り場

    貝売り場

この調子だもん。はまぐり、ほたて、白みる貝、さざえ、黒ほっき貝、あさり、あわび……いや〜、参りました。お見事です。はまぐりなんかはバラ売りでも買えるようになっているし、こういう心遣いもありがたい。

価格も350円から1000円以下が中心で、こちらもお手頃感がある。バロー担当者によると「調理は無料で承ります。神奈川県・小田原の地魚も扱っていますし、飲食店の方が仕入れに来ることもあるんですよ」とのこと。

宮城県に自社工場を持つことで実現しているという牡蠣の品質、コスパも特筆に値。殻付きの牡蠣がこんな大胆に並んだ絵面、市場以外ではそうそうお目にかかれないもんな〜。しかも10個で1000円だって。やっす……。

  • 殻付きの牡蠣

    殻付きの牡蠣

マグロにも並々ならぬこだわりがあるようで、天然本鮪のお寿司だけでもこのとおりの品数が揃う。

  • 天然本鮪鮨

    天然本鮪鮨

寿司はネタもかなり厚めで大ぶりだし、色味も美しく、見るからに新鮮なのがわかる。「鮪に自信」「鮪で勝負」のPOPに偽りはないらしい。

魚介系のお惣菜は、なんとすべてが店内仕込み。エビフライやアジフライなどの定番品はもちろん、金目鯛の煮付け、いかの照り焼き、銀だらの照り焼きなど、和食系のお惣菜も選り取り見取り。

  • お魚屋さんのお惣菜コーナー、「いか照焼き」(538円)

    お魚屋さんのお惣菜コーナー、「いか照焼き」(538円)

"岐阜発"という強みが際立つ「精肉売り場」

精肉コーナーでは、バローが本社を置く岐阜の存在感が前面に出る。飛騨牛を軸に据えたラインアップは、関東にひしめく各スーパーとの明確な差別化ポイントだろう。

「飛騨牛はすべて最高ランクのA5で揃えていて、一般的なスーパーではあまり見かけない部位やサイズでも展開しています」と担当者。

  • 精肉コーナー

    精肉コーナー

実際、売り場には塊肉が並び、オーダーカットにも対応。家庭用でありながら、どこか業務用のスケール感が漂う。自社工場を活用したコストコントロールも効いており、品質と価格のバランスが成立しているのだという。

  • 売り場に並ぶ塊肉

    売り場に並ぶ塊肉

そこかしこに流れる"東海カルチャー"の風

さらに興味深いのが、東海エリアの食文化の持ち込みだ。けいちゃんやどて煮、八丁味噌など、地域色の強い商品がそこかしこに散りばめられ、どの棚にも小さな発見が仕込まれている。

  • けいちゃん、どて煮

    けいちゃん、どて煮

惣菜コーナーも例外ではない。120円という良心的な価格設定が光る飛騨牛コロッケは、横浜下永谷店のオープンから1ヶ月で10万個もの売上を突破。手羽先唐揚げや八丁味噌で食べる豚ロース串カツ、鉄板焼きナポリタンや台湾焼きそばなど、B級グルメとして全国区の知名度を誇る「なごやメシ」のコーナーも充実している。

  • 飛騨牛コロッケ―、なごやメシコーナー

    飛騨牛コロッケ―、なごやメシコーナー

岐阜の地酒が並ぶ、充実の「酒売り場」

酒売り場でも岐阜の地酒が豊富に並ぶ。コンテストで受賞歴のある岐阜の地酒も多く、蔵元がVIP客に振舞うためにリザーブしている「蔵元の隠し酒」(渡辺酒造)も大々的に売り出されている。

  • 酒売り場、「蔵元の隠し酒」(渡辺酒造)

    酒売り場、「蔵元の隠し酒」(渡辺酒造)